老人ホームなどでよくある利用者さんの症状として、発熱があります。そしてその発熱の原因として、なんといっても尿路感染が多いのです。ここでは、老人ホームなどでよくある利用者さんの症状の尿路感染のアセスメントについてお話します。
・感染しやすいお年寄りを理解する
老人ホームでは、よくお年寄りなどが発熱することがよくあります。その時、発熱の原因について、しっかりアセスメントする事が大切です。まず思うこととして、お年寄りの場合は感染しやすいと言う事です。
歳を取るほど、感染しやすくなり治療をしても回復しにくくなります。その結果、一番わかりやすい症状として発熱があるのです。まず発熱しているということに気づくのは、その利用者が言葉で伝えてくれることがあります。なんとなく熱っぽいなどと伝えてくれることがあり、その時に検温をすると発熱していることに気づきます。
しかし言葉を発せない利用者の場合は、利用者を触った時に熱っぽいなどで気づくことになります。そのときは、既に38度以上であることが多く、早期に発見することが大切ですが、気づくのが遅いこともあります。
利用者の発熱に気づくのは、なんとなく元気がない、食事を食べない、嘔吐がある等の少しの変化を感じ取りアセスメントするようにします。
・発熱のアセスメント
利用者に発熱が見られる場合は、どのようにアセスメントしたらいいのでしょうか。老人ホームの場合は、まずなんといっても尿路感染を疑うようにします。それは、尿路感染を起こしやすい環境にあるからです。
おむつを装着していることが多いので、そのことにより感染しやすくなります。頻回におむつ交換を実施していても、感染してしまうこともあり難しいところです。発熱したら、尿路感染を疑いそれに関連する症状について把握することになります。
しかし尿路感染を疑うと同時にほかの疾患も疑うことも大切です。その利用者の既往歴を確認して、その既往歴に伴う症状も一緒にアセスメントするようにしましょう。
・症状のアセスメント
尿路感染を疑った場合は、発熱以外にそれぞれの症状をアセスメントします。まずわかりやすいのは、尿の状態です。尿の性状として、濁っているなどがある場合は尿路感染を疑うことになります。また尿量が少ない場合もその可能性を考えます。脱水になっている場合は、尿路感染をおこしやすくなるので注意をしなければいけません。お年寄りの場合は、少しのことでも脱水になることがあるので、頻回に水分摂取を促しています。しかし、それを行っていても飲まないことがあったりして、感染を起こしやすいと言えるのです。
また症状としては、排尿時に痛みがある場合も要注意です。尿路感染により、膀胱炎などを起こしている可能性があります。そして元気がない、なんとなくおかしいと思う場合も、尿路感染を否定することはできません。いつ起こってもおかしくないと思いながら、日頃の尿回数や性状などを照らし合わせてアセスメントするようにしましょう。
・検査はどんなことをするのか?
尿路感染を疑う場合は、発熱する前に検査を行うことがあります。発熱以外の症状がある場合に医師に報告を行い、検査を実施します。まず行うのは、なんといっても尿の検査です。尿の検査の場合は、利用者の負担が少ないのですぐに行うことができます。それにより、感染が疑われることがわかります。
また発熱が見られる場合は、採血を行うこともあります。CBC、CRPなどを実施して、その結果により治療を行います。
検査としては、尿と採血が最も多くそれ以外外はほとんど行いません。
・発熱のケア
尿路感染を起こしているとわかった時には、発熱する事が多いのでそのケアを行います。まず行うのは、熱を下げることです。クーリングを行い、解熱を促します。利用者の場合は、このクーリングで解熱することも多く、とても大切なケアとなります。
クーリングを行うと、その時に震えたり寒くなったりすることもあり、その様子を度々観察するようにします。特に声を発することができない利用者の場合は、看護師のこまめな観察により、その症状を防止することができるので、症状の観察をしっかり行うようにしましょう。
そして解熱しない場合は、内服の投与を行うこともあります。内服の場合は、飲める利用者には投与して飲むことができない利用者には、輸液を実施することもあります。輸液を投与しながら、抗生剤を投与する事が多いです。
・水分摂取
発熱した利用者には、水分摂取を促すようにします。発熱しているので、水分を摂取することも辛いという利用者もいますが、そのことも治療であることを理解してもらい、摂取を促します。水分摂取をさせることにより、感染も防止することができるし、予防することにもつながります。一度にたくさんの水分を摂取することはむつかしいので、こまめに促すようにしましょう。
もしも水分摂取をすることができない場合は、輸液を行うこともあります。食欲がなくなり、水分を摂取できない利用者の場合は、輸液を行います。
・内服治療
尿路感染を起こしているとわかった時には、内服治療を行うことがあります。利用者の場合は、ほとんどの人が内服していることからその治療の薬についても嫌がることが少なく内服してもらうことができます。
内服薬は、3日間処方されることが多いです。内服をしっかり行い、早期に回復できるように治療を行っています。
・家族への説明
利用者が発熱した場合、家族への説明を行います。家族に対しては、異常がある場合に連絡をすることが必須です。家族は、いつも利用者のことを心配しています。少しのことでも把握したいと思っていることから、変化があった場合は必ず連絡をします。
発熱した時にその説明を行い、その後の経過と治療内容について看護師から説明を行うことがあります。医師が行う場合と、看護師が行う場合があります。
・ケアの見直し
尿路感染を起こしているとわかった時には、ケアを見直すことも大切です。まず見直すのは、 入所している利用者の清潔について見直しを行います。まず尿路感染を起こす原因として、感染しやすい環境を予防するようにします。そのためには、今以上に排泄介助を増やすことも一つです。排泄介助が少ないことにより、感染してしまうこともあるからです。また、適宜陰部の洗浄を行うように計画をします。
その計画については、尿路感染を起こしやすい利用者にはすぐに見直しを行い、できるだけ速やかに実施するようにします。そしてその見直しを行った後には、必ず記録に残しスタッフ情報を共有するようにしましょう。
・カンファレンスについて
尿路感染を防止するためには、おむつ環境として清潔をできるだけ保つことが大切となります。そしてそれを行うためには、なんといってもスタッフ全員がそのことを理解して、対処するようにすることなのです。
スタッフが情報共有して、その後に対処できるようになるとぐっと尿路感染を減らすことが出来るでしょう。そのためには、カンファレンスを行いスタッフ同士でケアについてよりよいケアが行えるように、意見を交換を行いましょう。
まとめ
いかがでしたか?尿路感染というのは、その数が増えることはスタッフのケアの質を問われることになります。そのことから、できるだけ感染させないために、ケアの見直しを行いより良い環境作りをすることをおすすめします。
看護師はその時に、リーダー的役割を発揮してその後に改善した内容について維持できるようにしたいですね。
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