産婦人科で更年期障害の患者の看護アセスメントをする方法

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#2592 2024/06/14UP
産婦人科で更年期障害の患者の看護アセスメントをする方法
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産婦人科に勤めていると更年期障害の患者の看護が必要になることがあります。初めて更年期障害の患者のアセスメントをするときには不安になるでしょう。この記事では更年期障害の患者を担当するときの看護アセスメントの方法を紹介します。

#産婦人科で相談が多い更年期障害の特徴

産婦人科では出産や妊娠についての相談も多いですが、更年期障害についてもよく相談があります。通院での治療のことが多いため、病棟管理をしている看護師はあまり接点がないこともあるでしょう。ただ、患者の症状によっては入院してケアをする場合もあります。ここでは産婦人科の看護師が看護アセスメントをするための前提知識として、まずは更年期障害について確認しておきましょう。

・更年期障害とは

更年期障害とは更年期になったときに発生するさまざまな症状です。医学的には更年期とは女性の閉経前の5年、閉経後の5年を合わせた期間を指します。近年では男性も更年期になることが知られるようになり、更年期障害についての考え方も変わってきています。
更年期障害は閉経に伴って発生する諸症状です。大きな影響を及ぼしているのは閉経前後に女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が減っていくことです。女性ホルモンは月経にかかわる女性ホルモンの一つで、卵胞ホルモンとも呼ばれます。閉経前は黄体ホルモンと呼ばれるプロゲステロンと対になって機能している女性ホルモンです。どちらも卵巣から分泌されて排卵などの女性としての機能をコントロールする役割を果たしています。
月経はエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が周期的に変化することで引き起こされている現象です。閉経に向かう移行期では女性ホルモンの乱れが起こり、体調に支障をきたすことが多くなります。主にエストロゲンの分泌低下によって精神症状と身体症状の両方が引き起こされ、日常生活すらつらくなることもあります。

・更年期障害で多い症状

更年期障害の症状は個人差が大きいのが特徴です。更年期になってもまったく自覚症状がない人もいます。しかし、つらい症状が出てきてしまい、寝たきりの状態になったり、家族や友人との関係でトラブルを起こしたりしている人もいます。産婦人科に更年期障害で来院する患者は以下のような症状を持っているのが典型的です。

・ほてり
・発汗
・ホットフラッシュ
・めまい
・動悸
・倦怠感
・頭痛
・腰痛
・肩こり
・関節痛
・イライラ
・抑うつ感
・不安
・情緒不安定
・意欲の低下
・記憶力の低下
・食欲の増加と不振

自覚症状としてホッとフラッシュやほてりなどが気になって、更年期障害だと思って相談に来る患者もいます。一方、頭痛や肩こりがあって整体院やマッサージサロンに行き、アドバイスを受けて産婦人科に来院するというケースもあります。抑うつ気分になってうつ病ではないかという不安になり、心療内科や精神科を受診してから産婦人科を紹介されるという場合も少なくありません。
女性ホルモンは生体機能のバランスをコントロールする重要な役割を果たしています。今までとは違うバランスになって心身の機能が乱れてしまい、堪えられなくなってしまうと更年期障害が発生します。症状の広さからイメージできるように、患者が訴える症状は必ずしも更年期障害だけが原因ではないこともあります。看護アセスメントをするときには、年齢的に更年期障害の可能性があるかを考慮した上で、他の疾患の可能性も考えることが重要です。

・更年期障害を増悪させる要因

産婦人科で更年期障害の症状がある患者の看護アセスメントをするときには、一般的な更年期障害の症状を増悪させる要因についての知識があることが重要です。更年期障害は生活習慣によって症状が重くなることもあります。以下のような要因については注意することが必要です。

・ストレス
・睡眠不足
・栄養バランスの乱れ
・運動不足

病気を患っているときにも、病気の症状と更年期障害の症状が重なって増悪することがよくあります。風邪を引いているだけでも、頭痛や関節痛などがひどくなることがあるので注意しましょう。病気になると運動しなくなり、食事も十分にできなくなって症状が増悪しやすくなります。患者が病気という自覚を持っていなかったとしても、基礎疾患を持っている可能性があるので医師と相談しながら可能性を検討することが大切です。

#更年期障害の看護アセスメントで集める情報

産婦人科で更年期障害の患者の看護アセスメントをするときにはまず情報を集めることが必要です。まずは以下の情報を集めてアセスメントを始めましょう。

・月経の状況

更年期障害は閉経の5年前くらいから出てきやすくなります。すでに閉経している場合には、閉経時点から5年くらいは症状が重くなりがちです。患者に質問をして閉経しているかどうかをまずは確認しましょう。閉経前の場合には月経不順はないか、不正出血はないかといった月経の状況を確認することが大切です。月経不順などのトラブルが起きているときには、更年期障害と同様の症状が発生することが多いからです。

・日常生活による心理要因

更年期障害の症状はストレスなどの心理要因による影響を受けます。日常生活のトラブルがないか、不安に思っていることはないかを質問しましょう。プライベートの内容を必ずしも看護師に話してくれるわけではありませんが、質問してみると増悪要因がわかる場合があります。産婦人科を受診している女性は心理要因に不安を抱いていることも多いので、率直に聞いてみることが大切です。

・家庭環境などの環境要因

環境要因は更年期障害に影響を及ぼします。良好な家庭環境ではなく、日常的に家族付き合いで苦労しているような場合には更年期障害が悪化しがちです。家族との関係は良いか、子供は健康に育っているかといったことも質問しましょう。プライベートの内容なので無理に聞くことはせず、会話の中で自然に聞き出すのがコツです。

・症状に基づく検査結果

産婦人科に来院した際や更年期障害と診断されてから検査した内容についてデータを収集することも看護アセスメントでは重要です。動悸の自覚症状があるときには心電図検査や心エコー図検査、胸部X線などの検査を通して状態を客観的に確認します。不整脈や心肥大などの疾患が見られたときには、疾患の治療を進めることが重要です。検査結果を一通り集めると看護師としてすべきケアが明確になります。
また、糖尿病のリスクの確認も重要です。産婦人科でよく見かけられる更年期障害の症状は糖尿病の症状と似ています。血液検査の結果で血糖値やHbA1cの値を見てみると、更年期障害ではなく糖尿病が原因の可能性を疑うことができます。

・症状への対策として取り組んでいること

更年期障害の自覚症状に対して患者が自分で取り組んでいることがあるかを聞きましょう。産婦人科に来院する前に、例えば以下のような取り組みを始めている場合があります。

・整体院に通院
・サプリメントの服用
・セルフマッサージ
・運動習慣の開始
・ダイエット

肩こりがひどいから整体院に通う、ストレスが多くて眠れないからサプリメントを飲むなどといったことをしている患者も多くなっています。ダイエットに必死に取り組んでいるといったケースもあるので、更年期障害の症状を感じ始めてから開始したことを一通り聞いてみましょう。

まとめ

産婦人科で更年期障害の患者が来院したときには、詳しく症状の様子や症状に対しておこなってきたことを患者に質問しましょう。閉経によるホルモンバランスの乱れが症状の原因であっても、他の要因が増悪させていることがよくあります。看護アセスメントでは広い視野で患者に話を聞いて根本的な原因を広く探ることが大切です。

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