看護師は経験がものをいう世界です。慢性的な人手不足が指摘されている看護業界にとっては貴重な人材ともいえます。しかし、売り手市場の看護業界だからと言って、どこにでも就職できるわけではありません。当記事では、看護経験のある看護師の再就職の際のポイントをわかりやすくまとめています。
看護師が再就職先を探す際には、いくつかのポイントがあります。それぞれ、就職先を探す際に行うべきこと、就職活動中の注意点など、いくつか押さえておくべき事柄を分けてまとめています。
1:自己分析と目標の明確化
まず最初に行うべきことをあげます。それは自己分析です。大前提として、なぜ働きたいのかを明確にすることです。もちろん働く動機は人それぞれですが、働き始めると、なぜ働いているのかがわからなくなってしまい、退職につながると言った話は看護の世界のみならず、よく聞く話です。特に看護の世界は人間相手の商売であり、人がサービスを提供する職業。様々な人間模様が垣間見えます。そこで、「なぜ私は看護師として、この病院(クリニックや施設なども含む)で働きたいのか!」を明確にしておくことは大前提となります。しかしこの大前提が明確になっておらず、ぼんやりとしている看護師が多いのも事実です。そしてこの大前提をクリアしてから、以下のようなポイントを押さえていきましょう。
1-1
大前提をクリアしてからは、自身のスキルや経験を振り返りましょう。また、興味のある領域や特定の患者層に対する関心を把握することも大切です。これらの要素を基に、働いてからの自身のイメージをしましょう。
さらに、目標を明確化することも重要です。例えば、臨床での特定の分野(例えば褥瘡や救急、または小児、老年、透析、糖尿等)のスペシャリストとしてのスキルを磨くことや、管理職としてのキャリアを築くことなど、具体的な目標を定めましょう。明確な目標を持つことで、自身の就職活動がより具体的な方向性を持つことができます。
2:自身にマッチしそうな求人情報の情報収集
昨今、看護師を含め医療従事者向けの求人サイトがいくつか存在します。就職活動においては、情報収集が重要です。求人サイト、看護師専門の雑誌や書籍などを活用して、求人情報や職場の特徴、勤務条件などを調べましょう。ただし、ただ調べるだけではありません。看護師の働き先は多種多様です。この際、数多ある求人情報の中から、大前提として行った自己分析や目標にマッチする情報を選別することが重要です。時には各都道府県の看護協会等の職能団体から情報を得たり、その応募先の口コミなどで情報を得ることも有用です。さらに自身にマッチしそうな応募先での勤務経験のある看護師や、その応募先に人脈のある友人が存在すれば、そこから情報を入手することも視野に入れておくと良いでしょう。
とにかく応募先を選ぶ際には、自身の目標や希望条件とのミスマッチを避けることが重要です。応募先のホームページや募集要項をよく読み、勤務条件や職場の特徴を確認しましょう。
2-1:以外と実施されていない職場見学
先の通り応募先の情報収集は重要ですが、もし応募先が職場見学を受け付けている施設であれば、ぜひその機会を利用しましょう。職場見学は、実際の職場の雰囲気や働き方を直接確認する機会です。ホームページや求人情報だけではわからない、職場の雰囲気やスタッフ同士の関係性、患者への対応などを実際に見て感じることができます。これにより、自身がその職場に適応できるかどうかや、自身の働き方と合致するかどうかを判断することもできることが多いです。時に職場見学では、チームの協力体制やコミュニケーションの取り方、業務の分担や連携方法などを直接見ることができます。昨今はチーム医療の時代ともいわれます。特に看護師は多職種連携の要的存在ですし、重要な役割を任されることも多いです。また、多職種連携によるチームのみならず、例えば固定チームナーシング等、看護師独自のチームも存在します。職場見学ではそうしたチームに触れる機会も多く、自身がそれぞれのチームに適応できるかどうかや、働きやすい環境かどうかを判断することができます。また、自身が大切にしている働き方や価値観と合致するかどうかも確認できるでしょう。
さらに、時間を多く確保してくれる職場見学では、実際に働いている看護師とのコミュニケーションの機会も提供してくることもあります。質問や相談を通じて、現場の看護師の声や意見を直接聞くことができます。これにより、職場の実態や課題、やりがいや充実感などをより具体的に知ることができます。また、自己分析した結果の自身の目標と合致するかどうかも確認することができます。そうしたコミュニケーションの場では、自身の意思表示と熱意をアピールする良い機会でもあります。職場見学の際には、事前に準備をし、質問や興味を持つポイントを用意しておきましょう。自身の関心ごとや目標を明確に伝えることで、職場の担当者や看護師たちに自身の熱意をアピールすることができます。とにかく職場見学は就職活動において貴重な機会であり、有効な手段です。ぜひ、積極的に職場見学を申し込み、自身にとって最適な職場を見つけるための貴重な情報を得ることをおすすめします。
3:適切な応募先がみつかった後の対策
では良い応募先に巡り合えたら、今度は何をすべきについてです。大きく分けて、履歴書の作成と面接対策が主になります。
3-1:履歴書は自身をアピールするためのツール
履歴書は、自身をアピールするための重要なツールです。通常、応募先の採用担当者に自身の経歴や能力、意欲を的確に伝えることが求められますが、言い換えれば、伝えることができるツールでもあるのです。正しく伝えるためには、ポイントに留意して履歴書を作成しましょう。
3-1-1:正確な情報と看護研究
まず、詳細かつ正確な情報を記入することが大切です。基本情報や学歴・職歴、資格・免許、スキル・実績など、全ての項目を丁寧に埋めましょう。情報は最新のものであり、正確性に注意しましょう。特に看護師の場合、看護経験や実績を強調することが重要です。過去の病院やクリニック、施設での業績、トレーニングや研修での成果などを具体的に示し、自身の専門性や能力をアピールしましょう。その際忘れずに書くべきは、看護研究です。面接ではよく触れられる項目でもあります。今一度、研究内容を振り返っておくことで面接では良いアピールポイントとなりますので、お忘れなく。
3-1-2:自己PRでアピールをしっかりと
自己PR欄を充実させることも重要です。この欄では、自身の強みや熱意、応募先への意欲を明確に表現します。自身の目標や看護師としての使命感、患者さんへの思いなどを簡潔かつ具体的に伝えることで、採用担当者に自己アピールする良い機会となります。
3-1-3:レイアウトも重要
履歴書の書き方には清潔感と整理されたレイアウトも重要です。字体や文字サイズに統一感を持たせ、読みやすさを追求しましょう。また、誤字や脱字にも細心の注意を払い、丁寧な仕上がりを目指しましょう。
履歴書は看護師のアピールの場であり、採用担当者の第一印象を左右する重要な要素です。自身の経歴や能力を魅力的に伝えるために、時間をかけて丁寧に作成しましょう。応募先の要求や条件に合わせてカスタマイズし、自身を最大限にアピールできる履歴書を作成することが求められます。
4:面接は勝負の時
面接は、求職活動において最後の重要なステップです。面接では、自身の能力や経験、人物像をアピールする機会が与えられます。以下に、看護師が面接対策を行う上でのポイントを紹介します。
4-1:応募先の正確な情報と理念
応募先の情報を詳しく把握しましょう。病院や医療機関の特徴、理念、取り組みなどを事前に調査しておきましょう。ただ自身のアピールだけでは、自己中心的と思われる可能性があります。しっかりと応募先のことも調べ上げ面接に臨むことで、面接官に対して応募先への関心や理解を示すことができます。また、求められるスキルや資質に合わせて、自身の経験や実績を具体的に結びつけることも重要です。
次に、自己紹介や志望動機について簡潔にまとめる準備をしましょう。自身の経歴やスキル、専門知識を端的にまとめ、簡潔かつ魅力的にプレゼンテーションすることが求められます。その際、端的すぎてしまうとかえって信憑性が疑われたり、内容が伝わらないこともありますので、誠実さや情熱を感じさせる自己表現を心がけ、わかりやすい内容であることが重要です。
4-2回答はリアルさが求められる
面接官からの質問を予想し、具体的な事例や経験を用いた回答の準備を行いましょう。看護師としての業務経験や難しいケースへの対応、チームでの協力経験など、自身の実践的な能力を具体的に説明できる事例を用意しておきましょう。またこの際、自身の強みや成果を明確に示すことで、採用担当者に自信と信頼を与えることができます。
4-3:常識の範囲内のマナーは忘れずに
最後に、面接のマナーや態度にも注意しましょう。時間に余裕を持って面接場所に到着し、丁寧な挨拶や礼儀正しい態度を心掛けましょう。面接官の質問には真摯に向き合い、明確な回答を心掛けることが重要です。また、自身の意見や質問を遠慮せずに述べることも必要です。面接はコミュニケーションともいえます。お互いが気持ちの良い面接となったという印象をお互いが持てば、それは面接として成功したと言えるでしょう。マナーの良い面接を心がけ、最後はすがすがしい気持ちで終えられると良いですね。
まとめ
この記事では、30代後半の看護師が就職する際に重要なポイントについて詳しく説明しました。まずは自己評価や目標設定を行ってから、マッチする求人情報を探しましょう。良い応募先と巡り合えたら、職場見学が可能であれば申し込むと良いでしょう。
そして就職活動では、履歴書や職務経歴書を丁寧に作成し、専門的な知識や経験をアピールすることが求められます。また、面接では自己紹介や具体的な事例を通じて、自身の意欲や能力をアピールする必要があります。もちろんアピールだけではなく、先方の取り組みや理念もしっかり頭に入れておくこともが重要です。
良い職場に巡り合えるまでの道のりは長いかもしれません。苦労が多い分、良い職場に巡り合えたときの喜びも大きいものです。当記事が再就職活動中の看護師の皆さまのお役に立てれば光栄です。
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