看護アセスメントのやり方にはさまざまなアプローチがあります。あまりにも多くの方法があるのでどうやったら良いか迷っている人もいるのではないでしょうか。ここでは看護師にとって基本となるバイタルチェックを起点として、シンプルなやり方でできる看護アセスメントのアプローチを紹介します。
看護アセスメントをするときにはバイタルチェックから始めるのが重要だと聞いたことがある人もいるでしょう。ただ、なぜバイタルチェックが必要なのかがわからないと思う人も大勢います。看護師にとってアセスメントでバイタルチェックを起点にするのがなぜ重要なのかを、基礎から詳しく解説するので理解を深めておきましょう。
#看護アセスメントは3ステップ
看護アセスメントのやり方は複雑だと思われがちですが、シンプルにすればたったの3ステップで完了します。職場によってはガイドラインが定められていて、看護アセスメントをするのが厄介だと思っている人もいるでしょう。しかし、どのような形でガイドラインが作られていたとしても、基本的には以下の3ステップにまとめることができます。
・看護師としての情報収集
看護アセスメントのファーストステップは看護師の立場からの情報収集です。看護アセスメントでは情報を集めて整理し、患者の状態について評価するプロセスです。そのため、基本的には情報収集から始めることになります。
看護師は普段から患者や家族との接点があるので、コミュニケーションや観察を通して情報収集をしやすい立場になっています。患者が不調を訴えていたり、家族が懸念を示していたりするときには看護アセスメントを始めて対応策を考える必要があるでしょう。また、青ざめている、反応がない、気分が落ち込んでいるなどといった明確な変化があったときにも看護アセスメントを開始して対応するのが大切です。
基本的にはあらゆる患者に対して積極的な情報収集に努める必要はありません。普段とは違うところを鋭敏に察知するのが重要なポイントです。普段との違いが患者や家族にとって負担になっていたり、治療の障壁になるリスクがあったりする場合には徹底して情報収集をして看護アセスメントを進める必要があります。
・他の医療スタッフが得た情報の整理
看護師としての情報収集をして看護アセスメントを進める段階になったら、他の医療スタッフが得た情報も集めて整理するステップに進みます。血液検査や尿検査、心電図検査や超音波検査などのさまざまな検査結果や、医師による問診の内容などが参考になる情報です。できる限り幅広く情報を集めて整理して看護アセスメントを進めます。医療システムが導入されている施設では電子カルテを通して情報を集められますが、システムがない場合には患者の主治医や検査を担当した臨床検査技師などに直接連絡をして情報を聞き取ります。
・すべての情報の統合や分析による評価
看護アセスメントの最後のステップは集めた情報の統合と分析による評価です。看護師として集めた情報と、他の医療従事者が取得した情報を総合すると、看護によって患者の普段との違いを払拭できるかどうかを考えられます。患者の容態が悪そうだという印象を受けたとしても、検査結果などを考えると特に問題はないのでメンタルケアが必要だという結論に達することもあります。しかし、他の医療従事者は問題ないと思っていて検査値に異常がなかったとしても、患者の自覚症状が著しく苦しい状況になっていることもあるでしょう。情報を統合して分析することで、患者の状況を評価できます。評価結果に基づいて看護計画を立てれば、医療の質を向上させられるでしょう。
#看護アセスメントはバイタルチェックから始めるのが基本
看護師にとって何から看護アセスメントを始めたら良いかは大きな悩みになる点です。看護師としての情報収集から始まるのが看護アセスメントだからです。ベテランクラスの看護師になるといろいろなところから看護アセスメントを始められますが、基本的にはバイタルチェックから始めることをおすすめします。バイタルチェックから看護アセスメントを始めるのが良いのはなぜなのでしょうか。
・看護師の職能として求められているから
バイタルチェックは看護師の職能として求められていることで、入院患者の状態管理では最も重視されています。欠かさずチェックして記録しているため、変化があったときにはすぐにわかります。医療現場では看護師の仕事と認識されているので、最初に変化に気付くことができるのは看護師です。看護師の責務としてバイタルチェックの結果は意識していることが多いため、看護アセスメントをするときにはバイタルチェックがきっかけになっているケースが目立ちます。
・入院中も来院時も早期発見につながるから
医療では早期発見、早期治療が重要な場合がほとんどです。看護においても同様で、できるだけ早く患者の異常に気付いて対処することが重要になります。バイタルチェックはルーチンで測定する項目なので、変化がわかりやすいことから看護アセスメントでは最も重視されています。通院患者でも来院する都度バイタルチェックを実施するのが一般的です。入院中の患者なら1日3回のバイタルチェックをします。データ量が多いので少し普段とは違うというのに簡単に気づくことができるでしょう。ちょっとした体調の変化なのか、重大な問題が起こる前兆なのかはアセスメントを通して考える必要があります。バイタルチェックのデータを気にかけていれば、アセスメントをすべきタイミングを逃さずに済むでしょう。
・初診でも正常値との違いでアセスメントできるから
バイタルチェックの項目は体温、脈拍、血圧、呼吸、意識レベルが基本です。体温や脈拍、血圧などは正常値があるので、初診のときにもアセスメントができます。体温が37度を超えている、脈拍が50回しかない、血圧が150mmHgといった測定結果があると、異常があると看護師としても簡単に判断できます。平熱が高かったり、洞性徐脈だったりする場合もありますが、患者に話を聞いてみればアセスメントが可能です。バイタルチェックの項目は正常値を対照して考えやすいので、初診のときから使えるのがメリットです。
・ルーチンでアセスメントできる項目だから
バイタルチェックに基づくデータはルーチンで看護アセスメントをおこなえます。体温や脈拍、血圧や呼吸は定期的に数値で記録を取っていくと、異常になっているかどうかをすぐに判断できるでしょう。今回も異常なしというのが普通なので、異常値を示すと患者に危険があるかもしれないと直感的に思うでしょう。看護師にとってはバイタルチェックはルーチン作業で、大きな変化がないのが当然になっています。だからこそ、チェックしたときに何か異常があるとすぐに気づき、看護アセスメントを本格的に始めるきっかけになります。
・バイタルチェックのプロセスを通して他の情報も得られるから
バイタルチェックは看護師にとってルーチン作業ですが、患者にとっては看護師と話をするチャンスです。体調がおかしいときにすぐにナースコールをせずにバイタルチェックの時間を待っている患者もいます。バイタルチェックのタイミングで不調を患者から伝えられて、対応が必要だと気づくこともあるでしょう。また、バイタルチェックには多少の時間がかかるので、観察を通して患者の様子が普段とは違っていることに気付く場合もあります。
バイタルチェックのプロセスは看護師にとって患者を理解する大きなチャンスです。看護アセスメントをスタートするきっかけになるので、バイタルチェックのときにはアセスメントをするという気持ちで取り組むようにしましょう。
まとめ
バイタルチェックが看護アセスメントで欠かせないものだとわかったでしょうか。看護アセスメントは3ステップで構成されていて、バイタルチェックの結果は最初のステップになる重要なものです。看護師はバイタルチェックを担当するプロなので、バイタルチェックのチャンスを生かして患者に最良の看護をおこなえるようになりましょう。
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