訪問看護のアセスメントとは?医療施設との違いとやり方を紹介

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#2115 2023/03/01UP
訪問看護のアセスメントとは?医療施設との違いとやり方を紹介
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訪問看護では医療施設でのアセスメントとは違いがあるのを知っているでしょうか。医療施設で働いていた看護師が訪問看護を始めたときに直面することが多い問題です。この記事では訪問看護のアセスメントについて、医療施設との違いを比較しながらわかりやすく紹介します。

#訪問看護でのアセスメントの視点

看護アセスメントはどのような視点でおこなうかが重要です。アセスメントは客観的な情報に基づいているので、アセスメント結果が変わる要因は看護師の視点が中心になっています。訪問看護では医療施設での看護とは性質が異なるため、アセスメントの視点を変えることが必要です。ここでは訪問看護のアセスメントの視点について、医療施設の場合と比較しながら紹介します。

・医療や看護のあり方は病院と在宅で異なる

患者が病院に入院して治療を受ける場合と、在宅で治療を進める場合では大きな違いがあります。患者によっては金銭面の問題で入院できないから在宅治療をするという場合もあるのは確かです。病院に入院したくないという気持ちが強くて在宅を選ぶケースもあります。しかし、その決断にもつながる要因として、病気のステージが進行していたり、身体が衰弱していたりしていることも少なくありません。ターミナルケアを自宅にしたいという希望で在宅医療になり、訪問看護によるケアを求めるというケースが典型的です。
基本的に入院して治療を受けるときには病気の治療や機能の回復が目的になります。できる限り早く元気になって退院したいという患者のために、徹底した医療を施すのが基本です。患者としても生活環境として自宅よりも優れているとは言えないところで我慢して治療を受けようという気持ちを持っています。
しかし、在宅医療の場合には中心軸が生活になります。生活ありきで日々を過ごしている中に、訪問看護サービスによって看護師が介入してくる形になるのが特徴です。そのため、看護師が来訪しているときにも、生活を邪魔されたくないという気持ちが強い傾向があります。入院しないのは徹底した治療よりも生活を大切にしたいと考えているのが理由のこともよくあります。そのため、在宅医療で看護をするときには病棟でのケアとは異なる徹底した配慮が必要です。

・訪問看護でアセスメントをするときは3つの視点が必要

医療現場でのアセスメントでは医療を重視しておこなえば基本的に問題ありません。治療や改善を優先して看護をすれば、一般的に患者の期待に応えられます。しかし、訪問看護でアセスメントをするときには医療の視点だけでは不十分です。訪問看護の場合には生活を重視したいという患者本人の希望があるからです。また、在宅医療にしたいと考えているのが家族のこともあるため、医療、患者本人、家族のすべてを立てることが必要になります。
この3つの視点からアセスメントをして、適切なバランスを取れるように看護計画を立てて対応していくことが訪問看護で重要なポイントです。
もちろん医療施設での看護でも患者や家族をないがしろにして良いわけではありません。しかし、患者や家族の期待として医療の比重が大きいのが医療施設の特徴です。そのため、「治療を優先するためにこのような対応をした」という説明をしても受け入れてもらえるでしょう。しかし、在宅医療の場合には患者や家族の比重が高いので、「治療を優先した」という理由では納得してもらえないことがあるのが違いです。患者や家族に寄り添って看護アセスメントをすることで、「納得の医療を受けられている」と思ってもらえます。

#訪問看護のアセスメントの要素

訪問看護のアセスメントは実際にはどのような要素に着目すると良いのでしょうか。基本的な看護アセスメントの要素から考えてみましょう。

・フィジカルアセスメント

看護アセスメントではフィジカルアセスメントから始めるのが一般的です。訪問看護では患者の自宅に訪問したらバイタルチェックから始めます。特別な疾患がない限りは血圧、体温、呼吸、脈拍の4つを測ります。声をかけて話ができるかをチェックしたり、身体を動かせるかをチェックしたりするのも大切です。さらに以下の4つの診察によるアセスメントを進めます。

・・視診
視診は患者と会ったときからできる要素です。皮膚の状態や会話をしているときの視線などを見ていきます。患部や疾患が特定されている場合には、特定の部位の視診もします。

・・聴診
聴診は患者に聴診器を当てる必要があるので、患者に聴診させてもらって良いかを聞いてから始めます。肺や心臓、小腸や大腸などの不調があるときには聴診をすると異常音を聞き取れることがあります。

・・触診
触診は患者の主訴や容態に応じておこなうチェック要素です。リンパ節の腫れや手足のむくみ、腹部膨満などのさまざまな症状について、触診によって判断ができます。腹痛などのときには患部を特定するのにも有効です。

・・打診
打診は胃や小腸、大腸などの内臓の状況を確認できる要素です。打診したときの音や反動、硬さや音などが指標になります。症状によっては打診によって臓器単位で容態を把握することができます。

・ヘルスアセスメント

看護アセスメントではフィジカルアセスメントの後、ヘルスアセスメントに進みます。ヘルスアセスメントは身体状況、心理状況、生活状況、環境状況について確認してアセスメントをするのが基本です。フィジカルアセスメントは身体状況のみを対象にしています。ヘルスアセスメントではさらに心理状況、生活状況、環境状況について確認することが必要です。

・・心理状況
訪問看護では心理状況は対話によってか確認します。生活していてどう感じているかを具体的にYes/Noや数字で答えられる質問で聞き出すのが典型的な方法です。さみしいと思いますか、痛みは10段階でいくつくらいですかといった質問でよく用いられています。

・・生活状況
生活状況は患者や家族へのヒアリングや医療用品の消費状況、管理状況によって判断します。また、患者の心身の状況を考慮して適切な住宅設備が整っているかを確認します。

・・環境状況
環境状況は訪問看護の場合には家族による影響が最も大きいので、家族にヒアリングをするのが重要です。患者をケアする意志があるか、心身の健康状態に問題はないか、医療や介護の自宅対応をきちんとできているかといったチェックをします。また、患者によるストレスについてヒアリングをするのも重要なポイントです。

#訪問看護のアセスメントのやり方

訪問看護のアセスメントは身体状況、心理状況、生活状況、環境状況を得ただけでは終わりません。この情報に基づいて、看護師が何をすべきかを考えて行動に移すことが求められます。
訪問看護のアセスメントのやり方は単純で、得られた情報から医療、患者、家族という3つの視点で問題を見つけることです。そして、見つかった問題に対処すれば訪問看護によるサービスの質が向上します。
例えば、糖尿病患者で服薬による治療をしていたときに腹部膨満感が著しいことが患者の訴えと触診からわかり、打診によってガスが問題だとわかったとします。この場合には薬の副作用で腹部膨満感が出ていることを疑い、薬の種類をチェックするのが適切な対応です。そして、腹部膨満感が副作用として報告されているようであれば、医師と薬剤師に連絡をして薬剤の変更について相談します。
もし患者の足腰が悪くなっていてトイレに行きたくても一人では歩けないなら、手すりを設置するといった対処が可能です。手すりがあっても歩けない状況になっていたら不要ですが、寝たきりにしないためには歩けるうちに手すりを用意した方が良いので家族に提案すると良いでしょう。

まとめ

訪問看護のアセスメントについて医療施設でおこなうアセスメントとの違いがわかったでしょうか。具体的に看護師が確認する必要がある要素も紹介したので、医療現場で経験がある看護師ならイメージができたでしょう。訪問看護では患者本人と家族を意識して、生活の質を高めるという考え方で看護アセスメントをしていきましょう。

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