ChatGPTを代表とする生成AIの技術を見て看護アセスメントにも使いたいと思っていませんか。生成AIは社会に大きな変化を与える技術として着目されています。看護アセスメントでは生成AIを活用するべきなのかどうかを詳しく見ていきましょう。
#生成AIとは?
生成AIとはテキストや画像などを生み出すことができるAIです。AIは人工知能のことで、データを学習するアルゴリズムを持っています。従来のAIではデータを学習させて、与えたデータの正誤の判定をさせたり、スコアリングをおこなわせたりするのが一般的です。
典型的なのは顔認証や指紋認証などの生体認証でしょう。たくさんの人の顔や指紋を学習させることで、顔の表情が変わったり、指の怪我をして指紋に傷が付いたりしても本人のものかどうかを高い確度で判定しています。声認証や虹彩認証なども同様です。また、スコアリングをして今後に起こる可能性が高いことを予測したり、より成功率の高い方法を示したりできるAIもあります。
生成AIはこのようなイエス・ノーの判断やスコアリングをするだけではありません。データの学習を通して、生み出す力を持っているのが生成AIです。典型的なのはChatGPTで、インターネットなどにあるビックデータから、問いかけに対して的確なテキストを創造して返すことができます生成AIは学習データを整理して分類し、インプットに対して的確にアウトプットを出すシンプルなシステムではありません。新しいテキストや画像などを生み出す力があります。データに基づいて学習している点では同じですが、生成AIはもともとなかったものを創造できるのが特徴です。
#看護アセスメントについて生成AIでできること
看護アセスメントでは生成AIをどのようにして活用できるのでしょうか。生成AIができることはだんだんと増えてきていて実用性も高まっています。現状でも看護アセスメントに生成AIを生かせるので、何ができるのかを簡単に見ていきましょう。
・情報の明確化
生成AIは看護アセスメントに必要な情報を取得して明確化できます。看護アセスメントに必要なデータについて学習させたモデルを使用すれば、データベースからカルテ情報や検査結果から必要な情報を取得してまとめることが可能です。情報を網羅的に集めて取捨選択するのは看護アセスメントで大きな普段になります。情報の見落としがあったために看護アセスメントがうまくできないこともあります。生成AIなら過去の事例に基づいて必要な情報を収集し、わかりやすいテキストや画像として自動整理することが可能です。
・書類の生成
生成AIなら看護アセスメントの書類を生成できます。看護アセスメントをしたときには、アセスメントのプロセスや結果を書面にまとめることが求められます。生成AIなら記述すべき内容を自動で取捨選択して、わかりやすい文章にまとめることが可能です。アセスメントを書くときに生成AIで原案を作り、修正して完成させるといったやり方で業務効率を上げられます。
・看護診断・看護計画の作成
生成AIを活用すれば看護アセスメントの結果に基づいて看護診断や看護計画の作成もできます。アセスメントを的確にできていても、情報を整理して分析した結果からどのように診断したら良いのか、今後の計画をどうするのがベストなのかがわからないことはよくあります。特に看護師になりたての人は診断や計画で悩みがちです。生成AIによる自動作成をして修正をしたり、ChatGPTに質問して参考になる事例情報を手に入れたりする使い道があります。
#生成AIを看護アセスメントに使うメリット
生成AIは看護アセスメントのプロセスの中で使うメリットがあります。大きく分けると3つのメリットがあるので確認しておきましょう。
・業務効率を上げられる
生成AIは業務効率を上げるツールになります。処理しきれないほどのタスクがある中で、看護アセスメントに時間を取るのはつらいと思っていることはよくあります。生成AIによってデータを取得し、原案のアセスメントが自動生成されるだけで業務負担が軽減されるでしょう。優秀な生成AIを利用できればほとんどAI任せで看護アセスメントをしたり、看護診断や看護計画の作成をしたりすることも可能です。
・苦手な部分を補いやすい
看護過程の中で苦手意識を持っている部分がある人もいるでしょう。生成AIを使うと苦手を補えるのがメリットです。頭ではわかっていても文章に起こすのが苦手という人は文章生成AIを使用すれば、より良い文章を効率的に書けます。情報整理が苦手な人も生成AIにデータをわかりやすくまとめさせることができます。苦手な仕事はストレスになるので、生成AIでストレスを緩和するという視点も持って使っていくと良い関係ができるでしょう。
・気づきを与えてくれる
生成AIは気づきを与えてくれるので、看護師にとっては成長機会を得られるメリットがあります。看護アセスメントを生成AIで実行してみたら、「血圧の変化についてこのような解釈ができるのか」と驚くこともあります。人が覚えていられないくらいの莫大なデータに基づいて分析してくれるので、生成AIの活用には発見があるのがメリットです。
#生成AIを看護アセスメントに使うデメリット
生成AIは看護アセスメントや看護過程全体において使わない方が良いという意見もあります。生成AIを使用するデメリットも押さえておきましょう。
・スキルアップになりにくい
生成AIに頼ってしまうと看護師としてスキルアップが難しくなります。看護アセスメントが苦手と思って生成AIの結果を鵜呑みにしてしまうと、気づきもなくて知識も経験も育まれていきません。ChatGPTのように簡単に使える生成AIが身近にあり、仕事が忙しい状況があるとつい頼ってしまいます。しかし、看護師として成長することを目指すなら、頼らずに使いこなすことが重要です。
・データになっていない部分には気づけない
生成AIはあくまで学習したデータに基づいて、入力に対する出力をします。データになっていない未知のことについては出力に反映されません。人が推察によって生み出せるくらいのことは生成AIでもできるようになってきています。ただ、既存の症例データでも学習されていない場合には的確なアウトプットができないので注意が必要です。データになっていないことも日々のコミュニケーションで気付く場合があります。生成AIで出てきた結果に頼り切らずに、自分で内容をチェックして必要なことを追加してからアセスメントを完了しましょう。
・社会的に認められるかの判断が難しい
生成AIを看護アセスメントに使用すること自体についての良し悪しは判断が難しいのが現状です。生成AIによるアセスメントが社会的に認められているわけではないからです。看護ミスがあったときに生成AIに基づくアセスメントで計画を立てていたという話になると、患者や家族、関連団体から非難を受けるリスクがあります。あくまで看護師がツールとして使うというスタンスで、生成AIとの付き合っていくことが大切です。
まとめ
生成AIの時代になって看護師も仕事に使える可能性を考える傾向が生まれてきています。看護アセスメントでもChatGPTなどの生成AIを使えるのは確かです。ただ、看護師にとっては自己成長を妨げる原因になるだけでなく、倫理の問題も発生するリスクがあります。生成AIは看護アセスメントで活用できる技術なので、うまく付き合っていくようにしましょう。
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