独居で自宅で生活していると、なかなか医療的な制限を守ることが難しいです。特に水分や塩分量などは。水分や塩分制限のある利用者さんに看護師として在宅生活を続けるためにどんなアセスメントをして、どんなアドバイスをすることが出来るでしょうか。ここではそのポイントを紹介します。
在宅で生活している人、特に独居で高齢である場合、食事や水分の制限を守ることがとても難しいです。その理由はいくつかあります。今回はそれぞれの理由に対して、どうかかわっていけばいいのか、どのようにアセスメントするかというところに注目して紹介していきます。
・自宅は自分の城。だからいいだろうという思いが強い
病院にいると、患者さんは完全にアウェイです。病院には常に医師や看護師、看護助手などがいて、自分の思うように行動することが出来ません。食事も食事時間になると配膳されますし、自分勝手に好きな物を食べるというわけにはいかないのです。なぜなら食事をすることも治療の一つになるからなのですね。
しかし自宅に帰ると環境は大きく変わります。自宅は自分の城。誰も口出しできない場所です。そのため、入院中は守っていた食事や水分制限ですが、退院後在宅に帰ると少し気が緩んで制限が守られないことがよくあるのです。
もちろん、独居であっても自分を厳しく律し、食事や水分制限をしっかり守って生活する人もいます。また一人では管理することが出来ないけれど、近隣に住む家族が手助けしながらできるだけ守っているという人も。
ただ自宅では気が緩んでしまう人が大半です。入院中は、我慢していろいろな制限を守って体調も良くなってきていたけれど、退院後徐々にまた食生活が元に戻り、体調が少しずつ悪くなるという人も少なくありません。だからこそ訪問看護師のかかわりが重要なのだと思います。
・制限が分からなくなってしまう
病院にいる時には、医師や看護師が毎日かかわります。特に食事や水分の制限が守られない人は、毎日のように指導されていたのではないでしょうか。カロリーや塩分は〇〇までですよとか、水分は〇〇mlまでですよなど。
しかし自宅に帰ると、そのような指摘をしてくれる人はいなくなります。もちろん独居であっても、家族が毎日のように電話をして注意を促してくれることもあります。近隣の人や友達、ヘルパーやケアマネなどがかかわり注意を促していくということもあります。しかし、多くの場合は、自分自身で管理するしかないのです。
訪問看護師である私は、さまざまな利用者さんのお宅を訪問しますが、毎日訪問する人もいれば週1回訪問の人もいる…。その中ですべての人が病院から言われている制限を守っているかというと、かなり難しいのが現状です。
私たちは、在宅に戻るときに病院からの指導を受けているので、それをもとに紙に書いて貼ったり、毎回丁寧な指導を心掛けるなど利用者さんにかかわっています。また体重をはかるなどして食事や水分の取りすぎについての動機付けを行います。
しかし、週1回の訪問などかかわりが頻回でない場合は制限を守ることはとても難しく、私たち看護師も利用者さんを信じるしかないというのが現状です。
ただそのままにしておくと利用者さんの命にもかかわることがあります。体調が悪くなり、また病院に戻らなくてはいけないということもあります。そのような事態を避けるため、出来るだけ利用者さんに在宅生活を続けることが出来るよう励まします。またご家族に連絡をして、さまざまなアドバイスをするように心掛けています。看護師でできることは少しかもしれませんが、家族を巻き込んでいくともっと強いサポートが出来るのではないかと思っています。
・理解力が低下しているので、始めから自己管理が出来ない
入院中は病院の管理のもとで生活を行うため、いろいろな食事や水分に関する制限を守ることが出来ます。しかし、在宅に帰るとそれが難しいことは上記でも述べました。
私たちは退院前に病院に訪問して利用者さんにお会いすることもありますが、その時に感じることがあります。それは、この利用者さんは大丈夫かな。かなり理解力がないななど。
病院では退院の時に、1日〇〇ml以下の水分摂取とするようにと、明確な数字で表されることが多いです。しかし、在宅に帰ると、高齢独居の人がいちいち水分量をはかって飲水するわけではありませんね。そのため、自分勝手に水分をとってしまうことが多いのです。
そんな時には、私たちは制限を少しでも守れるように、いつも使用している湯のみなどを使用して説明するようにしています。例えば、一日の水分は、食事の時にこの湯のみ一杯まで。食事は3回とるので、一日湯のみ3杯までですよ。といった説明です。病院で1日〇〇mlといわれて理解できなかった利用者さんも、それを聞くと、何となく理解が出来るようです。自分がいつも使っていた湯のみだから。
難しいのは塩分制限ですね。その場合は、まず利用者さんの食事の内容をよく知る必要があります。独居で高齢となると、自分で料理をするのは難しいですし、手軽なもので済ませてしまうことはよくあります。例えばご飯に漬物。菓子パンなどです。塩分というのはどの食品にも含まれているので、自分自身で何を食べるかという選び方を指導するのが一番いいのかもしれませんね。しかし、なかなか食品を自分で選ぶというのは難しいのです。
そんな時には、いつも梅干を3つ食べるなら2つに減らしましょうといったことや、味噌汁やしょうゆは減塩にかえましょうといった説明を行います。訪問看護師が直接買い物をすることはありませんが、同じような指導をヘルパーにもして、買い物をしてくるときに減塩の品物を購入してきてもらうようにしています。また利用者の好きな物の中でも練り物やお惣菜といったものは塩分が高い場合もあるので、注意して購入してきてもらいます。
このように、利用者自身の理解力が低下し、自分で食事や水分の管理が出来なくなっても、周りの協力を得ることで食事の管理を続けることは可能です。病院のような厳密な管理は難しくても、在宅で緩やかで継続できるような管理をできると、利用者さんが望む在宅生活を続けることができるのです。
・連携を図る重要性を知ろう
自宅で水分や塩分制限を受けている人の中には、透析患者さんも多くいます。在宅生活を送りながら、定期的に透析に通う利用者さんも多いですね。そのような場合は、体重管理が非常に重要になります。
訪問看護師として透析室と連携をとって情報交換をすることは非常に重要だと考えています。
例えば、自宅での食事、塩分、水分摂取量が多く、透析前に体重がかなり増加していたら、透析で除水するのが非常に困難になります。難しいということは、利用者さんの身体にも大きな負担がかかるということです。そうなると、透析中に血圧が下がったり、透析後に倦怠感や疲労感が強いというときも多くなるのです。これをアセスメントしてみると、やはり普段からの利用者さんの生活が一番のカギを握りますね。そこで訪問看護師がどうかかわるべきかが重要となるのです。
透析をしている人は、日常生活の中に透析がある…それを普段から意識して食事や塩分、水分摂取についてのアセスメントをしていくことが重要です。
まとめ
いかがでしたか。
在宅生活をしていると、自分流の生活になるので食事や塩分、水分などの制限が守られないことが少なくありません。しかし、訪問看護師はその日常生活をアセスメントしながら、どのようにかかわっていくべきか、どのようにアドバイスしていくべきかを考えていくことが重要です。ぜひ参考にしてみてくださいね。
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