看護アセスメントは必要と言われているからやるけれど、デメリットの方が多いと感じている看護師もいるでしょう。やらなくて済むならその方が良いと思っている人もいるかもしれません。この記事では看護アセスメントのデメリットを紹介した上で、看護師がやはりやるべき理由を詳しく解説します。
#看護アセスメントをするデメリット
看護アセスメントは看護師にとってデメリットがあるのは確かです。アセスメントをしなくても仕事ができると思っている人もたくさんいます。看護アセスメントをするとどのような問題があるのかをまずは細かく確認していきましょう。
・手間がかかって楽ではない
看護アセスメントは看護師の仕事の中でもかなり手間がかかるのがデメリットです。一般的には看護アセスメントをするときに看護師は自分で必要な情報を集めるところから始めなければなりません。十分な情報が集まったと自分で納得できた時点でアセスメントをします。そして、看護アセスメントをした内容を書類にまとめて記録することが求められます。A4で1枚くらいのアセスメント記録を書くのが一般的です。記録した内容は共有されるので他の看護師や医師も見ることができます。内容の正確性やアセスメントの正しさを慎重に確認しなければなりません。また、アセスメントを受けて看護計画も記入する必要があります。記入後はその内容に沿って看護介入をしていかなければならないため、計画が本当に良いのかどうかを必死に考えて書くことになります。一つの看護アセスメントをするだけで多大な労力がかかることは否めません。
・創意工夫をする努力が求められる
看護アセスメントでは創意工夫をする努力も求められます。医師の指示を受けて患者に投薬をしたり、ルーチンで入院患者のバイタルチェックをしたりするのとは違って、「こうすれば良い」というマニュアルがありません。患者の主観的情報や検査による客観的情報を加味して看護計画を立てるための評価を柔軟におこなわなければならないのが看護アセスメントです。必要な看護が明らかな場合ももちろんありますが、複雑な状況で工夫をして対応しなければ患者のためにならない場合もあります。看護師として何ができるのかを広く考えてアセスメントの結果から看護計画を立てる努力が必要です。その計画次第で患者の今後が変わる可能性もあるので大きなプレッシャーになります。
・仕事にも思考にも時間がかかる
看護アセスメントは仕事にも思考にもとにかく時間がかかります。看護アセスメントは決してすぐに終わるような仕事ではなく、丁寧にやろうとすると患者一人あたり一時間以上もかかってしまう場合もあります。看護アセスメントをするための情報が足りなくて現場に聞きに行ったり、患者と話をしたりしなければならない場合もあります。看護アセスメントをしようとした時点で追加の仕事が増えてしまって、いつまでも終わらないこともあるのが実情です。アセスメントに慣れていないと評価をしたり、計画を立てたりするために考えるのもかなり時間がかかります。残業が長くなる原因になっている場合もあるのが看護アセスメントです。
・人間関係のトラブルが発生する場合がある
看護アセスメントは人間関係のトラブルが発生することもあるのがデメリットです。看護アセスメントは医療や看護の情報に基づいて評価をします。患者の看護をしていた担当看護師の対応が適切ではなかったと気づいたら、その看護師に意見を伝えなければならないでしょう。その看護師としては自分なりに考えて看護をしてきたので否定されたら反感を覚えることは否めません。納得してもらえることももちろんありますが、その後の関係がうまくいかなくなってしまうこともあります。看護師同士だけでなく、医師や薬剤師などの他の医療スタッフとの間でも人間関係のトラブルが起こるリスクがあるので最大限の配慮が必要です。
・ルーチンになると成長が止まる
看護アセスメントは現場に慣れてくるとほとんどルーチンでできるようになります。ただ、ルーチンでこなすようになると看護師として成長が止まってしまいがちです。看護アセスメントを当たり前のようにできるようになってしまうと、新しいことを考えなくなってしまいやすいからです。同じ現場に慣れるとこのタイプの患者にはこの看護をすれば良いといったパターン認識で看護計画を立てるようになっていくようになります。すると、個々の患者の違いに気付けなくて看護ミスを起こすリスクもあります。看護アセスメントをしているから大丈夫と思い込んでルーチンで看護をしてしまうことも少なくありません。常に今までとは違う患者に接していることを自覚して働ければ問題ありませんが、ベテランになるほどよくある問題なので注意しましょう。
#デメリットがあっても看護アセスメントをするべき理由
このように看護アセスメントをするとデメリットもあるのは確かです。それでも看護師がアセスメントをするべきなのはなぜなのでしょうか。看護師の業務を広く見て、なぜアセスメントをしなければならないのかを確認していきましょう。
・患者の初期看護を適切に選ぶ必要があるから
看護アセスメントは患者の初期看護をする際には欠かせません。来院した患者に何をしたら良いかを判断するには、患者の状況を確認してアセスメントをおこない、看護計画を立てることが不可欠です。緊急入院をした患者の場合には初期看護の良し悪しが今後にかかわる可能性もあります。入院患者の場合には容態が悪いケースが多いので、看護アセスメントを徹底して計画を立てることが必要です。
・看護介入の正しさを評価できるから
看護アセスメントは看護師がおこなってきた看護介入の正しさを自己評価するために実施することが必要です。アセスメントをすると「何となく」ではなく根拠を持って看護介入をする形を整えられます。どのような情報に基づいて、何を理由にしてどんな看護介入をしたのかが明確になります。良い結果になった場合にも、悪い結果になってしまった場合にも、アセスメントの記録を見直すと自分を評価し、良い点は続けていき、悪い点は改善するといった取り組みができるでしょう。
・看護師として総合力を上げるきっかけになるから
看護アセスメントを通して看護師は総合力を上げられます。アセスメントを通して患者に何をすべきかを考えたときに、自分のスキルでは足りないと思うときもあります。その場は他の看護師に任せて対応できますが、今後は自分で対応できるようになりたいと思うでしょう。新しいスキルの習得の機会が生まれるので、スキルアップを通して総合力を上げていくことができます。
・医療の質の向上に貢献できるから
看護アセスメントをすると医療の質の向上に貢献できます。病院では医療の質を上げるために誰もが協力することが求められています。医療現場では誰もが専門スキルを持っていて、他の職種の人にはできない役割を果たしています。看護師は看護のプロの立場から、自分にできることを考えて貢献することが大切です。看護アセスメントはまさに看護の視点でできることを考える機会なので、看護師が医療に貢献する上で欠かせないプロセスです。
・情報共有を通して周囲にも働きかけられるから
経過や結果を書類にまとめる看護アセスメントは自分だけでなく周囲にも働きかける力があります。看護アセスメントを通してどのような結果になったとしても、周囲に情報を共有できます。良い結果につながったなら、他の看護師が参考にするでしょう。予期せぬトラブルになってしまった場合には、他の看護師から教訓として学んでくれて同じトラブルを起こさずに済むようになります。自分も他の看護師の看護アセスメントの内容を確認して学ぶことが可能です。情報共有を通して看護師が全体としてレベルアップできるのが看護アセスメントのメリットです。
まとめ
看護アセスメントは大変で時間もかかるのは確かです。ただ、看護アセスメントは看護師が活躍していく上でも、医療の質を向上させるためにも欠かせないことがわかったでしょうか。看護アセスメントを定期的におこなうだけで看護師は成長の機会を手に入れられます。周囲も成長させて現場全体の質を上げられるので、デメリットを乗り越えて看護アセスメントをしていきましょう。
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