アセスメントと聞いて苦手意識を持つ方は多いのではないでしょうか。私も看護学生、看護師になりたての時はとても苦手でした。しかし、看護師になってから経験を積むことによってアセスメント力というのは日々培われていきます。そこで今回は私が経験した実体験をもとに、私流のアセスメントの方法をお話し出来たらと思います。
看護学生の時に実習で嫌というほど記録で書くアセスメント。看護学生時代に比べると看護師になってからの方がアセスメントをすることの方が倍になります。
私は看護学生の頃、アセスメントがとても苦手でした。頑張って考えてアセスメントをしても教員からは間違っている、このアセスメントは違うといわれる日々。
看護師になってからも先輩にこのアセスメント、なんでこう思ったのか?根拠は何?と質問され、自分の受け持ち患者様の病態を振り返る日々。
そんな私も経験年数を重ねるにつれ、アセスメント能力が培われ、看護師として成長することが出来ました。
私の体験談を通して皆様の看護師生活がより良いものになればと思います。
最初に結論を言ってしまいますが一言で言えば、病態や点滴、内服内容など全てのことに対して
「なんでこうなっているのだろう?」「なんでこの薬をいっているのだろう?」という疑問を常に持って業務に就くこと、
日頃から患者様を診る観察力をしっかりと磨くこと、治療内容に対して評価することが、看護師にとってはすごく大事です。
私は看護師1年目の頃、毎日の業務をこなすことに精一杯で患者様の病態や投与されている点滴・薬にも特に疑問を持たずに業務を行っていました。
そこで先輩に、この人はなんでこの点滴を投与してるのか分かる?なんでこの内服を飲んでいるのか分かる?
この患者さんとこの患者さんは同じ心不全の疾患なのに、こっちの人の方はなんでこの利尿剤をいっているのか分かる?と聞かれ
恥ずかしながら看護師になって初めてそこでアセスメントを意識しました。
なぜこの人はこの薬を飲んでいるのか?多くの抗生剤がある中で、なぜ先生はこの抗生剤を選択しているのか?
そう言った疑問を持って調べたり勉強することで、受け持ち患者様の病態が点と点が線で繋がるようにしっかりと把握できるようになり、
根拠に基づいたアセスメントが出来るようになっていきました。もう一言いうなれば個別性もしっかり出せますし、
アセスメント能力がついたと実感して自分に自信が持てるようにもなります。
もうひとつ治療内容で勉強しても分からないことがある時は、私は主治医に質問するよう心がけていました。
主治医のため、患者様の病態のことを1番把握しており、これからどういった治療計画を予定しているのかを教えてくれたり、
なんといっても説明が分かりやすいため、アセスメントに役立てやすかったです。
話かけやすい医者限定なので、そもそも話しかけにくい主治医の場合はすみません笑
現在私は施設の常駐の看護師をしているのですが、そこで体験したエピソードを3つほどお話ししたいと思います。
1つ目:普段のADLは杖歩行で自立、入浴は見守り下で出来て、コミュニケーションも問題なくとれる患者様がいらっしゃいました。
朝の申し送り中に、夜勤明けの介護士が「〇〇さんですが今日の朝の食事中に食べこぼしを沢山され、何回もスプーンを落とされていました」と報告していました。
普段のADLを把握していた私は「杖歩行で自立している〇〇さんが食べこぼし?利き手のスプーンを落とす?これはおかしい!脳梗塞では?」と思い、
申し送り後にすぐに患者様のところに訪室しました。
バイタルサインに異常はないものの、明らかな呂律困難と右上肢の脱力感と口角下垂を認めており、脳梗塞を疑いました。
往診医へすぐに状態を報告し、救急搬送の指示が出たためそのまま救急要請し病院へ受診したところ、左脳梗塞の診断で入院加療となりました。
こう言った何気ない申し送り内容にも、なぜ?と疑問を持つことで、早期に患者様の異常を発見し治療を開始することが出来ます。
今回は早期に脳梗塞の治療を受けれたので、麻痺などの後遺症もなく数日で施設に退院されることが出来ました。
2つ目:連休明けに出勤すると申し送りノートに
「〇〇さんですが、仙骨に小さい褥瘡(サイズは3㎝×3㎝程)が出来たため看護師に報告しアズノール塗布の指示をしています」と記載していたため
そんなに大きくない褥瘡で良かったなあ、アズノール塗布ってことは小さい剥離ぐらいの褥瘡かな?と思いながら、その患者様の褥瘡処置に入りました。
処置に入ってみると、申し送りノートに書いてあった通りのサイズより少し大きくなってはいましたが、黒色壊死を認めたため
これはアズノールでいいのか?壊死組織があるから溶かしてあげたほうがいいのでは?アズノールではこの褥瘡は良くならないと考え、
往診医に打診したところ、すぐにゲーベンへ変更との指示があり、軟膏の変更が行われました。
いつから黒色壊死になっていたのかを確認しましたが、特にどのスタッフも疑問に思わず、アズノール軟膏塗布の指示があったため
評価することなく処置を続けていたそうです。
軟膏がアズノールからゲーベンへ変更後、評価を繰り返して時々軟膏の変更を行いながら、徐々にではありますが褥瘡の状態も改善していきました。
患者様の褥瘡の悪化状態に気づかず指示された軟膏を塗り続けていたら、状態が更に悪化し、最悪ポケット形成・褥瘡からの感染症など
そのような状態にまで至っていたかもしれません。
そういった意味でも看護師の気づく能力、観察する力、疑問に思うことはとっても大事になってくるのです。
3つ目:介護士より、〇〇さんが下痢をしているので整腸剤が欲しいとおっしゃっていますが処方してもらうことは可能ですか?と相談されました。
私は「整腸剤か、とりあえず先に患者さんに話を聞きに行こう」と思い、患者様のお部屋へ訪室して話を聞いたところ、
以前便秘でこの前の往診時に下剤を処方してもらったとのことでした。
その患者様の薬剤情報を確認すると、定期で毎食後に下剤を内服されていました。
そのため毎食後の下剤を排便の状態に合わせながらスキップしたところ下痢は改善され、整腸剤の処方もすることなく排便状態が整いました。
下痢をしているから整腸剤を処方してもらおう、という考えではなく、アセスメントで必要なことは、何故下痢になっているのか?の原因を考えることが優先です。
これはどのような場面でも言えることです。まず原因の解明。そこからじゃあどうしたらいいのか、を考えることがとても大事です。
経験年数やどのような職場かにもよりますが、日頃から患者様の観察をしっかり行っていると、なんかいつもと違うな、ということにすぐ気づくことが出来ます。
病院などで勤務する看護師さんは日頃の業務で多忙かと思われますが、その中でもしっかりと観察する癖をつけてもらいたいです。
そして指示されているからと言って、処置内容を評価しないこと。これもものすごく大事です。
処置を行って、状態が良くなっているのか、悪くなっているのか、変わっていないのか。それを評価することで着実に自分のアセスメント能力が身についていきます。
患者様のすぐ近くにいる医療従事者は、医者でなく看護師です。
私たちが日頃からしっかりと観察を行い、疑問を持って従事し、処置内容や投与されている点滴、内服などの治療内容を評価することで
早期に患者様の異常に気付くことが出来、その患者様にとっての最善の治療に当たることが出来ます。
私の実体験が皆様の力になればとても嬉しいです。自分の身体を第一に無理せず頑張っていきましょう!
まとめ
私が思うアセスメントに必要なことは、疑問を持つこと・日頃から観察力を磨くこと・治療内容を評価すること。看護師として働くうえでこの3つが大事だと私は考えています。このことを意識することで看護師として一気に成長できるはずです。あの辛い実習時代を乗り越えた皆様なら出来るはず!是非意識して働いていただければ嬉しい限りです。
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