救急看護師は、医療ドラマなどでも取り上げられ、「あんな風に働けたらかっこいい!」と憧れる存在です。その一方で、実際働くとなると職場は厳しく内容は難しいイメージあり、敷居が高く感じてしまう人の多い、そんな両極端の印象を抱かれる部署です。救急看護師として働きたいけど、どんな準備が必要かわからず不安な人のために、救急看護師になるために必要なスキル・特性、病院選びのポイントについて解説していきます!
そもそもなりたい看護師像は?
みなさんは救急看護師にどんなイメージを抱いていますか?ドラマやニュースなどで救急看護師を目にする機会が増えた昨今では、「テキパキ働く姿がかっこいい!」「緊急性の患者さんの命を助けたい」「エクモがついた患者さんを受け持ちたい」など具体的な憧れがある人もいるのではないでしょうか。一言で救急といっても救急病棟、救急外来・ER(救急救命室)などに分かれており、業務内容は少しずつ違ってきます。また、体外循環などの医療機器の管理は、実は集中治療室が専門として行なっている病院が多いです。
病院によっても救急の内容が変わるので、「緊急度・重症度の高い、いろんな疾患をみたい!」という人は、三次救急の病院を選ぶのが良いでしょう。後述しますが、メディアで見る救急のイメージで、二次救急・一次救急の病院に行くと物足りなさを感じることがあるかもしれません。
救急看護師に求められるスキル・特性
救急の現場は、一分一秒単位で状況が刻々と変化するので、変化に対応する俊敏さが必要です。ただ、その変化に対応するだけでなく起こりうる変化を予測するための知識・技術も大切です。交通事故に遭われた患者さんが運ばれてくることもあるので、大きな傷を見ても怯まない強い心もや動揺する患者さんや家族に寄り添う優しい心も必要です。また幅広い重症度のすべての診療科の患者がくるので、様々な病院スタッフと連携をはかるためのコミュニケーションスキルも求められます。このような条件が並ぶと、「経験がなく、素早く動くことができない自分には無理だ…」と思うかもしれませんが、そんなことはありません!!救急看護師だって一人一人個性のある人間です。テキパキした性格の人もいればおっとりした性格の人もいます。そして、知識やスキルは初めから備わっているものではなく、学習や経験を重ねて獲得していくものです。そのため、“自己研鑽をし続ける根気強さ”こそ救急看護師に求められる特性になります。繰り返しになりますが、救急看護師でも、初めてのことはわからないのは当たり前です。しかし、看護師として専門職の責任は常に付き纏います。救急看護師となると患者さんの命という重い責任がのしかかってくることでしょう。その責任を全うするためには、自分のわからないことがある時やできないことがある時は、素直に周りに助けを求めることが大切です。わからないことを一人で行わない・判断しないというのは患者さんに対して誠実な対応であり、そういった“誠実さ”は初めて救急看護師になる人に必須の素養です。
救急看護師の業務内容
救急看護師はどのような業務を行なっているのでしょうか?
救急外来には、救急車・ドクターヘリによる救急搬送の患者さんと自分で病院まで来て受診する患者さんがいます。救急外来では、それらの患者さんの緊急度・重症度を加味し、優先順位を考えて複数の患者さんの処置を多職種で連携しながら行います。救急“外来”なので、入院患者さんを見ることはほとんどありません。(救急病棟が併設されている病棟は、緊急入院の患者さんを救急看護師が受け持つ場合もあります。)救急外来で処置の終わった患者さんは手術の必要があれば手術室、重症管理が必要であれば集中治療室、入院が必要であれば病棟へと移動します。入院の必要がなければ、そのまま帰宅される患者さんもいますが、入院になる患者さんから来院してから移動先に行くまでの一連の流れは救急看護師の仕事で、迅速な対応が求められます。全ての診療科の患者さんに対応するだけで、業務内容が幅広いことがわかりますが、救急看護師の業務内容は更に多岐に渡ります。
入院中の患者さんが急変した際のコードブルーなどの緊急コール対応は、救急看護師と医師で行われます。緊急コール対応は救急搬送の患者対応と同じく、迅速な対応が必要な業務で病院の要です。病院にもよりますが、他にも血管造影室や内視鏡室等の業務を兼任することもあります。このように幅広い内容の救急看護師の業務はたくさんの知識や経験を得ることができるのです。
素敵な救急看護師なるための病院選び
「救急看護師を目指したいけど、未経験はやっぱり不安だし、具体的な方法がわからない…」という方のために、病院選びのポイントをお伝えします。
オススメできる病院の特徴は以下の3つです。
①教育体制が整っている病院
②三次救急の病院
③認定看護師がいる病院
①は当然といえば当然の特徴ですね。10年程前までは初めてでも教えてもらえないなんてこともありましたが、今は丁寧に指導者が教える時代になってきています。そうはいっても、それぞれの病院の教育体制は目で見てみないとわかりません。実際に病院見学やインターンシップで足を運んで、どのような教育がされているのか情報収集しましょう。
②は病院の規模や教育体制にも関係してきます。
そもそも一次救急、二次救急、三次救急とは何を意味するのでしょうか?
救急医療は重症度・緊急性に応じて一次・二次・三次と段階的に対応する体制になっています。わかりやすくいうと各病院での役割分担です。一次救急は、自分で病院に来ることができて入院の必要がない比較的軽症な患者を担当します。二次救急では、入院(場合によっては手術)が必要だが、重症度はさほど高くない患者を受け入れます。そして三次救急は命に関わるレベルの重症度・緊急度の患者を24時間原則断らずに受け入れる地域医療の要になります。
救急三次救急は病床数の多い大学病院や総合病院が担っており、マニュアルや教育体制がしっかりしている傾向があります。また、先ほども述べたように三次救急では、様々な重症度の幅広い疾患の患者さんを担当することができ、経験を積んで知識・技術を積むにはもってこいの場所です。
③も最新の知識を蓄える方法として、押さえておきたいポイントです。救急看護師の中には、より救急分野に特化した認定看護師がいます(今後は集中と合わせてクリティカルケア領域の認定看護師になります)。認定看護師は、心配蘇生や重症患者のフィジカルアセスメントなど救急分野の幅広い知識を持っており、その知識を常に新しいものにアップデートしています。幅広い診療科の勉強を一人でやっていると限界を感じたり、辛くなったりすることもある中で、最新の確かな知識を持っている認定看護師はとても心強い存在です。情熱を持って、救急の分野で働いているため、中には厳しい・怖いなどの印象を持つ人もいるかもしれませんが、その圧倒的な知識や技術で必ずスタッフを成長させてくれます。
認定看護師に限らず、救急看護師には患者さんに対して誠実であるからこそ、看護師には高いレベルを求めて厳しい指導をする人もいます。そんな先輩の指導にへこんでしまう日もあるかもしれませんが、それはあなたに対しての期待でもあります。熱心に学習して日々ステップアップしていけば、頼もしい仲間として認めてもらえる日が必ず来ます。そんなあなたの成長を先輩看護師も楽しみにしていることでしょう。救急看護師の学習はその幅広さと専門性から一朝一夕ではいかず、数年単位でやっと一人前と言われています。そんな学習をこなしていくには、ある程度の打たれ強さや継続力が必要になってきます。しかし、そんな努力をしたからこそ、一人前になった時にはどの病棟でも役立てることができる一生ものの知識・技術が身に付いています。
まとめ
いかがでしたか?
救急看護師になるために必要なスキルや病院選びについてお伝えしました。
まずは自分がどんな救急看護師になりたいのかを思い描くことから始めてみましょう。なりたい看護師像が定まってきたら、それを叶えられそうな病院をいくつか探して、実際に自分の目で見て病院を選んでいくことが大切です。救急はとてもやりがいがある分野です。“自己研鑽”と“誠実さ”を忘れずに、素敵な救急看護師を目指しましょう!!
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