在宅の利用者を訪問すると、時に足の指(足趾)の色が変化していることがあります。またむくみや水泡が見られることも。そのような時には、足趾の循環不全に対する対処が必要となります。例えば足浴、マッサージ、軟膏塗布を看護計画に入れて実施していくことが大切です。
在宅生活をおくる利用者によくみられる症状の一つ。それが、足の指つまり足趾の変色です。時には足趾だけではなく、足背も冷たく色が変化していることがあります。環境が大きく左右することもありますが、そこには基礎疾患もかかわってくるので、私たちが観察する上で重要な部分となります。では、足趾に異常があると思った時には、どのようにアセスメントすればよいのでしょうか。
・利用者の足趾の色が悪い
夏場はまだ気温が高いので、足先に冷感が見られることは少ないかもしれません。しかし、冬場になってくると気温が低くなるので、室温も下がり足先の冷感が強くなるという人も少なくありません。冷感があるということは、循環が悪くなっているということを表しています。
利用者の中には、冬に足が冷たくなるのは当然と思っている人も少なくありません。しかし、循環が悪くなれば、いろいろな2次障害が出てくる可能性があるので注意が必要です。看護師も冷感があるということは、よく見られる症状の一つと単にとらえるのではなく、その根底にはどのような原因があるのか。またその利用者にとって、基礎疾患からの影響なのかどうかなどをアセスメントすることが重要です。
・靴下で締め付けて循環が悪いこともある
在宅にいる利用者は、冬になると靴下を履いていることがほとんどです。しかも、それを夜間も履きっぱなしで就寝していることも実は多いのです。
例えば、昼間にデイサービスなどを利用して、入浴をした後洗濯したきれいな靴下を着用します。その後デイサービスから帰宅しても、そのまま靴下を着用し続け、夜を過ごすということも少なくありません。
これが自分の足にちょうど良い物、もしくは少し緩めな物であればいいのです。しかし、足趾の色が悪い場合、この靴下はきついのではないかと思われるものを着用していることが多いです。また普段むくみが気にならないという人でもデイサービスの間は、アクティビティや体操をしたりするので、いすや車いすに座って過ごすことが多くなります。そうすると、午後になると足がむくんでしまうことも少なくありません。
むくみがない状態では靴下が食い込んだりはしないかもしれませんが、足がむくんでしまうと足首で締め付けたり、足先のほうがきつくなってしまうこともあるのです。そのため、靴下の締め付けによる循環不全が起こることがあります。
更に利用者の中には、自分で靴下の着脱が出来ない人もいます。自宅で家族や介護者が靴下を脱がせてくれればいいのですが、本人も足が冷たいので靴下を履きたいという希望が強く、介護者もその希望に合わせて靴下を履かせっぱなしになるということもあります。利用者自身もなかなか自分の足先まで注意してみる事が出来ないため、循環が悪く足趾の色が悪いことに気が付かないこともあるので注意が必要です。
・基礎疾患に注意が必要
足趾の色が悪い時には、基礎疾患からの影響かどうかアセスメントも重要です。例えば、糖尿病が基礎疾患にある場合です。血管が細くなったり閉塞しているために下肢の循環が悪くなっていることが多いです。またしびれを感じる利用者も多く、そのために感覚麻痺となり足趾に異常があっても、自分が気が付かなかったという場合も少なくありません。
靴下のしめつけや窮屈な靴の着用、また爪切りによって傷が出来てしまうと、なかなか治りづらいこともよくあります。またその傷からから感染してしまうとどんどん傷が潰瘍化して大きくなってしまうこともあります。ひどくなってしまうと最悪の場合は下肢の切断にいたってしまうこともあります。
そのため、私たち看護師は、足趾の異常に早く気が付いて、医師に報告。そして早期に対応していくことが重要です。
・どのような方法で循環を改善させることが出来るか
足趾の色が悪いなという場合、本当は入浴して身体全体の循環を良くすることが効果的です。しかし、在宅生活を送っている人の中には、入浴はデイサービスや訪問入浴を利用するので、自宅では全く入浴しないという人も多いです。
そんな時にでもできることがあります。それは足浴です。私たち訪問看護師が自宅に伺って浴室を見ると、たいてい一つは洗面器やたらいがあるものです。それに適温のお湯を入れて足浴をするのです。足の汚れも取れますし、循環も改善できるのでおすすめです。
もしも足趾に潰瘍など傷がある場合は、医師からヒビテンを使用した足浴をするように指示が出ることもあります。循環の改善と感染の予防のために必要な処置なので、毎日訪問して処置を実施することもあります。ヒビテンによる足浴の後には、指示された軟膏を塗布したり、ガーゼで保護することもあります。この場合は、医師との連携が非常に重要となります。
足浴をするときには、利用者のお湯の好みもありますので、注意をしましょう。またタオルでごしごしこすると傷を悪化させてしまうこともあるので、泡で優しく洗い流す、もしくは柔らかいガーゼで洗浄することを心掛けましょう。
傷等がなく、単に冷感とむくみがあるという場合には、足浴の後には、処方されている軟膏を塗布して優しくマッサージをすることもおすすめです。よく使用するのは、ヒルドイドやワセリン、またユベラ軟膏を使用することも多いです。
・足趾間や足の裏まで気を付けてみよう
高齢者の足の裏を見てみると、歩き癖からタコや魚の目といったものがある事も多いです。また常に靴下を着用していると、足趾間が湿潤していたり、水虫になっていることもあります。また夏の間は問題なくても、冬になると踵のひび割れが起きてしまうこともあるのです。
私たちが訪問する在宅で生活する人のほとんどは、足先や裏に何らかの異常を感じつつも、自分では見ることが出来ず、どのようになっているのかわからないという人がほとんどです。そのため、足の観察、ケアをすることは重要なことの一つです。
上記で説明した足浴では、清潔保持の目的もあるので、水虫の改善にもつながります。また足浴をした後に爪切りをすると、少し爪が浸軟しているので肥厚した爪を切るのが容易になります。このように足浴にはさまざまなメリットがあるので、在宅生活を支える訪問看護師がどんどん取り入れていけば、効果的なフットケアが出来るのではないかと思います。
・足背動脈のチェックをしよう
利用者の足を見て、冷たいなあ、色が変わっているなあと思った時には、足背動脈をチェックしましょう。血管が細くなっていたり、閉塞している場合には、血管の拍動が微弱である、もしくは拍動を感じることが出来ないという場合もあります。その場合は、早期に医師に報告をして指示を仰ぐことが重要です。時には、病院を受診して血管の検査をする、もしくは入院をして処置をするということも必要になるかもしれません。
大切なのは、日々の変化を気を付けてみる事、そして早期に対応することだといえます。
まとめ
いかがでしたか。訪問看護師は、足のトラブルというのはしばしば経験することではないでしょうか。毎日訪問していれば足のチェックを欠かさずできますが、週に一度の訪問では、その間に大きく変化していることもあります。大切なことは、基礎疾患や在宅環境などをアセスメントして、情報収集やケアをして早期に対応していくことだといえます。
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