子どものコミュニケーションを読み取ってアセスメントにつなげよう

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#2598 2024/06/20UP
子どものコミュニケーションを読み取ってアセスメントにつなげよう
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大人のみなさんは、日々吸収しアップデートされていく自分の中の語彙を用いて、気持ちを伝えることができます。でも、子どもたちはどうでしょう?まだ「話す」という能力が発達過程にありますね。そこで子どものコミュニケーションについて、アセスメントの視点を交えながらお伝えしていきます。

1.子どもにとってのコミュニケーション

子どもにとってのコミュニケーションは、自分の欲求や気持ちを伝えるための手段です。この文だけ読むと、子どもも大人も一緒じゃん!と思う方もいると思います。でも子どものコミュニケーションの場合は、欲求や気持ちを伝えるなかでも、非言語的コミュニケーションが果たす役割が大きくなります。なぜなら、子どもは言語発達の途上にあるからです。
子どもが言語を話すのは「あ~」とか「あう~」といった、意味を持たない喃語。これは大体生後2か月ころから話し始めますね。2歳になれば2語文。「ママ、抱っこ」とか「パパ、会社」。3歳になると「これ何?」「どうして?」と質問をするように。6歳ころになれば幼児語を使わなくなり、成長とともに少しずつコミュニケーション能力を獲得していきます。
となると、コミュニケーション能力を獲得していく段階にある子どもって、自分の体調や症状をしっかり表現することができるでしょうか?
……、大人のようには表現できませんね。
子どもにとってのコミュニケーションは、子ども自身が自分の欲求や気持ちを伝える手段であるものの、子ども自身が体調の変化や不快症状を自ら表現することが難しいです。しかも表現できたとしても不明確なこともあります。それに子どもによっては発達に遅れがある場合もあります。
そのため私たち看護者は、言語的コミュニケーションだけではなく、非言語的なコミュニケーションにも敏感になって、子どもが何を考えているか、身体的な状態はどうなのかをくみ取りアセスメントをすることが大切になります。

2.子どもの発達段階別のコミュニケーション

看護という専門的な視点で子どものコミュニケーションを読み解きアセスメントをするために、発達段階別に特徴を確認しましょう。

(1)乳児期のコミュニケーション

乳児期にある子どものコミュニケーションは、情報やメッセージの交換というよりも、情緒的なつながりを求めてコミュニケーションが行われるという特徴があります。
なぜ情緒的なつながりを求めるかというと、乳児期に母親、あるいは養育者との情緒的な繋がりがあることで、精神が安定して、子どもは安心感を覚えます。そのことが他者を信頼して自信を持つことにつながり、主体的に生きる原動力となり、最終的に一人でコミュニケーションができるようになることに繋がります。
よって、乳児期のコミュニケーションは、長い人生を生きる中でのコミュニケーション確立のために大事な時期だといえます。

(2)幼児期のコミュニケーション

幼児期に入ると、1歳半~3歳にかけて言語発達がめざましくなります。そのため大人とほぼ対等にコミュニケーションができるようになっていきます。乳児期とちがって、幼児期は言語発達に伴い、非言語的なコミュニケーションから言語的なコミュニケーションに移行がみられるという特徴もあります。そして遊び・生活の中での人との関わりから、言葉の使い方を学習していきます。幼児期の子どもは保育園や幼稚園に通う時期ですね。そこでの遊びや集団生活を通して、言葉の使い方を学習していくのです。

(3)学童期のコミュニケーション

学童期のコミュニケーションは、話しことばによる自己表現から、“書きことば”による自己表現の転換期に入るという特徴があります。学童期は小学校に入学する時期のため、国語の授業の中やその他の授業、また多くの人との関わりも通して、言葉を学習していきます。そうすると語彙力が増えて、表現する言葉が増え、話しことばから書き言葉を学習していきます。さらに、同じ言葉でも意味の違いに気が付くのも学童期。例えば、「きる」という言葉。服を「着る」、なのか、布を「切る」なのか、そういった違いがわかるようになります。
学童期は、乳児期に比べて多くの人と関わるようになりますね。たとえば、学校の先生やクラスの友達だけではなく、いろんな学年の子と関わったり、地域の人や、習い事の先生ともかかわっていく。それによって社会性も広がるようになります。このように多くの人と関わることで、多面的な考え方を身につけるようになります。
こういったことを通して、学童期はコミュニケーション能力がどんどん向上していきます。

(4)思春期のコミュニケーション

思春期は第二次性徴が始まる時期。よって思春期は成長と成熟のアンバランスが生じる時期です。そのため反抗的な態度や問題行動という形で自分の感情や考えを表出し、うまく言葉で伝えられない場合があります。でもそういった行動の裏には、辛い・苦しい・理解してほしいというメッセージが隠されている場合も多くあります。よってだから長い目で見守ったり、やさしく言葉かけをしたりすることで、徐々にコミュニケーションがとれるようになることがあります。そうすると、次第に自分の孤独や寂しさを理解してもらえたという信頼感が生まれて、さらに自分の心の中を表現していくようになるといわれています。

3.病棟にいる子どもとのコミュニケーション

さて、ここまでは健康障害のない子どもの、一般的なコミュニケーションについてお伝えしましたが、みなさんは看護師なので病棟にいる子どもとのコミュニケーションをする場面がありますよね。そこでここからは、看護師が病棟にいる子どもに合わせたコミュニケーションを図り、アセスメントを通してニーズを把握し支援する方法をお伝えします。

(1)病棟にいる乳児とのコミュニケーション

乳児といえば、赤ちゃん。赤ちゃんって泣きますね。泣くことでお腹が空いてることや、排便したことを伝えます。赤ちゃんからのコミュニケーションを拾うために、乳児期の子どもが泣く意味をいくつか知っておきましょう。乳児のニーズをアセスメントすることに繋がります。
①激しく泣き続けるばあい
痛みが理由であることがあります。そういうときは、全身を観察して、痛みを軽減・除去したり、抱っこやスキンシップをとって、声掛けをして、子どもが安心できるように関わります。

②不機嫌に泣き続けるとき
体調が悪いことがあります。そういう時は、異常の早期発見が大事です。全身を観察して、子どもに触れて、異常を発見してください。泣いている原因が分かったら、状態に合わせたケアを行います。

③ぐずるように泣き続けるとき
空腹だったり、排泄後だったり、寝入る前に眠くて泣いていることがあります。そのため子どものニーズに応えるために、ミルクを飲んでもらったり、おむつを替えたり、赤ちゃんが眠られるようにお母さんにだっこしてもらうことが必要です。

④突然泣き出すとき
赤ちゃんが大きな物音や振動だったり、医療器具の金属音、アラーム音にびっくりして泣いていることがあります。そのため、不必要な音が生じないように、静かにケアをしたり、環境を整える必要があります。

(2)病棟にいる幼児とのコミュニケーション

発達上、母子分離が進んでいない幼児は、安全基地である母親から離さないようにします。子どもの成長は個人差があるので、年齢を重ねてきても、お母さんから離れることが不安で泣いていまうことがあります。泣いてしまうと子どものニーズをくみ取りにくい、つまりアセスメントがしにくくなることもあります。そのため、お母さんから離さないようにすると良いです。もし、子どもが嫌がったり泣いたりする場合は、母親に話しかけて、自分自身が安全な人であることを子どもが認識できるようにすると良いです。
また幼児期の子どもも、乳児期の子どもとどうように言葉で十分に伝えられないことがあります。そこで表情や仕草など非言語的コミュニケーションからの反応もキャッチするようにしてください。子どもに何か話しかけたときに、言葉では返答を得られなくても、全身で「嫌」ということを表現することがあります。たとえば、身体をこわばらせたり、硬くして表現する場合もあります。そのため表情や仕草、全身をよく診るようにしてください。アセスメントに繋がります。

(3)病棟にいる学童期の子どもとのコミュニケーション

学童期は、コミュニケーション能力が向上して、言語で伝えることが出来るようになります。でも、見知らぬ場所や看護者に対して恥ずかしさを感じることがあります。
そのため遠慮したり、本心を語らなかったりすることがあります。したがって、話しやすい雰囲気を作ることが重要になります。患児とゆっくりと落ち着いて関われる時間や場所、例えば部屋、空間、室温、照明などを確保するとよいです。そこでの関わりを通してニーズを把握していくと良いでしょう。

(4)病棟にいる思春期の子どもとのコミュニケーション

思春期になると大人と同様にコミュニケーションが取れます。ただし、やはり本心を語らなかったり、そっけない言葉が返ってきたり、無言だったり、怒っているような反応が返ってくることがあります。
そのため学童期と同様に話しやすい雰囲気を作ることがニーズの把握に繋がります。

まとめ

子どものアセスメントをする場合、発達段階別にコミュニケーションの特徴を捉えることがポイントになります。思いを言葉で伝える方法が大人とは異なるということを留意すると良いです。発達段階別に子どもを捉えることで、何を必要としているか、どんなケアが必要かアセスメントすることに繋がります。
大人とは違う子どもだけれど、大人の看護師が関わるからこそ、子どもに寄り添ったアセスメントができるといいですね。

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