看護師が働くところは、臨床に限らず在宅や企業という場所もあります。その中で注目を浴びているのが訪問看護という分野です。訪問看護師になるためには、どんなことをするべきでしょうか。ここでは、訪問看護師になるために知っておきたいことを紹介します。
訪問看護師になるときには、主に3つのケースがあります。一つは、病棟看護師から訪問看護師になるケース。そして二つ目は訪問看護師から訪問看護師になるケース。そして最後は、潜在看護師から訪問看護師になるケースです。それぞれ訪問看護師になるために知っておきたいことで共通している部分もありますが、それぞれに違う部分もあります。ここでは、病棟看護師から訪問看護師になるケースについて、知っておくべきこと、メリットやデメリットを紹介していきます。
・働く現場の違い
当たり前のことですが、病棟看護師と訪問看護師は、働く現場が異なります。病棟看護師というのは、病院やクリニックの病棟で勤務することです。反対に訪問看護師というのは、在宅が主に働く場所となります。病院やクリニックと在宅というのが大きな違いです。
看護師なのだから、基本的な看護の知識と技術があれば、働く現場が違っても働くことはできるでしょう?と思う人も多いです。しかし、看護の知識と技術は同じでも、働く現場が違うというのは、看護師にとってはとても働きにくい状況を生み出すのです。そのため、病棟看護師から訪問看護師になったのに、思うように働くことが出来ない、想像と違ったと就職や転職をした後に後悔をしてしまう人も少なくないのです。
看護師という基本的な国家資格は同じでも、働く現場が異なれば、そこで行われる看護は大きく異なるということを知っておきましょう。
・お給料や手当の違い
訪問看護師になる方法は、さまざまなものがあります。例えば自分で訪問看護ステーションを探して、求人が出ているかどうか問い合わせる方法、また転職情報誌や転職サイトを活用し求人を探す方法などです。どの方法でも訪問看護師の求人を探すことはそれほど難しくはないでしょう。それは高齢化に伴って訪問看護師の需要が高まっているからです。
求人の数は多くても、なかなか自分が希望するようなところが見つからないと落胆する看護師も少なくありません。それは、訪問看護師に関する求人をみてみると、給料が病棟看護師に比べて低いことがほとんどだからです。病棟で勤務している時には、大きな病院ほど、ある程度組織もしっかりとしているし、基本給も福利厚生も充実しているところが多いです。そのため、手当やボーナスというのもきちんと支給されるし、昇給も期待できるでしょう。
それと比較してみると、訪問看護というのは独立した訪問看護ステーションが多いのです。訪問看護ステーションとして運営していくためには、常勤換算で看護師が2.5人以上いなければいけません。その基準をクリアして初めて訪問看護ステーションとして運営ができるのですが、それでも看護師が5人、8人、といった少人数で行っているところが多いのです。小さな事業所、ましてや看護師の人材が不足している中で、十分な人件費を出すことができるでしょうか。
実は、採算が取れずに閉鎖をしてしまう訪問看護ステーションも少なくないのです。閉鎖をすることはなくても、なるべく人件費を削減して運営をしているような経営が厳しいところも少なくありません。もちろん大きな病院やクリニックが母体としてある場合には、基本給も福利厚生も充実しているところはありますが、実際はそうでないところも多いのです。そうなると問題になるのが基本給です。訪問看護師になりたいと思って求人を探しても、基本給が低くて病棟看護師から見るとあまり魅力的でないことも多いです。
病棟看護師は、日勤だけをする人もいますが、夜勤や当直をすることもありますね。その場合、夜勤手当や当直手当もつきますし、残業手当が15分ごとにつくこともあるので、基本給と手当を含めてお給料が入ってくるのです。
訪問看護師というのは、24時間管理加算という制度をとっており24時間体制で利用者からの緊急訪問に対応するところもあります。この場合は、オンコール手当というものがつきますが、病棟の夜勤手当に比べたら相当少ないでしょう。また24時間管理加算をとっていない訪問看護ステーションでは、オンコール手当もないのでお給料もおのずと少なくなります。
著者が勤務している訪問看護ステーションにも求人の問い合わせがきますし、実際に面接を行うこともあります。好印象でぜひ入ってほしいなと思う現役の病棟看護師も多いのですが、給料の折り合いがつかずお断りされることも少なくありません。やはり面接の時に、基本給や手当の話をするのですが、希望するものとは大きくかけ離れていることもあり転職まで至らないのが現実です。
・何が一番自分にとって大切かを考えて転職を決めよう
上記では、病棟看護師と訪問看護師の働く場所の違い、そして給料や手当の違いについて紹介しました。上記を見ると、給料のそれほど満足できるものではないかもしれないのに訪問看護ステーションで働くことの魅力って何?と思う人もいるでしょう。
それは在宅で働いたからこそわかる看護のやりがいがあるからなのです。病棟と在宅では、患者との関係が密になります。自宅に行くということは、本人だけではなく家族ともかかわることが多くなります。密にかかわるからこそ得られる充実感というのがあるのです。それが訪問看護師のやりがいにつながっていると思います。
例え給料が希望通りではなくても、訪問看護師としてのやりがい、在宅で看護することの充実感が一番重要として、訪問看護師を何年も続けている人は数多くいます。それは病棟看護師として働くやりがい、充実感を持って継続的に勤務している人も同様ですね。
大切なことは、何が一番自分の取って大切なのかを考えて転職を決めることなのです。
訪問看護師になりたいと思ったときに、何を重視して働くべきかをよく考えておきましょう。
著者が一緒に働く訪問看護師の中には、自宅から近いからという理由だけで選んだという人もいます。自宅から近いから通勤に時間がかからない。その分自宅で過ごす時間が出来、家事に時間を回すことができる、つまり家事と仕事が両立できるという人もいます。
また子どもの学校が近いからという理由で選ぶ人も。子育てしながら看護師を続ける時には、子どもを学童などに預けて働く人も少なくありません。また子どもが小さければ保育所や幼稚園を利用しますね。急に体調不良の連絡があった時なども学校が近ければすぐに対応することができます。また学校や部活動の送迎があるときも、仕事帰りに迎えに行くことも可能です。
また給料や手当は少なくても、日勤の仕事だけだから生活リズムをつけやすく自分の身体の調子が整う、また家事や子育てに時間を割くことができると、割り切って訪問看護を選ぶ人も多いです。
大切なことは、やはり何を一番に考えるかということでしょう。給料の面からすればなかなか納得がいかない条件であっても、勤続年数が積み重なっていけば訪問看護師の給料もだんだんとあがっていきます。また始めから給料を期待したい人は、24時間体制でオンコールをするところがある場所を選ぶといいです。
訪問看護師の需要は、あるけれど条件でなかなか人材が集まらないという現実もあります。訪問看護師には、病棟看護師にはない魅力があるのですが、なかなか実際に働いてみなければわからないことが多いので、訪問看護の世界に飛び込む勇気がない人も多いのです。焦りや禁物は必要ありません。
良い求人がでるまで待つという方法もあります。ただ病棟看護師と比較するとやはり給料面では下がることが多い現実があるので、訪問看護師のやりがいを期待しつつ割り切って求人を探してみるのがおすすめです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は主に病棟看護師から訪問看護師になる方法を紹介しました。同じ看護師でも働く場所が違えばさまざまな条件が異なることが分かったと思います。訪問看護師になるメリットやデメリットを理解した上で、何が自分にとって一番重要な条件かを考えて、折り合いをつけながら訪問看護師の求人を探していきましょう。
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