アセスメントは、大きく4つの視点に分けることができます。①身体状況②心理状況③生活環境④社会・家族環境、これら4つの視点においてそれぞれ必要なアセスメントの内容について説明していきます。
そしてアセスメントで得た情報を総合的に評価し、医師や地域の関係者と連携を図り、看護サービスを記事にしました。
アセスメントは、大きく4つの視点に分けることができます。①身体状況②心理状況③生活環境④社会・家族環境、これら4つの視点においてそれぞれ必要なアセスメントの内容について説明します。
1.身体状況+フィジカルアセスメント
身体状況アセスメントは、疾患や活動状況など、利用者本人の現在の身体に係る情報を集めることと、フィジカルアセスメントの2つに分けられます。
身体状況
利用者の身体状態をアセスメントするために必要な情報を収集します。フィジカルアセスメントを行うには、主観的情報や客観的情報だけでなく、日常的な会話をする中で聞き取りを行い、多面的に情報を集めていきましょう。
次に、利用者やご家族とコミュニケーションをとって利用者の緊張をほぐし、落ち着いた状態でバイタルサインの測定やフィジカルイグザミネーション(視診、聴診、触診、打診、嗅診)を実施します。
ただし、利用者の自宅に入ってすぐに異変を感じた場合は、先にバイタルサインの測定やフィジカルイグザミネーションを行い、すぐに治療をすべき状態かどうか速やかに確認するようにしましょう。
下記が収集したい情報の一例です。訪問看護を必要とする背景に合わせて収集すべき情報は適宜追加・修正しましょう。
既往歴
現病歴とその経過(服薬状況等)
ADL
体調の変化
食事摂取状況
睡眠(睡眠量、不眠の有無)
排尿・排便(回数、性状、量)
疼痛の有無、程度(NRS、フェイススケール)
など
フィジカルアセスメント
訪問時に利用者の身体を診る際には、以下の項目についてアセスメントしましょう。
バイタルサイン(収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍、呼吸数・呼吸パターン)
聴診(心音、呼吸音、腸蠕動)
打診(腹部)
触診(浮腫、皮膚のはり、リンパ節)
視診(全身:口腔内、対光反射、皮膚、表情、話し方、体の動かし方、顔色、浮腫)
など
2.心理状況
日ごろの様子や引継ぎ内容等から、通常と異なる様子があるかどうかを判断します。利用者の様子だけでなく、介護や自宅療養に係る家族や職員との関係性などに対して利用者の感情がどのように変化しているかといった視点で確認しましょう。
精神疾患に対する訪問看護を実施している場合は、病識の変化が精神疾患発症時にあるかどうか、その際に家族など周囲の協力者が服薬支援が可能なのか、あるいは訪問看護の支援が必要なのかといった点を判断するようにしましょう。
以下が心理状況のアセスメントにおいて確認すべき項目の一例です。
精神状態(生活行動への意欲の有無、衣服の状況、自傷行為の有無)
感情の起伏の有無(発言の内容、表情、声量)
ケア提供者に対する発言・表情、態度
ケアやリハビリなどへ意欲の程度
など
3.生活環境
利用者を取り巻く生活状況についてアセスメントを行います。訪問看護を提供できる時間は限られており、24時間どのような状況かを観察するには時間が足りません。
そこで、利用者の1日の過ごし方については本人やご家族から聞き取りを行いましょう。
また、訪問時には家具の配置の変化や介護用品や医療機器の状況を確認し、事故が起きないような環境に整えられているかを判断します。
以下が生活環境のアセスメントにおいて確認すべき項目の一例です。
1日の過ごし方
周囲の騒音の有無
家具の配置状況
浴室、トイレの位置、階段の使用状況
暖房、冷房設備の有無や作動状況
使用している介護用品の使用状況や位置
使用している医療機器の作動状況や位置
4.社会・家族環境
利用者と家族の関係性の変化や、利用者・ご家族を取り巻く社会環境についてアセスメントを行います。
訪問時に利用者とともに家族が在宅の場合には、会話の様子から人間関係に問題がないかどうかを判断したり、家族の介護の様子や状況、仕事と介護の両立体制について変化があるかどうかを確認します。
利用者本人が社会復帰を目指す場合は、家族を含めて利用者の社会復帰についてどう考えているかといった内容についても心境の変化について確認しましょう。
利用者と家族の状況を把握し、継続的に在宅療養が可能な状態なのか、あるいは一時的に在宅療養を中止して家族のケアが必要なのかどうかといった視点を持ち、利用者と家族の支援体制を整える方法を考えるようにしましょう。
以下が社会・家族環境のアセスメントにおいて確認すべき項目の一例です。
親戚や近所の方との関係、最近の出来事
介護福祉、医療制度の利用状況
家族の介護力の変化(健康状態、仕事の状況)
利用者と家族の関係性、その変化
家族の在宅介護・在宅療養への思い
社会復帰に関する思い(利用者、家族)
初回訪問時のアセスメントのポイント
初回訪問は情報収集すべき内容が多いだけでなく、利用者との関係性構築を図ることも重要な要素なので、時間が足りなくなってしまい、焦ってしまうことが多いようです。
そこで、初回訪問の際に頭に入れておくべきポイントを3つご紹介します。
1.アセスメントシートを活用して多面的に情報収集を行う
「初回訪問では何を聞くべきなの?抜け漏れなくアセスメントしたい」という方には、日本看護協会のアセスメントシートの活用をおすすめします。
2.事前情報を整理し、持っていない情報を中心に時間を使う
医療機関から紹介を受けた場合は看護サマリ、ケアマネジャーから紹介を受けた場合には
ケアマネジャーが収集した情報を把握しましょう。事前情報をもとに、家族構成や療養支援が必要な背景を把握し、これ以外に看護を行うにあたって必要な情報収集に集中できるよう情報整理を行っておくことが大切です。
また、訪問前には聞きたい内容についてどの程度時間を使うのかといったタイムスケジュールを立てておくと、実際の訪問中に聞くべき情報や見るべき項目を取りこぼさずに進めることができるでしょう。
3.今後の訪問時のケア内容を想定した確認を行う
訪問看護では、担当看護師が初回訪問で得た情報から看護計画を立て、それに合わせたケアを実施していく流れをとります。そのためには初回訪問時に先回りをしておくと、次回訪問時にスムーズにケアを提供できるようになります。
例えば初回訪問の結果、褥瘡管理が必要とアセスメントした場合には、現在使用している寝具の状況や栄養状態等を詳しく聞き取り、今後必要な治療について主治医と連携をするために必要な情報をその場で収集します。その情報をもとに、医師に褥瘡の皮膚保護剤の算定等を依頼するといったことが可能になり、次回訪問の際には処置に必要な衛生物品を用意したうえで看護を提供できるようになります。
以上のように、初回訪問では利用者や家族との信頼関係の構築を大切にしながら、必要な情報を聞き取ることができるよう工夫して観察、アセスメントを行うようにしましょう。
訪問看護の4つの視点において観察すべき項目の例や、初回訪問・継続訪問におけるアセスメントのポイントについて解説しました。
利用者や家族の状況に応じてアセスメントすべき内容は様々です。初回訪問の際から観察すべき項目には注意を払いながら、利用者本人や家族、自宅の状況など全体を見回したときに気になる点はないか、訪問看護として介入すべき点はないかというミクロとマクロの二つの視点でアセスメントを実践するようにしましょう。
まとめ
在宅療養を継続している中で、家族が介護や家庭環境によるストレスが大きくなってしまい体調を崩してしまう場合があります。こういったことがないよう、看護師は利用者だけでなく家族の変化にも気づけるようにアセスメントをしましょう。
また、生活環境を観察する場合は、利用者の自宅で利用している空調家電が壊れていて体調に影響を及ぼさないかどうかといった確認や、貸与されている福祉用具が現在のADLに適しているかといった確認も行うのが良いかと思います。
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