アセスメントを適切に行うために必要な情報収集ですが、実はその情報収集で欠かせないことがあります。
それは「異常を見つけること」ばかりに注意せず、「異常がわかるよう、その患者様にとっての正常な状態を把握する」ことです。
できるだけ患者様の正常な数値や状態も把握し、また個人差もあるので、その患者様にとって「正常」か「異常」かを常に意識して行動すること。
できるだけ患者様の正常な数値や状態も把握し、また個人差もあるので、その患者様にとって「正常」か「異常」かを常に意識して行動すること。
血圧や体温などの数値的な結果だけではなく、顔色や食欲など色んな視点から「観察」できるよう心がけましょう。
判断の材料は多いほど良いです。
医師はずっと病棟にいるわけではありません。患者様にとって病院で一番身近な存在は看護師です。
特に異常の早期発見にはアセスメントが重要となります。
異常をいち早く捉えるためにも、日頃の患者様の情報収集には特に気を配ることが大切です。
・看護過程は、「看護アセスメント」「看護診断」「看護計画」「看護介入(看護実施)」「看護評価」の5つ
・「SOAP(ソープ)」とは看護記録において必要な分析手法の一つで、「Subject(主観的情報)」「Object(客観的情報)」「Assessment(アセスメント)」「Plan(計画)」のこと。
・アセスメントとは、「主観的情報・客観的情報をもとに、分析・結合、判断・評価し、意見・印象などを記述する」こと。
・アセスメントを書くコツは「現状判断」「原因の特定」「今後について予測」の3つ
「アセスメントが上手く書けない」という人は、「現状判断」「原因の特定」「今後について予測」が漏れていないかしっかりと確認しましょう。
正確なアセスメントを行うことは患者様の負担を軽減し、早期治療に繋がります。
看護師に必要なアセスメントについて、ポイントやコツを押さえておくこと。
アセスメントをスキルアップさせるためには、アセスメントに必要な情報を、できるだけ多く収集することが大切です。判断する材料が多ければ多いほど、より的確に患者さんの評価を行うことができるからです。
情報を収集する際には、異常を見つけることだけに注力するのではなく、患者さんの正常な状態を把握する必要もあります。
例えば、血圧や体温といった基本的な数値はもちろんですが、患者さんに食欲があるか、顔色が悪くないかといったことも、細かく観察すること。
そのしてフィジカルアセスメントについて深く学ぶことで、アセスメント力が鍛えられ、患者さんのより詳しい状況把握ができるようになります。
問診や視診・触診・聴診・打診を用いてさまざまな情報を収集・分析し、患者さんの状態を判断することです。
アセスメント力が向上することによって、患者さんにより迅速に対応できるようになり、医師とのコミュニケーションも円滑になります。
患者さんにより良い看護が提供できることは、看護師として働く上でのやりがいにもつながります。
看護過程は「アセスメント」「問題の明確化(診断)」「計画」「介入」「評価」の5つで構成されています。
アセスメントは看護過程のプロセスの1つで、第一段階に位置づけられます。
看護過程の全体像を頭の中で整理することで、「アセスメントではどんなことをすれば良いのか」がわかるようになります。
看護過程を簡単に表すと「患者さんの看護上の問題を解決するための道具」です。
ちなみに、看護学事典によると、看護過程は「看護において、人々の健康にかかわる個別な問題を解決するために用いられる系統的な問題解決技法」とされています。
アセスメント
情報の収集を行い、それらの分析をする
問題の明確化(診断)
援助が必要だと判断された、いくつかの情報・事実について原因と結果の関連性を考え、「患者さんにとってなにが問題になっているか」を考える
計画
明らかにされた問題に対し目標と到達期限を設定する。併せて、その実施計画も策定する
実施
策定した計画に基づき看護ケアを実施する
評価
実施した看護ケアからどのような結果を得られたか評価する。評価内容によっては看護内容の見直しを行う
この5つのステップは、1つひとつが分かれているわけではありません。それぞれが重なり合い相互に関係しながら移行していきます。
評価に基づいて、再び次のアセスメントへとつながるといわれています。
ヘンダーソンを基に、そこから具体的なデータ収集項目の抽出や、問題を導くうえでの判断を考えていきます。
ヘンダーソンの14の基本的欲求は以下となります。
正常に呼吸する
適切に飲食する
あらゆる排泄経路から排泄する
身体の位置を動かし、またよい姿勢を保持する
睡眠と休息をとる
適切な衣類を選び、着脱する
衣類の調節と環境の調整により体温を保つ
身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする
自分の感情、欲求、恐怖あるいは”気分”を表現して他者とコミュニケーションをもつ
自分の信仰を実践する
達成感をもたらすような仕事をする
遊び、あるいはさまざまなレクリエーションに参加する
“正常”な発達および健康を導くような学習・発見をする。あるいは好奇心を満足させる
構成要素と情報の範囲をまとめたものが以下の表です。
構成要素情報の範囲
1.正常に呼吸する呼吸数、肺雑音、呼吸機能、経皮的酸素飽和度、胸部レントゲン、呼吸苦
息切れ、咳、痰喫煙歴、アレルギー、自宅周辺の大気環境
2.適切に飲食する自宅/療養環境での食事(水分含む)摂取量、摂取方法、嗜好品、アレルギー、身長、体重、BMI、必要栄養量、身体活動レベル、食欲、嚥下機能、口腔内の状態、嘔吐、吐気、血液データ(TP、Alb、Hb、TG)
3.あらゆる排泄経路から排泄する排泄回数、性状、量、尿意、便意、発汗、in-outバランス、食事、
水分摂取状況、麻痺の有無、腹部膨満、腸蠕動音
血液データ(BUN、Cr、GFR)
4.身体の位置を動かし、よい姿勢を保持するADL、麻痺、骨折の有無、安静度、MMT、ドレーン、点滴の有無、生活習慣、
認知機能、呼吸機能
5.睡眠と休息をとる自宅/療養環境での睡眠時間、パターン、疼痛、掻痒感の有無、入眠剤の有無、疲労の状態、療養環境への適応状況、安静度、騒音の有無、ストレス状況
6.適切な衣類を選び、着脱するAOL、運動機能、認知機能傷害の有無、麻痺の有無、活動意欲、点滴、
ルート類の有無、発熱、吐気、倦怠感
7.衣類の調節と環境の調整により体温を保つ体温を生理的範囲内に維持するバイタルサイン、療養環境の温度、湿度、
空調状況、発熱の有無、感染症の有無、ADL、血液データ(WBC、CRP)
8.身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する自宅/療養環境での入浴回数、方法、ADL、麻痺の有無、爪、鼻腔、
口腔の保清、尿、便失禁の有無
9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする自宅/療養環境での危険箇所(段差、ルート類)の理解、認知機能、
術後せん妄の有無、皮膚損傷の有無、感染予防対策(手洗い、面会制限)、
血液データ(WBC、CRP)
10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは”気分”を表現して他者とコミュニケーションをもつ表情、言動、性格、家族/医療者との関係性、言語障害の有無、視力、聴力、
認知機能、メガネ、補聴器等の有無、脈拍数、呼吸数、面会者の来訪の有無
11.自分の信仰を実践する信仰の有無、価値観、信念、信仰による食事、治療法の制限
12.達成感をもたらすような仕事をする職業、社会的役割、入院、疾患が仕事/役割に与える影響
13.遊び、あるいはさまざまなレクリエーションに参加する趣味、休日の過ごし方、余暇活動、入院、療養中の気分転換方法、
運動機能障害、認知機能、ADL
14.“正常”な発達および健康を導くような学習・発見をする。あるいは好奇心を満足させる発達段階、疾患、治療方法の理解、学習意欲、認知機能、
学習機会への家族の参加度合い
まとめ
アセスメントで収集した情報は、看護記録に残します。看護記録とは、看護過程の実施を証明したり、事後の振り返りを行ったりするために作成する記録です。看護記録は自分自身の対応や患者さんの状態をほかのスタッフに展開し、一貫性のあるケアを実践するためにも役立ちます。
なお、「アセスメントは一度行って終了」というわけではありません。看護師はケアを行う最中にも必要に応じてアセスメントを実施し、より望ましい看護計画を立案する必要があります。
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