認定看護師を目指したいと思っている看護師は、本格的に行動を起こす前に知っておきたいポイントがあります。イメージしている認定看護師の姿と現実が合っていなかったら後悔してしまうでしょう。ここでは重要な7つのポイントを説明するので、認定看護師になりたいと思っていた人はよく確認した上で資格取得を目指してください。
#認定看護師とはそもそも何か
認定看護師とは何かを十分に理解できていますか?認定看護師は看護師としてスキルがある人だと認定されるための制度だとシンプルに考えている人もいるかもしれません。認定看護師は公益社団法人日本看護協会によって認定されている資格で、看護において実践・指導・相談の3つ役割を同時に果たせる能力を持つ人が取得できます。認定看護師制度は2017年度に生まれましたが、医療現場における看護師の役割や医療体制の変化を受けて2019年に規定が改正されました。ただ、医療現場で看護を的確に実践し、現場にいる他の看護師の指導を通して全体的なレベルアップを進め、必要に応じて看護職からの相談を受けてコンサルテーションする役割を果たすことは変わっていません。認定看護師になったらただ患者の看護をするだけでなく、広い視野で医療を向上させる努力を続けることが求められます。
#認定看護師は看護分野が分かれている
認定看護師になるには看護分野を決めなければなりません。認定看護師になるときには認定看護分野を選ぶ必要があります。認定の意味は特定の分野についての認定であって、看護師としての看護力が総合的に認められたという意味ではありません。がん薬物療法、がん放射線療法といったように同じ疾患領域でも治療方法によって必要な看護は違います。日本でニーズが高く、看護の質が求められている診療分野について認定がおこなわれています。手術看護、感染管理、クリティカルケア、緩和ケアといった分野もありますが、高齢者の患者が増えた影響で在宅ケアや摂食嚥下障害ケア、認知症看護といった分野もあります。乳がん看護や新生児集中ケアのように高い専門性を求められる分野もあるため、どの分野で活躍する看護師になりたいかを考えて決めましょう。
#認定看護師になるには経験が求められる
認定看護師になりたい人は経験が必要になります。認定看護師になるためには看護師免許を取得してから5年以上の実務・研修に携わってきた通算期間が必要です。途中でブランクがあっても構いませんが、合計で5年に達していなかったら認定看護師の審査を通過できません。また、5年間のうち3年以上は希望する認定看護分野で実務・研修に従事してきた経歴が求められます。認定看護師として審査を受けるときにはこれまでの経歴について詳細の提出が求められるので、必要な経験を積んでから申請しましょう。まったく経験のない分野について認定看護師の研修で学んで就職するというキャリアパスは描けないので注意しましょう。
#認定看護師になるには1年くらいかかる
認定看護師になるためには思い立ってから1年くらいはかかります。認定看護師になるには認定看護師の教育課程を持っている大学や研修センター、教育センターなどに入学して教育を受ける必要があるからです。認定看護師になるために必要なカリキュラムや授業・研修の日程は教育機関によって違います。専門にする分野による差もありますが、一般的には7ヶ月~9ヶ月が必要です。年に1回だけ募集していて、定員枠も限られています。入学試験に合格して入学し、1年近く教育機関に通って学び、最終的には認定審査を受けなければなりません。認定審査は年に1回だけ10月頃に実施されます。試験で合格点に達することができないと認定看護師として認められないため、もう1年余計にかかってしまう場合もあります。このようなスケジュールを考えると、認定看護師になるにはおよそ1年はかかると理解しておいた方が良いでしょう。
#認定看護師は看護師と違って生涯免許ではない
認定看護師の資格について押さえておきたいのは生涯資格ではないことです。看護師免許は生涯資格で、一度取得したら特別な事情がない限りはいつまでも資格を持ち続けられます。認定看護師は更新審査を受けて認められなければ、資格を失うことになります。認定看護師の更新は5年に1回の頻度で審査があります。更新審査では看護実践と自己研鑽の実績を提出することが必要です。認定看護師として5年間で2,000時間以上働いてきたこと、自己研鑽の点数が50点以上あることが更新の条件です。看護実践の時間については1年間にすると400時間なので、1年間に200日働いたとすれば1日2時間で済みます。育児などによって働けなかったとしても、250日の勤務で1日8時間働けば条件を満たせます。
大変なのは自己研鑽の方です。研修プログラムや学会、研究会への参加や発表、論文発表などによって点数が加算されます。例えば、院内研修に参加すると5点、学会に参加すると3点、学会で研究発表をすると筆頭者なら10点、共同研究者なら5点です。論文についても筆頭執筆者なら10点ですが、共著者の場合は5点になります。この他にも社会活動や一般の認定看護師向けプログラムに積極的に参加していくことが認定看護師であり続けるためには不可欠です。毎年10点以上を確実に取れるように計画的に自己研鑽に励んでいく必要があります。
#病院看護師なら認定看護師になるメリットは大きい
認定看護師になるのも大変で、なった後も資格を維持するのに苦労があるとわかると、資格を取る意味がないと思ったかもしれません。しかし、病院看護師として働いていくなら認定看護師になるメリットは大きいでしょう。病院では特定の診療分野について信頼できる能力のある看護師を必要としています。深刻な症状や病状の患者が多いため、専門性が高くて責任を持って看護に携われる人材は病院では高い評価を受けています。認定看護師になると給与や手当が手厚くなるのが一般的です。また、現場では他の看護師を教育して成長させる担当者として活躍できるようになります。認定看護師の資格があるだけで他の看護師だけでなく、医師や薬剤師などの見る目も変わり、チーム医療に貢献しやすくなります。また、病院では認定看護師の資格を更新するために必要な院内研修の指導側の立場になって点数を得たり、キャリア支援制度を利用して外部研修プログラムに参加したり、臨床研究をしたりする機会にも恵まれます。病院では認定看護師の資格取得を支援していて、休職期間中も給料を支給してもらえることすらあります。このような好待遇を受けられることを考えると、病院で働いていくなら認定看護師になることを前向きに考えた方が良いでしょう。
#複数の認定を受けることもできる
認定看護師になるときには複数の認定を受ける方法もあります。認定分野として定められている領域がたくさんあるので、どれにしたら良いか迷ってしまった人もいるでしょう。ベテラン看護師でいろいろな診療科で働いてきた場合には、複数の候補があることもよくあります。これから看護師として経験を積んで認定看護師になりたい場合にも、どの分野で経験を積んで行ったら良いか悩んでしまいがちです。しかし、まずはどれにするかという視点で選べば問題ありません。例えば、がんの看護に興味があると思っている場合には、がん放射線療法看護、がん薬物療法看護、乳がん看護、緩和ケアが候補になります。今は薬物療法に興味があるという場合には、まずがん薬物療法看護の認定看護師を目指しましょう。その後、経験を積んでいるうちに放射線療法に興味を持ったら、がん放射線療法看護の認定も受けられます。あまり多くの認定を受けるのは時間もお金もかかりますが、複数の資格も取れるので前向きに検討しましょう。
まとめ
認定看護師を目指すときに知っておきたいポイントを7つの観点から解説してきました。病院看護師として働いていくなら認定看護師になって活躍を目指すのがおすすめです。教育を受けて審査に合格しなければならないので大変な面もあります。しかし、困難だったことを乗り越えたからこそ自信を持って仕事に携われるようになります。
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