「アセスメントの仕方がわからない」「頭の中ではわかっているのに、うまくアセスメントが書けない」
こんな風に感じている看護学生さんは少なくないかと思います。
個別性があるアセスメントをするには、
患者さんと向き合い必要な情報を収集する
そこから、「患者さんに起きている問題」「必要だと思うケア」は何かを考えることが大切です。
そこで、コツを習得することで、わかりやすいアセスメントが書けるようになります。
アセスメントは看護過程のプロセスの1つです。
看護過程は「アセスメント」「問題の明確化(診断)」「計画」「介入」「評価」の5つで構成されています。
アセスメントはその中で第一段階に位置づけられます。
アセスメントは、「患者さんの情報を収集すること」「その情報の意味を考え、状態を評価すること」です。
「看護過程の良し悪しはアセスメントで決まる」と言っても過言ではないほど、大切なプロセスとなります。
アセスメントは看護過程のプロセスの1つで、第一段階に位置づけられます。
看護過程の全体像を頭の中で整理することで、「アセスメントではどんなことをすれば良いのか」がわかるようになります。
看護過程を簡単に表すと「患者さんの看護上の問題を解決するための道具」です。
ちなみに、看護学事典によると、看護過程は「看護において、人々の健康にかかわる個別な問題を解決するために用いられる系統的な問題解決技法」とされています。
アセスメントとは、
情報の収集を行い、それらの分析をすることです。
まずは、問題の明確化(診断)です。
援助が必要だと判断された、いくつかの情報・事実について原因と結果の関連性を考え、「患者さんにとってなにが問題になっているか」を考えます。
次は、計画です。
明らかにされた問題に対し目標と到達期限を設定する。併せて、その実施計画も策定します。
次は、実施です。
策定した計画に基づき看護ケアを実施します。
最後に評価します。
実施した看護ケアからどのような結果を得られたか評価する。評価内容によっては看護内容の見直しを行います。
看護におけるアセスメントの意味は、
患者さんの情報を収集すること
その情報の意味を考え、状態を評価すること
です。
ちなみに、アセスメントを辞書(デジタル大辞泉)で調べると、「査定」「事前影響評価」と出てきます。
ある対象物を客観的に「評価する」「査定する」という意味合いです。
看護大辞典によると、「患者の情報を収集すること。病状や病気あるいは状況の経過についての患者の主観的な訴えと臨床検査や身体診査・病歴などから得られた客観的データをもとに、疾病やその状況について評価・査定を行うこと」とあります。
看護過程では、何よりもまず「観察すること」「情報収集すること」が大切です。
アセスメントは看護過程の展開にあたり、重要な第一歩となります。
是非アセスメントのコツを掴み、実習記録に活かしてください。
わかりやすく的確なアセスメントをするためには押さえておきたい大切なコツがあります。
良いアセスメントは、その材料である情報をいかに適切に集め整理できるかにかかっています。
「前提」の情報収集をしっかり行います。
看護理論をもとに着目ポイントを整理します。
「S情報とO情報」を正しく理解します。
事実と推測を混ぜないことです。
まずは、
診断名
入院までの経過
主訴
入院目的
の前提の情報から確認することをお勧めします。
これら4つの前提情報は、アセスメントする上では基本的、かつ大事な情報です。
診断名は確定している場合には、カルテから収集できますが、他の項目はカルテからの内容では不十分なこともあります。そのため、直接患者さんから情報収集することをお勧めします。
情報を集めたら、次は看護理論に則って情報を整理します。整理することで、情報収集で着目するポイントが見えてきます。
看護理論は、看護における知識を体系化し、看護に関連した現象をより明確かつ具体的に説明するための枠組みです。
情報を収集したら、S情報とO情報にそれらを整理していきます。
S情報とO情報は以下の2つを指します。
S情報(主観的データ):患者さんが話した言葉そのもの
O情報(客観的データ):観察した事実
わかりづらいアセスメントの特徴として、「S情報とO情報が間違っていること」が挙げられます。
例えば、お腹に手を当て、前かがみになり、眉間にしわを寄せて、「お腹が痛い」と話している患者さんがいます。
この場合、「お腹が痛い」はO情報として正しいでしょうか?
答えは違います。「お腹が痛い」は、患者さんの感じて発した言葉そのもののため、S情報になります。このケースでのO情報というのは、「お腹に手を当て、前かがみになり、眉間にしわを寄せている」という観察した事実になります。
S・O情報がまとめられたところで、実際にこれらの情報からアセスメントをしていきます。
アセスメントで大事なことは、「S・O情報にない情報からアセスメントをしないこと」です。
わかりづらい記録の特徴のもう一つとして、「S・O情報にない情報から解釈したアセスメントになっていること」も挙げられます。
すなわち、S・O情報にない推測が混ざっている状況です。
アセスメントの目的が明確になっていない場合に陥りやすいです。
アセスメントは、あくまでもS・O情報から解釈するため、これらにない情報からアセスメントをしてはいけません。
また、記録に慣れない場合、得られた情報と疾患をすぐに結びつけようとしがちです。
疾患名がわからなくても、患者さんの状態を知ることはできます。「今、こういう状態にある人です」と明らかにするのも一つのゴールです。
大切なのは、疾患名を知ることではなく、得られた情報から「患者さんに起きている問題」「必要だと思うケア」は何かを考えることです。
1つの事例から、実際のアセスメントのやり方を確認していきましょう。
Sさん(45歳 男性)は、システム開発の仕事をしています。
8月から悪心を感じることが増えました。だるさや食欲不振もありましたが、仕事が忙しく残業で深夜に食事を摂っているためだと思っていました。
8月20日の朝に下血(タール便)があり、救急外来を受診しました。
内視鏡検査を行い、胃潰瘍からの出血が認められたため、止血処置をして入院となりました。
「診断名」「入院までの経過」「主訴」「入院目的」でまとめて整理するとこうなります。
診断名は胃潰瘍です。
入院までの経過。
8月から悪心を感じることが増えました。
だるさや食欲不振もあったが、仕事が忙しく残業で深夜に食事を摂っているためだと思っていました。
朝に下血(タール便)があり、救急外来を受診。内視鏡検査の結果、胃潰瘍からの出血を認め入院しました。
主訴は「だるい」です。
入院目的は出血したところを治して早く元の生活に戻りたいことです。
Sさんの場合は、胃潰瘍からの出血が排泄にどのように影響しているのか着目します。
排便や排尿の規則性や量、質の変化を観察し、腹部の状態についてフィジカルアセスメントを用いて評価します。
集めた情報をS情報とO情報に分けて整理したら、そこからアセスメントをしていきます。
情報が他の項目に重複して必要になる場合もあるため、他の項目との関連も考えながらアセスメントをしていきましょう。
注意する点は「S情報とO情報にない推測は入れないこと」です。
アセスメントはあくまでもS・O情報から解釈するため、これらにない情報からアセスメントをしてはいけません。
まとめ
同じ疾患の患者さんでも、「起きている問題」や「必要なケア」は個々で異なります。
そのため、教科書や参考書の内容をそのまま抜き出すと抽象的な表現になってしまいます。
個別性があるアセスメントをするには、
患者さんと向き合い必要な情報を収集します。
そこから、「患者さんに起きている問題」「必要だと思うケア」は何かを考えます。
以上の事が大切です。
まずは、S・O情報を正しく理解し、簡潔に記述することから始めてみてください。
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