入院している患者さんの中には、治療の一つとして化学療法を受ける人も多いです。その中では、看護師のケアやアセスメントは欠かすことができません。ここでは、その化学療法を受ける患者さんのケアとアセスメントについてお話します。
・化学療法の説明について
化学療法を受ける患者さんの場合は、必ず医師から説明を受けることになります。その時、医師の説明としてはかなりわかりやすく行われるようになりました。その説明としては、図に示して患者さんができるだけ理解しやすいように工夫されています。
しかしいくらそのようにわかりやすくなったと言っても、自分のこととして捉える時にその治療というよりも今の不安が強すぎてしまうあまり、説明を受けたとしても、しっかり理解していないことが多いです。
患者さんの中には、全く理解できなかったと話される人もいます。それだけ、緊張と不安の中での話は、理解されないことが多いのです。そのことを理解して、看護師としては医師の説明の補足を必ずします。理解できたかどうかの確認と、理解できなかったことについて何度も説明をします。
そしてそれは、理解できていると答えた患者さんの場合も、不安で今ひとつだっただろうと認識しておきましょう。医師の説明の後の患者さんへのフォローは、看護師としてとても重要なことなのです。
それを患者さんが理解して自分のことと捉えることにより、治療への気持ちが前向きになります。
・副作用を理解しているか
治療を受ける患者さんは、その後の自分の予後について気になります。その結果、治療を受けた時の副作用について、とてもつらい思いをすることになります。そこで、治療を受ける時の副作用についての理解もしっかりしてもらう必要があります。
治療を受ける時、その後の副作用について医師から説明を受けた後にもう一度話をしておきます。その時、淡々と説明をするのではなく患者さんの反応を見ながら話を進めていきます。説明を聞く段階で、ショックを受けるのは間違いありません。そして実際に、治療を受けて自分がとてもつらい思いをすると、やっぱりと思うことができます。
しかし副作用を理解しないで治療を受けると、その後のショックがかなり大きいです。その結果、治療を拒否することもあります。
副作用については、治療を開始する前にしっかり説明をして不安をできるだけ取り除いてあげましょう。知識として持っているだけでも、不安はかなり少なくなります。
・化学療法の内容の確認
化学療法を受ける患者さんには、その輸液の内容が大体決められています。その治療を行う病院での治療内容を見て、しっかり確認しておきます。また使用する薬品に対しての副作用も理解します。それにより、治療を受けている患者さんを把握しやすくなります。
確認をする時には、医師とともに行ったりその後にリーダーと行う事もあります。自分が指示を受けた場合は、その後に必ずダブルチェックを行うようにします。
・血管確保について
治療を行う時には、血管を確保することになります。その血管を確保する場合は、抗がん剤を投与することから、医師が行います。医師が行い、確実に血管内を確保できたことを確認してから、その薬剤の投与を開始します。
血管確保をしっかり行っていても、その後に薬液が血管外に漏れてしまう事もあるので要注意です。
・血管より薬液漏れがないか
治療を開始すると、その後に頻回にバイタルサイン、尿量、副作用の有無、輸液の確認などを行います。そして最も重要なこととして、刺入部の確認があり増す。治療が開始されると、しばらく輸液をずっと継続して投与することになるのでその刺入部の確認はとても重要です。
その部位が赤くなっていたり、浸出液がある、腫脹しているなどが見られる場合は医師に報告をして、その部位の確認を依頼します。場合により、再度血管確保を行う場合もあります。
また抗がん剤を投与している時には、注意することとしてその部位の約液漏れがあります。約液漏れがあり場合は、すぐにその輸液を中止することもあります。漏れている場合は、その皮膚が壊死になってしまうことがあるからです。血管外に漏れていないかしっかり確認します。
・嘔吐のケア
治療を受ける患者さんの場合は、その治療の副作用としてまずなんと言っても嘔吐があります。治療を受けている患者さんのほとんどは、その嘔吐や嘔気があることから、倦怠感がますます増して治療をすることが嫌になる事もあります。治療をしている間は、嘔吐に対してしっかりと看護師のケアが重要です。嘔吐があることを想定して、床頭台にはガーグルベースンを準備します。そして嘔吐が見られた場合は、直ぐにそれを片付けて次の清潔なガーグルベースンを準備します。
そしてガーグルベースンとともに、おしぼりも準備しておくようにします。口周りを拭き取るためのおしぼりです。
嘔吐はいつ起きるのか患者さんしかわかりません。そのため、準備をしておくことはとても重要です。
・食事について
治療を受けた後には、食事を食べることができない事もあります。匂いだけでも嘔吐してしまうほど、ダメージを受ける事もあり、その場合は患者さんが食べられるものを準備します。できるだけ水分摂取を促したいところですが、気分が悪い時には、安静も重要です。
患者さんの状態が落ち着いたら、患者さんが食べたいものを準備するようにしましょう。事前に準備出来ると、慌てることなく食べてもらうことができます。
・貧血のアセスメント
治療を開始して、2,3日後に貧血の症状が現れることがあります。それは、めまい、立ちくらみ、倦怠感などです。めまいや立ちくらみがある場合は歩行する際にとても危ないです。尿道留置カテーテルが挿入されていない場合は、トイレ歩行時に要注意です。立ちくらみが起きることについて、患者さんに説明をしてゆっくり立ち上がってもらいトイレ歩行などを促します。トイレ歩行時は、看護師をナースコールで呼んでもらうことを伝えておきましょう。
めまいが強い場合は、アセスメントによりトイレ歩行は無理と判断しベッド横にポータブルトイレを設置するようにします。
・脱毛のケア
治療を行うと、その後に必ず脱毛があります。その際、女性は特にショックを受けることになります。治療を受けたあとは、ウィッグなどのパンフレットなどを見せてあげられるように準備しておきましょう。
・心のケアについて
治療を受ける患者さんは、その治療自体がとても辛いのに、それにより治るのだろうかという漠然とした不安をいつも抱えています。身体的につらいことと、精神的にもかなりのダメージを受けることになるのです。
中には治療をしたくない、自宅に帰りたいという患者さんもいます。その時、看護師は患者さんのつらい気持ちに寄り添い、心のケアを行うことを心がけましょう。忙しい中でも、そのことは患者さんの回復意欲を促すためにもとても重要です。
治療を開始した患者さんについては、よくカンファレンスでその状況について情報共有することがありますね。その際、身体的側面と精神的側面両方の視点からカンファレンスでアセスメントするようにします。
まとめ
いかがでしたか?化学療法を行う患者さんについては、繰り返し治療についての説明をして、理解してもらったうえで開始することが望まれます。治療が開始すると、自分の辛さを分かって欲しいと思うあまり自暴自棄になってしまう患者さんもいます。看護師はその気持ちを理解して、話をきいてあげる時間も確保するようにできたらいいですね。
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