療養型病院の看護師として働くためのアセスメント技術

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#2477 2024/02/21UP
療養型病院の看護師として働くためのアセスメント技術
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看護師の病院での働き方として大きく分かれてくるのは、一般病院と療養型病院になっていると思います。 手術や緊急入院などの重症患者様が多い急性期から、療養型病院での働き方にシフトチェンジを希望する方も少なくないと思います。 今日はそんな療養型病院で働くためのアセスメント技術についてお話していきたと思います。

現在の日本では少子高齢化が進み4人に1人が高齢者だと言われています。
高齢になればなっていくほど医療の必要度が高くなっていくのは皆さまもご存知かと思います。

また、2000年以前の日本では自宅で看取りをすることが一般的でしたが、今は病院で最後の時を迎える高齢者がほとんどです。
それに伴い多様な高齢者の受け皿となっているのが療養型病院です。 療養型病院と一般病院との違いについて説明します。

療養型病院は、慢性期(病状が安定している時期)の方や治療よりも長期にわたる介護が必要な高齢者を対象にして、医療ケアやリハビリテーション等の必要なサービスを提供する病床で、リハビリや医療ケアが手厚いのが療養型病院です。
介護施設での生活が難しい状況や基礎疾患の病状が不安定な方、高齢や基礎疾患によって引き起こされた疾患を抱えている患者様がいらっしゃるのも特徴のひとつです。 また、一般病棟で90日を超えて入院していると入院診療加算の点数が引き下げられるため、長期入院の患者様が転院されることが多いです。

急性期に比べ入退院が少ないイメージがありますが、2,3日に数件の入退院があり患者様の入れ替わりは意外と多いです。 療養型病院の最大の特徴は大まかな診療科のみで病棟が分かれていることです。急性期であれば整形外科や消化器内科といった細かい診療科に細分化されていますが、療養型では内科か外科といった大きなくくりでしか分けられていません。
また、どちらかの病棟が満員の場合は他科であっても受け入れを要請される場合もあります。
そのため、多種多様な疾患を抱えている患者様が入院されます。高齢者によくみられる脳梗塞・心不全・誤嚥性肺炎はもちろん、ベーチェット病や神経線維腫症といった難病を基礎に持つ方も入院されます。 近頃では急性期であっても高齢の患者様を多くお見掛けします。
ですが、療養型病院に入院される患者様の大半は要介護認定を受けているため、自力での歩行が困難な方や寝たきりで生活援助が必要な方ばかりです。半数の患者様は言葉でのコミュニケーションも難しいレベルの方のため自力で症状を訴えることができません。

また、治療や検査も頻繁に行わない場合もあるので、療養型病院で一番必要な能力はアセスメント能力になります。
以前、担当していた患者様の事例です。 患者A様は80歳代で脳梗塞後の既往があり、寝たきりで状態でした。
明瞭な会話はできませんでしたが、手ぶりや頷きによって意思疎通は可能な患者様でした。
排泄も自力では難しく排便コントロールが必要で、この日は便秘二日目でした。
ある日、A様は朝からぼーっとしていた様子でした。声をかけると看護師の方を向いたり手を振ったりはしてくれますが、二択の質問をしても不明瞭なジェスチャーしか返ってきません。
しかし、食事を摂ったりバイタルサインにも特に異常はなく病棟の看護師は気にかけながらも様子を見ていました。
午後から入浴の予定だったので服を脱がせて体の様子を見ると下腹部が張っていて、普段は臭わない口臭が感じられました。
このことから入浴を中止し、すぐに医師に報告し検査すると、アンモニア脳症と診断されました。 すぐに点滴を開始し排便コントロールを行うと翌日には、意識明瞭の患者様に戻られていました。
こちらの事例のような出来事は一般病棟でも起こり得る事ですが、療養型に入院されている患者様たちはより症状がわかりにくいです。
A様は発語や歩行は難しい方でしたが、意思疎通が取れていました。
ですが、認知症を患っている患者様ではこの意識状態のアセスメントが大変困難になります。

一般病棟でも術後や受傷後といった際に、一過性の意識レベルが低下することはあります。
しかし、高齢者では入院後に認知症状が進み、意識レベルの低下なのか認知症の進行によるものかは判別し難いです。
療養型病院でアセスメントの要になるのは「普段の様子をどれほど覚えているか」になります。
療養型病院では入浴・下着交換・食事介助といった生活援助がとても多いです。しかし、反対に捉えると患者様の日頃の様子を観察出来る場面が多いともとれます。こ
の援助の中でどれほど日頃の患者様の状態を観察し、覚えているかが肝です。
療養型病院でアセスメントの要になるのは「普段の様子をどれほど覚えているか」になります。

療養型病院では入浴・下着交換・食事介助といった生活援助がとても多いです。
生活援助が多いと看護者の負担も増えます。
しかし、反対に捉えると患者様の日頃の様子を観察出来る場面が多いともとれます。この援助の中でどれほど日頃の患者様の状態を観察し、覚えているかが肝です。
入院後の患者様の身体的な変化として、留意しているのは褥瘡形成です。 これは療養だけでなく臥床患者を受け入れている病棟では切っても切り離せない問題点です。
療養型病院ではほとんどの患者様はオムツを着用されています。このオムツの湿気や圧迫により褥瘡がかなり形成されやすい環境です。
どうしても自己で除圧が出来ない患者様にとっては死活問題となってきます。
また、オムツだけでなく長期間の酸素チューブによって耳や鼻の周囲に潰瘍ができたり、頭頂部に褥瘡が形成されることもしばしばあります。
多くの療養施設や病院では2?3時間おきに体位変換を実施している施設がほとんどだとは思いますが、それでも時として褥瘡は形成されます。
ここでもアセスメント力は必要となってきます。
入院当初は50kgだった体重の患者様が栄養加療によって体重が5kg増加した時に、果たして入院当初と同じ体位変換枕を使用して事足りるのか?体重の増加に伴いベットマットレスは同じものを使用して良いのか?など、長期の入院だからこそ入院時とは異なる対応が必要ではないのかといったアセスメントは必要になってきます。 それだけではなく、褥瘡や拘縮を予防するためには何が必要かといった観点も重要になります。
どうしても老化による身体の変化を止めることはできません。
しかし、それをどう緩やかになるべく安楽になるように看護していく視点は大事になります。
その視点を持ち続けるためにはアセスメント技術が必要不可欠です。
アセスメント能力が向上すれば患者様の疾患面だけでなく、安全を守ることにもつながります。

上記でもお話していますが、安全を害した際も患者様は訴えることが困難な場合が多いです。認知機能の低下がある場合は他者に意思を伝えるのも難しいです。
そんな患者様たちを療養型病院に勤める看護師のアセスメント力によって守られた安全をいくつも見てきました。
長く患者様に関われるのが療養型病院の最大の特徴であり強みでもあります。関わらせていただいた時間の中からもアセスメントについて学ぶ機会はたくさんありました。 また、急性期とは違った特徴や看護も学べるため看護師としての仕事の幅も広がります。 今後も高齢化率は上昇していくため、社会的にも需要は高い診療科となっていきます。

まとめ

療養型病院に入院される患者様は疾患の幅が広く、疾患についての知識も必要となってきます。しかし、その対応も日頃から患者様の普段の様子や状態を把握していてこそ気付けるものです。 どの領域であってもアセスメントは看護師にとって欠かせない技術です。そのアセスメント力を存分に生かせる領域は療養型病院でもあるので、興味がある方は療養型病院の楽しさも知ってもらいたいです。

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