老年看護、高齢者の水分バランスについて アセスメントのポイント10

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#2105 2023/02/19UP
老年看護、高齢者の水分バランスについて アセスメントのポイント10
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看護師に興味を持っていても社会人になってしまうともう目指せないと思うかもしれません。しかし、社会人になってから看護師になっている人もたくさんいます。社会超高齢社会のいま、高齢者のケアをしたことのない看護師さんはいらっしゃらないと思います。高齢者への水分摂取のケアについて説明します。この記事を最後まで読んでいただくことで、看護や介護の現場で適切な水分摂取の援助についてご理解いただけます。人から看護師になるには選択肢が複数ありますが、どれが最も合理的なのでしょうか。

高齢者の看護において、水分バランスの管理はとても重要と言えます。
高齢者の方の中には、トイレに行きたくなるからといった理由で、水分を摂取したがらない傾向になる方が多く見られます。このような場合、看護師などのケアを行う側がアセスメントしていないと、簡単に水分不足になることが考えられます。水分不足は、せん妄を誘発する要因です。水分管理を看護師がアセスメントを行ない計画的に行うことでせん妄を減らすことができます。高齢者は意欲の低下、実行機能能力の低下などにより水分摂取への注意が向かなくなる傾向があります。認知機能の低下があればなおさらです。水分不足があり、患者さん自身が苦痛な状態であっても訴えられず、周囲に気が付いてもらえないことがあります。このことは高齢者のケアでとても重要なポイントになります。以下、高齢者看護における、水分バランスのアセスメントのポイントについてまとめます。

アセスメントのポイント1;排尿量の観察

対象者の排尿量は一日どれくらいか把握しましょう。例えば、おむつ交換の時間に必ず排尿がある人が、何回も続けて排尿がみられていないと言うことはありませんでしょうか。場合によっては、排尿された後のおむつを計量し、排尿量を把握しましょう。看護師は患者さんの排尿がどれぐらいあるのが通常であるか、知っておく必要があります。その回数や量の変動に対して、ほかのアセスメント項目と併せて考えていきます。
また、排尿に関しては量以外にも、色について注意が必要です。濃縮尿の場合は、水分不足が疑われます。
下痢をしている時には、下痢便として水分が排泄されてしまっています。便の性状についても注意をはらうひつようがあります。便の性状や回数も、記録に残しましょう。急激な下痢による水分不足は、生命に危険を及ぼす可能性もあります。見過ごさずに、早急に医師へ相談し、補液の相談をしましょう。

アセスメントのポイント2;水分摂取量の観察

飲水の量を確認することに加えて、食事の含む水分量も合わせて、一日の水分摂取量を把握する必要があります。その方の食事形態により、食事に含まれる水分量が変動することに注意が必要です。また、食事に水分が多く含まれていても、食事摂取量が少ない場合接種の水分量が少なくなります。食事摂取量と飲水量を合算して、水分摂取量を計算しましょう。点滴をしている場合には、点滴の水分量も含みましょう。食事摂取量が不安定な場合には、食事量に応じた補液の検討を医師に相談しましょう。医師が不在な日などにも、安定して水分補給の補液が行えるような指示を受けておく必要があります。必要な水分量の計算方法は、アセスメントのポイント8で解説します。

アセスメントのポイント3;水分摂取量が少ない原因を観察する

水分を飲まない方に対して、なぜ飲まないのか観察し、アセスメントをケアにいかすことが重要です。先にもあげましたが、「トイレに行きたくなるのが嫌」という理由がよく聞かれます。しかし、実際には高齢者の頻尿の原因である過活動性膀胱や神経因性膀胱の原因の一つは、水分バランスの不良である可能性もあります。水分を適切に摂取することが、自律神経のバランスを整えます。このことを説明し、提供した水分を摂取する必要について説明することが重要です。
また、水分を飲まない原因が飲み込みにくさにないかといった視点も重要です。この点では、水分摂取量が少ない患者さんは、嚥下機能評価を再評価する機会にしてみましょう。とろみを利用するなどして、水分摂取量が安定したというケースもあります。

アセスメントのポイント4;口腔内の状況を観察する

口腔内を観察して舌が乾燥している場合、口腔内の乾燥がある場合も水分不足を疑うことになります。これは患者さんの顔を見るということから始められる観察ポイントなので、多忙な業務に追われる看護師さんに、おすすめのアセスメント方法です。この観察をすべての患者さんに行い、気になった方について水分バランスを情報収集し、脱水などの症状の早期発見に利用できます。

アセスメントのポイント5;爪の先を押す

爪の先を押して3秒以内に血流がもどるか、戻らない場合は脱水兆候です。

アセスメントのポイント6;手の甲をつまむ

十分に説明の上で、手の甲の皮膚を軽くつまみます。つまんだ手をはなし、3秒間観察した時の皮膚の戻り具合で水分不足があるか観察します。3秒間で皮膚が戻らない場合、脱水をおこしています。

アセスメントのポイント7;普段と変わっている様子はないか

なんとなく元気がないといったことから、せん妄も水分不足で起きる可能性があることを理解しておきましょう。夜間の途中覚醒も水分不足がある場合があります。認知機能の低下などにより、喉が渇いていてもご自身で訴えることができない場合があります。そういった場合には当然ご自身で飲み物を見つけて飲むこともできていないでしょう。高齢者は認知機能の低下や意欲の低下、実行機能能力の低下といった状態にある場合、水分不足があっても周りの人に気づいてもらえず、十分に水分摂取が出来ないといった状況があるのです。看護師は健康状態が安定しない患者さんを対象としてケアを行う場合が多く、このような高齢者の特性をよく理解したうえでかかわることが重要です。
夏など室内環境が変化している場合、認知機能低下により夏でも暖房を入れてしまうといった場合もあるかと思います。室内温度があがれば、水分の不感蒸泄が増えます。そういった環境にも注意をむけましょう。

アセスメントのポイント8;必要水分量の計算

患者さんの年齢や体重に応じて、必要水分量が変化します。水分バランスに注意が必要な方について、チームで共有しておくことをおすすめします。そのうえで、その患者さんの必要水分量について計算しておくことをおすすめします。水分摂取量は、投与エネルギー量と同量か、(体重Kg)×30~35(ml)で求められます。

アセスメントのポイント9;バイタルサインと水分バランス

見過ごしてしまいそうなくらいの微熱に注意しましょう。37.5度以下でも水分不足を疑い、水分バランスのアセスメントを行いましょう。また血圧の変動も水分バランスの影響があります。血圧がいつもより低めであることに気がついたときは、水分バランスが崩れていないかアセスメントし直す必要があります。

アセスメントのポイント10:好みの飲み物を確認する

水分をなかなか摂取できない人に関しては、好みの飲み物を調べる必要もあります。水やお茶で水分を充分に摂取できれば良いのですが、中にはそういった飲み物は味がはっきりしておらず認知機能の低下や味覚の変化があると、飲み物としての認識や認知がむずかしくなります。そうなると、水やお茶を受けつけなくなる方もいらっしゃいます。そこで、ゼリー飲料など、いろいろなものを試すことで、好みのものが見つかり、水分摂取が経口から可能になります

まとめ

これまで高齢者の水分バランスに対する、アセスメントの方法について説明しました。どれも、そこまで手間のかからないことも紹介しました。このような視点を。看護チームが持つことにより患者様の状態が安定します。水分バランスが整うと、頻尿の改善や情動の安定といったことにもつながります。看護のアセスメントがケアに活かされ、少しでも多くの方が健康に過ごせることを願います。

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