入院している患者さんの場合は、検査や処置があったりするときにストレッチャーで移送することがあります。その時、細心の注意をして移送することが大切です。ここでは、ストレッチャーで移送する時のアセスメントについてお話します。
・ストレッチャーを点検する
患者さんを移動させる方法として、なんと言っても使うのはストレッチャーです。そのストレッチャーは、毎日使うことが多いのでその都度故障はないか点検することが大切です。しかしその点検をする時として、時間をかけることができない事もあります。
そのことからも、日時を決めて点検をすることが望まれます。点検をする時には、まずストレッチャーを動かす時に安全に移動させることができるのか確認します。タイヤがスムーズに動く、柵が固定できる、シーツ交換を実施しているなどです。その時、点検を行ったサインをしておくと安心して使うことができます。
・移送する患者さんの識別を確認する
移送する前に、必ず行うこととして患者確認があります。検査、手術、処置などで患者さんを移動させることがあり、その際に間違いなくその患者さんであることを確認します。患者さんに識別のバンドがある場合は、それにより確認できますね。しかし識別できるモノがないこともあります。その場合は、二人の看護師で確認することが望まれます。医師がいる場合は、医師と確認してもOKです。
・患者さんの状態をアセスメントする
ストレッチャーで移送する前に、その患者さんをアセスメントします。それは、患者さんがどのような状態であるのかをアセスメントするのです。急変する恐れがある場合は、必要物品を準備する必要があります。
また看護師二人での移送でいいのかも、アセスメントします。それは移送している途中で、急変する可能性もあるからです。もしも患者さんが急変する可能性が高い場合は、医師とともに移送する様にします。そして急変時に備えることができるように、医師の指示により必要物品を準備する様にします。
・移送に必要な物品を確認する
移送する前には、必ず必要物品を確認します。手術に移送する場合は、手術に関するカルテ、同意書、レントゲンフィルム、心電図結果、採血結果等が揃っているのか確認をします。
また検査に行く場合は、検査の指示書等を持参します。それらを事前に準備しているものを持参することが多いです。しかし緊急で移送する場合は、準備されていないので限られた時間の中で、それを準備することになります。その時、一人で行おうとすると、予定時間に間に合わなくなる事もあるので要注意です。緊急の場合は、ほかの看護師にも助けてもらうなど、チームとして動く様にしましょう。
・移送時に予測される症状をアセスメントする
患者さんを移送する時には、それなりのリスクもあります。そのリスクの一つとしては、患者さんが動いてしまうことがあります。気分がすぐれない患者さんの場合は、そんなことはないでしょう。ところが、不安がある等の患者さんの場合は、暴れてしまうことがあります。そのことが予測される場合は、ストレッチャーで後ろに付いている看護師が観察します。患者さんの動きにより、危ないと判断した場合はその時点で応援を呼ぶ様にします。そのまま移送すると、転落してしまう危険性があります。
また予測される症状として、よくあるのは嘔吐です。吐き気がある場合は、ガーグルベースンを必ず準備します。またできるなら体位に関して、側臥位になってもらうことをお勧めします。それができない場合は、後ろで搬送している看護師が観察して、必要時介助を行います。その際には、先に進んでいる看護師に、必ず声をかけて立ち止まってもらう様にします。
・看護師2名以上で掛け声をかけてベッドから移動を行う
患者さんをストレッチャーに移動させる際には、必ず掛け声を行いながら実施します。看護師2名で、掛け声をかけて一緒に移動させます。患者さんの体重がかなりある場合は、看護師二人では危険なこともあります。その場合は、数人で移動させる様にしましょう。
ベッドからの移動に関しては、事故として転落があります。転落させてしまう要因としては、患者さんが思ったよりも重く支えきることができなかったことが多いです。緊急の場合でも、そのことが不安と思う場合は応援を呼び対処するようにします。
・点滴やドレーンに注意をする
患者さんを移動させる時に、点滴やドレーンに注意をして移動させることになります。その時、一人の看護師が全て行うのは無理なので、数人の看護師で移動させるようにします。点滴に関しては、輸液ポンプを使っている事もあり、その輸液ポンプごと移動をさせることになります。ストレッチャーに輸液ポンプと点滴台と患者さんを同時に移動させます。
ドレーンの場合も同じです。ドレーンの場合は、ドレーンパックも同時に移動させることになります。その時、パックが排液でいっぱいになっている場合は、それを廃棄しておきます。そのまま移動してしまうと、ドレーンパックが重たくなりそれだけリスクを伴うことになるからです。
患者さんの状態が不安定な場合は、酸素ボンベなどを一緒に移送させる事もあります。輸液ポンプ、酸素ボンベなどを一人の看護師が移動させることがむつかしいとアセスメントした場合は、数人の看護師と移送させる様にします。
・柵を必ず上げて移送する
患者さんをストレッチャーで移送させる時に、最も重要なこととしてしっかり柵をあげるということがあります。ストレッチャーには、必ず柵がついています。患者さんをストレッチャーに移送した時には、その柵もその時点で速やかに固定する様にします。
それは、患者さんをストレッチャーから転落防止のために必ず行います。これは当然のことと思いますが、移送する際にそこから転落したということもゼロではないのです。柵は、患者さんの命を守る器具であることを、再度アセスメントしてしっかり固定をする様にします。
・患者さんのプライバシーを確保する
患者さんを移送する際には、患者さんにとっては知らない人達ばかりがいる病院内を移動することになり患者さんのプライバシーを守ることがむつかしいと思う事もあります。しかしその中でも、できるだけ守る様に配慮することは看護師としてとても重要です。移送時に、患者さんのカルテやレントゲン撮影用紙などの氏名が見えないように配慮します。
移送している時には、患者さんはとても恥ずかしいと思うものです。検査や手術などで移送する時には、できるだけほかの患者さんや外来患者さんなどと会わない様にしたいと思うものです。知り合いが来ている事も想定し、個人情報をしっかり守るという意識を持ちながら移送させる様にしましょう。
・必要時は医師に付き添いを依頼する
患者さんをストレッチャーで移送する時に、看護師2名で行うことが多いですね。しかしこの患者さんの場合は、医師がつきそうほうがいいと思う事もあります。その一つに、とても不安が強い患者さんです。医師がいいという場合は、そのことを医師とともに情報共有し必要事は医師も移送に付き添ってもらう様に依頼します。
まとめ
いかがでしたか?患者さんをストレッチャーで移送する場合は、短時間でいろいろなものを準備して、看護師2名で様々なことをアセスメントしながら行うことになります。
その時、無理と思う場合は遠慮することなく応援を要請しましょう。無理を思いながら移送して転落の危険性があるよりも、その時の一瞬のアセスメントがとても重要となります。患者さんを安全に移送させるためには、看護師の的確なアセスメントが必要であることと、勇気を出して応援要請することはとても大切です。
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