患者様の全体像を捉える際は疾患、患者様の第一印象が最も情報収集しやすいです。また今後の生活を考える際は患者様の生活背景を捉え、アセスメンすることも重要です。今後の注意点等の退院指導の際に伝えやすくなり、家族の協力が得られるのかなどを考える機会になります。看護師として情報収集にはコミュニケーションが重要です。患者様の何気ない一言が問題解決のカギとなることもあるので、会話を大切にしてほしいと思います。
看護過程立案において患者様の全体像はとらえることは必須事項です。しかしその全体像を捉えるには、疾患の背景にある患者そのものの背景を捉えることが重要と考えます。
患者様のアセスメントに対し、まず疾患から見る患者像の特徴を捉えることが大切です。
例えば、なぜその患者がその疾患になったかを外見、第一印象から見ます。私が泌尿器科で勤務していたとき、尿路結石の方が2泊3日または3泊4日で入院治療を行っていました。
クリニカルパスを導入していたので、入院時の必要書類等は決まったものがあり、前処置も決まっていたので業務はとてもスムーズでした。
家族構成や職業、出身地、趣味、アレルギーや病歴・手術歴、一般的な入院時の問診をすれば業務的は遂行。
しかし、退院日に行う退院指導に向けて、私は最も重要視していたのは患者様の背景でした。
もちろん、第一印象と疾患から分析、アセスメントすると「あ~この体系じゃなるか。」という患者様もいましたし、入院時聴取時に飲酒暦を聞くと大酒飲みだったりすると「あ~結石もできるか」と思っていました。
しかし患者様の生活背景や職業、家族構成を聞いていくと、「もしかしてこれも原因では?」ということがありました。
例えば、会社員と聞いてはいたものの、普段は外回りが多く水分不足、しかし接待等でお酒を飲むことが多い営業マンだったり、ストレス発散で毎晩晩酌、お酒を飲むと止まらなくなる人、以前にも尿路結石で入院歴のある方だとその後の飲水量が極端に少なかったり、生活習慣が変わっていなかったりと、何気ない会話から多くの情報が出てきます。
その情報は、退院指導の際にとても役に立ちました。
もともと病棟で用意していたパンフレットには、飲水量2Lを必ずと記載していましたが、高齢だと、もともと普段からそんな多量に飲水とらないよ!という方もいました。その際は、食事の際のコップや湯飲みの大きさを変えて量を増やしてみるのを提案をしたり、では1.5Lならどうですか?と少し量を減らし10時、15時、寝る前、お風呂前にコップ1杯追加して飲むのはどうですか?など具体的に提案することもありました。
またお酒を飲む方だと、ビールを控えてくださいと念のため伝えますが、聞いてもらえることはごく一部の方。なので、肉や卵などプリン体を含む食品を多くとるときは、ビールを飲むときは控えましょうと伝えたりもしました。
「焼き肉しながらビールなんて楽しくて最高ですよね。私も好きですが、またあの痛みを経験しちゃいますよ」とも、よく話していました。具体的な生活例を挙げると、親近感もあり想像もしやすくなります。
またご家族にも、晩酌を少し控えましょうやプリン体を含む食品を具体的に伝え、協力を依頼しました。
家族の今日協力を得られるとご本人以外の目があるので異常の早期発見にもつながります。
こう考えると、入院時に聴取する手術暦や通院歴と同じぐらいその患者様の生活背景はアセスメントに重要であり、退院指導の際や今後の生活を考える際に重要だなと思っています。
また入院の際に最初に情報収集するのは看護師です。看護師として培ったコミュニケーションを活かし、ぜひ何気ない会話から患者の情報を引き出していくこと重要と考えます。
しかし、そのコミュニケーションのきっかけが…なんて方もいると思います。私も新人の時は何を話したらいいのか全く分からず、ロボットのようにただ書類に書かれていることを確認していく作業ばかりでした。
しかし、先輩は退院後の生活も見据え、患者の問題点を情報収集の段階で上げ、退院指導や看護問題につなげていました。なぜそんなことができるのか聞いてみると、バイクの話をしていたら色々話してくれてね、と。意外なこたえでした。
その話を聞いてから私も趣味の話や、何気ない世間話をするようにしていきました。例えばテレビで話題のニュースやその人の趣味から話をしていきました。
芸能人のゴシップネタや最近の音楽など、自分のわかる範囲のこと、また私はスポーツに関しては全く分からなかったので、野球やサッカーなどわからないので教えてくださいと話すと、みなさん心優しく教えてもらえました。
そこからその人の休日の過ごし方や、普段の生活背景は見えることがあるので、そのチャンスを逃さないようにしていました。
また患者に心を開いてもらうには、聞いてばかりではだめだなと思い、自分のことも話すようにしていました。
趣味で楽器を演奏しています、お酒もビールが好きです、芸能人の〇〇が好きです、など自分のこともオープンに話すと特に女性の方は「そうそう」と笑いながら、高齢の方は娘や孫と同じことを言っていると笑っていることもありました。情報取集は相手のことをとにかく知るのも大切ですが、自分のことも知ってほしいという気持ちで話すと、意外に心を開いてくれ色々話しやすくなるのだと思います。
またその会話から先輩方も知りえなかった情報や家族も知らなかったことなど様々なことが明るみになることもあるので、コミュニケーションはとても大切だと思います。
またその後の退院後の生活についてアセスメントする際に、特に困ったのは退院後を考えると介護保険が必要と思われる高齢、しかし家族はそこまで老いていないと思っており、退院後も今のままと思っている人が多いことでした。
老々介護が問題となっている今ですが、私が新人の頃はまだそこまで社会問題になっておらず、申請してもすぐに認定はおりず、またデイサービスなども少なかったと思います。
介護保険=老いたことを認める、恥、利用することはご近所の目もあり恥ずかしい、そもそも何に使うのか、どんな時に使えるのか知らないという反応が多かったように思います。
そのため、配偶者やその息子、娘が一緒に入院当日来られる際に介護保険の申請について問うと、なんでそんなのが必要なのか?と怒る方や理解していただけない方もいました。
皆さん、「そんなに必要ですか?」「うちの人に限って…」と話していました。クリニカルパスのように数日の入院で済む場合でも術後せん妄の危険がありますが、がんの手術だと順調に進んでも、1週間はかかり、手術後すぐの退院は難しいのが現実です。高齢の方は環境の変化により認知症が悪化したり、入院生活が長引くなることで筋力の低下があることを話し、万が一に備えて介護保険の申請を促しますが、それでも「うちの人は大丈夫」と聞き耳を持ってもらえず、話だけでも聞いてはと院内のソーシャルワーカーなどに情報を流すも面談を無視する方もいました。
その後、術後の状況が思わしくなく退院が長引き、自宅退院困難な状態やリハビリが必要な状態になると、「こんな風になるなんて」「これじゃ家に帰れない。
でもうちでも介護できない」と困ってしまし、しまいには面会に誰も来ない、どうするのか方向性が決まらず、ソーシャルワーカーが何とか入って申請を進めることが多かった気がします。
家族の状況を一早くキャッチし、必要時、院内のリハビリや相談員などの多職種連携しスムーズに退院に進めるようにサポートするのも看護師としてアセスメントする重要性、またその情報を多職種と共有する大切さを学びました。
またそ聞きにくい話も、しっかりと聞きアセスメントすることが大切だと思います。
まとめ
疾患や第一印象から見た患者様のアセスメントも大切だが、コミュニケーションを通して、患者様の生活背景を知り、アセスメント、そのことを活かした退院指導や多職種連携することも重要。と考える。そのためにも、自分のことも知ってもらいながら、患者様のことも知り、何気ない会話から情報をキャッチするスキルを磨くことが看護師として大切なことだと思います。またアセスメントした情報は、多職種とも必要時は共有することが大切です。
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