20代後半や30代は、今後のキャリア形成において重要な時期。それは仕事だけではなくプライベートでも同じこと。結婚、出産を経て、現場復帰をしたいけど、家庭も大事にしたい。
先輩ナースたちがどのように家庭と仕事を両立しているか。その重要な要素の一つが、職場選び。
どんな職場なら、家庭を優先しながら続けやすいのか。そのヒントをお伝えします。
まず、何を大事にしたい?そしてどこで働きたい?
あなたが最も優先させたいのは何ですか?
子どもやパートナーと一緒に過ごす時間?それとも看護師としてのキャリア?もしくは両方バランスよく?
また、看護師といっても活躍の場は多様。あなたはどんな現場で働きたいですか?
優先させたいこと、そして働きたい場所。それによって選択肢や方法は大きく変わってきます。
まずは、あなたが家庭と仕事と、ご自身の生活や将来を含めて一度整理し、今何を優先させたいのか、させるべきなのかを整理してみてください。
それでは、実際に働く場の一例を、メリット・デメリットと共にいくつか挙げていきます。
選択肢① クリニック
クリニックのメリットは何といっても主婦が多いこと。そして夜勤がないため、シフト調整がしやすい。また、閉院時間が決まっているため、時間が読みやすいことです。朝も比較的ゆっくりなクリニックも多いですね。また、お盆や年末年始は長期休暇に入るところも多いので、パートナーがカレンダー通りのお休みの方だと、休みを合わせやすくて旅行や帰省の日程調整がしやすいでしょう。
また、先輩たちも子育て経験者が多いため、共通の話題が多く、相談もしやすいこともメリットですね。
デメリットは、病院以上に閉鎖的になりやすいため、人間関係が拗れるととても働きにくくなること。
それは看護師の間だけではなく、医師や事務職なども含めて。スタッフの大半が家族、なんてクリニックも少なくないので、上手く馴染めないと余計なストレスになります。また、閉院時間が決まっていても残業がないわけではありません。片付けなどに数時間要して、その分の給料は・・・なんてことも。
クリニックは院長の経営方針が如実に反映されます。どれだけ子育て世帯に優しい経営をしているのかは、院長の価値観次第です。それゆえに、選ぶ時は慎重に。実際に受診して雰囲気が悪くないか、どんな世代の看護師さんたちが働いているのか。臨床を経験した看護師さんであれば、一度受診したらどんな医師かは何となく判断できると思うので(笑)
雰囲気が良くて、広い世代の看護師さんがゆったり働いていて、信頼できそうな医師であれば、働く場の選択肢に入りますね。1番信頼できるのは働いている人の口コミです。ご近所さんからクリニックの評判を聞いたり、検索サイトの口コミを読んでみるのも情報収集手段の一つです。
選択肢② 病院
病院という選択肢が、次に思いつきますね。病院といっても、もともといた病院に戻るパターンと、新しく別の病院を探すパターンがあると思います。
メリットは、夜勤をやるのであれば給料はクリニックなどと比較して高くなること。平日に休みを取りやすいため、官公庁や金融機関の予定の調整がつきやすいこと。病院の看護師としてのキャリアアップ(認定看護師や管理職など)を将来的に目指しているのであれば、すぐにその道に戻りやすくなりますし子育てをしながらキャリアを積み重ねることができます。また、現場で働く感覚もキープできるので、「長年現場を離れてたから不安」ということは無くなります。
デメリットは、病院によっては夜勤や土日勤務が強制されてしまうこと。また、急変などで突然の残業が発生する可能性が高いこと。これは家族との時間を最優先させたい人には許容し難いでしょう。人が少ない病院だと、休みにくい雰囲気だったり、またあまりにも若い子が多すぎる病院だと定時で帰りにくい雰囲気の現場もあるかもしれません。
病院の選択基準の一つとして、院内保育所の有無を確認してみるといいと思います。病院によっては病児保育を受け入れていたり、夜勤の場合でも預かってくれる保育所を完備しているところもあります。あとは労働条件の確認と、働いている年齢層、病院の雰囲気です。この辺りはクリニックと同様ですね。病棟ではなく、外来で働くという選択肢もあります。外来ならば病院でのキャリアは重ねつつ、夜勤がない働き方も可能です。
病院の種類も重要でしょうか。急性期の方が緊急入院や急変が多いため、予想外の残業が増える可能性があります。また、働く人の平均年齢も下がります。療養や回復期の方が、比較的ゆったり働きたい主婦層が多いです。ただ、療養や回復期は病院の規模が小さくなる傾向にあるため、急性期病院の方が制度や設備は整っているかもしれません。この辺りは気になる病院の要項を確認し、実際に見学に行って確認することを強くお勧めします。
選択肢③ 施設
施設も主婦が多く働いています。看護師は処置がメインのため、比較的残業は少ないでしょう。時間も比較的ゆっくり流れますし、利用者さんとゆっくり関わりたい方にはいい職場だと思います。
しかし、施設はその形態に応じて看護師の配置基準が異なります。場所によっては看護師が一人だけ、なんてところもあるので、急に休むのが難しいこともあります。また、夜勤があったり、
夜勤で泊まり込まなくてもオンコール当番が回ってくることはあります。基本的に自分一人で判断を迫られる場面が多いです。
もし経験年数が数年程度で、夜間の対応が難しいようであれば、あまりお勧めはできません。ただ、特養のように複数人の看護師が常に働いているような施設では、ある程度能力や家庭の事情に合わせた働き方をさせてもらえるかもしれません。
施設もクリニックと同様に、経営者の方針が色濃く反映されます。自身の能力、生活等と労働条件が噛み合うのか、見学などに行って直接相談してみる方がいいでしょう。
選択肢④ 学校
実は学校で働くという選択肢もあります。専門学校で教員として働くには専門の資格が必要です。
しかし、実習指導のアルバイトだけであれば資格は不要です。また、大卒の人であれば母校で実習指導者を募集していることがあります。これらは紹介でお話をいただくことが多いので、仲の良かった先生に相談しみてみるといいかもしれません。
メリットは、残業がほとんどないこと、教員を将来的に目指している人はキャリア形成ができることです。一度働くと継続的に雇用していただけることが多いので、実習助手以外でも演習補助などに入れることも。教育分野に興味のある人にはいい現場です。専門学校はわかりませんが、大学は実習中と補助を頼まれた講義時間以外は比較的時間の自由が効くため、自分の裁量で働く日や時間を調整できます。(もちろん、上長の許可は必要です)
デメリットは、給料はそれほど高くないこと。教育に興味がない人には苦痛でしかないことです。実習先の病院の管理者とやりとりすることも多いため、対外的な応対が苦手な人にはあまり向きません。臨床の看護師さんと教育現場の先生とではちょっと雰囲気や価値観が違うところもあるので、それに戸惑うこともあると思います。
教育に興味があって、母校で信頼できる先生のもとで働ける、という方はベストな現場だと思います。
実際にどうやって両立していくのか
私の職場の看護師さんたちが工夫している方法をいくつかご紹介します。
基本的には上述した流れと同様です。まずは自分のキャリアと生活環境を踏まえて働く場を選定します。私は今、病院で働いているため、「臨床で働きたい」と考えて中途入職した方が多いですね。「急性期は大変だから」という理由で回復期や療養に就職する人は本当に多いです。逆に、「クリニックで働いていたけど、今後のキャリアを見据えて病棟に戻りたい」という理由で就職した人もいます。
みなさん基本的にはご家族の協力を得ながら働いています。家族構成はご両親と同居していたり、核家族だったり、シングルさんだったり色々ですが、ご家族と相談して時短勤務にしていたり、パートとして働いていたり、契約社員として少なめの土日・夜勤勤務をしていたりしています。
時短の人は幼稚園に通っている子もいますが、多くは保育園にお子さんを預けています。ただ、田舎なので病児保育が少ないのが難点です。そのため、お子さんが体調を崩すとお母さんも休まざるを得ない、という現状です。ご家族が代わりに見てくれるようであればお願いしたりしていますが、実際はお母さんが有給を使ってお子さんの面倒を見ていることが多いです。
私の病棟では、小さいお子さんを持つ子育て世代が多いため、ダラダラ残業する雰囲気はありません。むしろ終業時間ピッタリに帰るという雰囲気です。子育て世代の方々はしっかり時間で仕事を終わらせて帰宅しています。みなさん土日休みが多いため、同世代の子どもを持つ親同士で家族として交流を持って出かけたりもしているようですね。
このように、多様な背景を持ちながらも、働き方を工夫して両立させています。どのような働き方ができるのかは、その職場次第ですので、直接相談してみてください。
不可欠なのは、ご家族の理解と協力です。また、私の地域に病児保育が少ない様に、地域によっては働く親を支援してくれるサービスや施設が限られることもあります。
どのような環境なのか、家族としての意向はどうなのか、その上でどんな働き方をすべきなのか、万が一のときはどうするのか。一度に全部を一人で考えるのは難しいので、家族や周囲の友人、先輩と相談して考えていけるといいですね。
まとめ
家庭を持つ看護師さんが仕事を続けたい!その両立のための選択肢となる働く場をいくつかご紹介しました。
その他、訪問看護や地域包括支援センター、保健センターなど様々な選択肢があります。上述したように、それぞれの現場でメリット、デメリットがあります。正社員にこだわらないのであれば、派遣のサイトなどに登録をして、どのような求人があるのか知るだけでも、考える契機になるでしょう。
大切なのは、まずあなたが何を1番に考え、そして将来どうしたいのか、です。
今しかない時間をどのように過ごし、そして自分と家族が将来どうなりたいのかをイメージしてください。そこが、新しい生活を踏み出す上での第一歩です。応援しています。
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