看護大学を卒業してから病院や企業に就職せずに、大学の研究員になって働いている人もいるでしょう。大学の研究員として働いている人も臨床で働きたいと思うようになることがよくあります。この記事は大学で働いている人が臨床看護師になる方法を紹介します。大学の研究員として働くメリット・デメリットも解説するので参考にしてください。
#看護大学の卒業後に研究員として働く道のメリット
看護大学を卒業して看護師免許を取ったらほとんどの人が医療施設や介護施設に就職します。大学の研究員として働く人はあまり多くない分、キャリアとしては珍しいので重宝される人材になれるチャンスがある道です。ここでは卒業後に研究員になって働くメリットを解説します。
・看護の研究活動を楽しめる
大学の研究員として働くと、看護の専門家として研究活動に集中できるのがメリットです。大学病院の患者のデータから新しい看護理論を提唱したり、臨床データを過去に遡って分析して看護師に必要な技術を開発したりするなど、さまざまな形の研究を進められます。大学の卒業研究が楽しいと感じた人にとってはやりがいがあって楽しめる仕事になります。
・医療や介護の業界でネットワークが広がる
大学の研究活動では広いネットワークを作れるのが魅力です。研究成果を学会で発表すると、興味を持った関係者とのコミュニケーションの機会が得られます。大学関係者だけでなく、臨床で働いている看護師や医師などとのつながりもでき、さらには医療機器メーカーや製薬メーカーなどとも話せることがよくあります。学会参加によって自分からネットワーキングをする機会も手に入れられるため、今後の人生できっと役に立つ人脈を獲得できるのがメリットです。
・専門的な知識を付けられる
研究職として働くと最先端の研究を調査して今後の研究を考えなければなりません。今あるいは今後に必要な専門的な知識を付けられるのがメリットです。自分の研究成果は最先端のもので、自分以外は誰も知らない状況です。公表するまでは自分やグループメンバーだけが知っていることになります。最前線で看護を支える研究を進めていき、自分自身の知識を磨いていけるのが魅力です。
・成功すれば大学教員として研究と臨床を両立させられる
看護大学の研究員として成功すれば大学教員になれる可能性も生まれます。看護大学の教員になると教育・研究に加えて、附属病院や関連病院での臨床の仕事も担当する場合が多くなっています。研究員として大きな成果を上げられれば、大学教員としてスカウトされたり、公募に応募して採用されたりする機会があるのがメリットです。
#看護大学の卒業後に研究員として働く道のデメリット
卒業後に看護師として臨床現場で働く人が多いのは、大学で研究員になるデメリットも多いからです。ここでは卒業後に大学で研究を続けるデメリットを説明します。
・新卒枠で就職ができない
研究員として働いてから臨床看護師になろうとすると、新卒枠を利用できないのがデメリットです。看護師のほとんどは新卒として就職活動をして世の中で働いています。臨床未経験が当然でポテンシャル採用をするのが新卒採用の特徴です。このチャンスを逃してしまうと志望できる施設の幅が狭くなってしまいます。
・研究員から大学教員になって臨床を兼務するのが難しい
研究員から大学教員になって臨床を兼務できれば理想的と思う人もいるでしょう。ただ、大学教員のポストは数が限られていて、空いたときにしか募集がありません。競争率も高いので、希望通りのタイミングで転職できる方法ではないのが一般的です。勤め先の大学教授から採用したいというオファーをもらえるくらいの成果を出すことが必要になります。
・成果が上がらないと研究員も続けらないことがある
看護大学の研究員として看護の研究を続けながら、チャンスがあったら大学教員になる、あるいは臨床看護師になるという選択肢もあります。しかし、研究員は有期雇用のことが多く、研究成果が上がらないと継続契約ができなくなる場合があるので注意が必要です。臨床看護師になりたいと思っているときには、研究活動と転職活動を両立させなければなりません。
・転職するときに社会経験がないと見なされやすい
大学の研究員として働いてきた人は社会経験がないと見なされる場合があるのもデメリットです。学生の延長線上で働いている人が多いので、採用担当者からの印象が悪いことがあります。転職活動ではやや不利な立場になることを覚悟して戦略を考えることが必要です。
#大学の研究員として働きながら看護師になる方法
大学で研究員になった後、働きながら臨床看護師になるにはどうしたら良いのでしょうか。ここでは5つの方法について特徴を紹介します。
・勤め先の大学に関連する病院に教授から推薦してもらう
大学の研究員として働いてきたなら、研究室の教授から推薦を受ける方法があります。臨床で看護の研究をしていたのであれば、関連する病院に頻繁に出入りしていたのではないでしょうか。その病院に推薦してもらえる可能性があります。病院によってシステムは異なりますが、内部の様子を知っている看護師が入ってくるのは歓迎される傾向があります。もともと大学附属病院で研究をしていたなら、看護師として就職した後も研究を続けて欲しいと言われることもあるでしょう。展望を広げられる可能性もあるのでおすすめ方法です。
・修士号や博士号を取得してから就職先を探す
新卒として臨床看護師に就職するために、修士課程や博士課程に進学する方法があります。研究員になった時点で博士号を持っている人には難しい選択肢です。しかし、学士や修士の人ならさらに学問を究めてから就職する方法があります。研究に力を注いでいる病院では修士や博士の資格がある看護師を高く評価しています。研究員としての研鑽も積んでいれば有利です。新卒で就職を希望すれば喜んで迎え入れてくれるでしょう。
・公的機関の研究職になって異動を希望する
公的機関の研究職になってから臨床への道に進む選択肢もあります。都道府県などが経営している病院に研究の担当として転職し、業務の一環として臨床にも携わるという道を選べることがあります。公的機関では異動の自由度が高いことが多く、1年くらい働いた時点で異動を希望して臨床看護師になるという道を描くことが可能です。大学で研究員として働いてきた経歴は公的機関では高く評価されます。関連病院がある公的な研究所に就職して異動を希望するという流れでも臨床に進める可能性があります。
・一から始めるつもりで中途採用の求人に応募する
大学の研究員として働きながら転職活動をして中途採用枠で臨床看護師になることは可能です。一から始める気持ちを持つ必要がありますが、覚悟を決めればきっと採用してもらえます。臨床経験がない看護師を受け入れている施設は全国的にたくさんあるからです。ただ、看護師の中途採用の方針は施設によって大きく異なります。研究に注力してきた経験についても評価が違うので、求人選びには注意が必要です。学会活動などでネットワークを広げて、研究力を高く評価してくれる病院を選ぶと転職しやすいでしょう。
・派遣看護師から始めてスキルと経験を積んでいく
臨床現場では派遣看護師がよく活躍しています。派遣看護師は紹介予定派遣で正職員に登用してもらう道があるので、派遣看護師から始めるのもおすすめです。最初は通常の派遣でいろいろな現場で経験を積み、臨床現場で必要なスキルを身につけると良いでしょう。自信を持って働けるようになったら、紹介予定派遣で就職先を探すか、転職活動を始めましょう。派遣は研究員として働きながらでも手続きを進めるのが簡単なのでおすすめです。
まとめ
大学で研究が楽しくて卒業してから研究員になった人も、臨床看護師になれることが理解できたでしょうか。今後のキャリア形成にはさまざまな選択肢があります。研究の経験はプラスになるので、積極的に今後に生かしていくのがおすすめです。これから先、研究を続けたいか、臨床に専念したいかをよく考えて転職活動の方法を選びましょう。
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