老人ホームでは、よくある事故として転倒があります。入所者は囮よりが多く、そのことからお年寄りが転倒してしまうと、重症になることもあり注意が必要です。ここでは、老人ホームで転倒した入所者をアセスメントする内容についてお話します。
・転倒リスクはいつもある
老人ホームでは、一番多い事故として転倒があります。老人の場合は、足腰が弱っているのでいつ転倒してもおかしくない状況です。そのことを思うと、転倒リスクはどの入所者もあるということです。
しかしそのことが分かっていても、やっぱり転倒してしまうことがあります。その時、いつも改善策を出しているのにどうしてだろうと悲しくなりますね。看護師は常に利用者について転倒リスクがあることを思い、常に改善して行くことが望まれます。
・歩いている入所者をアセスメントする
入所者の場合は、お年寄りが多いので歩いている時も転倒してしまうことがあります。大丈夫と思っている人でも、ふとした時に転んだり滑ったりする事もあるのです。
そのことから看護師は、入所者についてたえずアセスメントすることが大切です。入所者をアセスメントするのには、入所者が歩いている姿を見るとよくわかります。
しかし毎日見ていると、どこが変わっているのかわからないと思うことがあります。わからない時には、そんなに変わっていないということです。
しかしその一方で、はっきりと衰えが見えるという場合もあります。そのような場合は、リスクがあるので改善策を直ぐにたてるようにします。発見すると、直ぐに立案することが大事です。
・転倒時のアセスメント
入所者が転倒をした時は、しっかりとアセスメントをするようにします。いつどのように転倒したのかの詳細を知るようにします。その転倒をする時間帯としては、やっぱり夜間が多くなります。夜間は、スタッフが少ないので歩いている入所者の介助ができないこともあります。昼間は、スタッフが多いのでその分多くの人のサポートを受けることができるのです。
また入所者が転倒する場所も、アセスメントが重要です。もしも同じようなところで数人が転倒する場合は、その場所を徹底的に改善するようにします。その一つとして、洗面所等があげられます。洗面所は、入所者がいつも利用することになり、その時に水を使う場所としてリスクがあります。水を使う場所では、そこで滑ってしまう、下を向いた時にフラツキがあるなどです。
・頭を強打している場合
入所者が転倒をして、頭をうっている場合は注意が必要です。頭をうっていて、嘔吐がある場合は救急処置が必要となります。直ぐに医師に報告をして指示を受けることになります。
転倒した時に、頭を強くうっている、頭に血腫のようなものができている、嘔吐がある、意識がない、意識が朦朧としている等は医師の指示時より救急搬送となることが多いです。そのため、転倒時にどのように倒れたのか、その時の状態とその後の変化等の詳細を知るようにします。
・腰を打っている場合
入所者が転倒した時に、腰をうっている場合は骨折をしている可能性があります。それは、なんと言っても股関節の骨折が多いからです。お年寄りが転倒をして股関節をうった時には、ほとんど骨折をする危険性があると思っておきましょう。その時、痛がる場合はほぼ骨折をしている可能性が高いです。
またその時に痛がらない場合でも、その後に皮下出血がある、痛がる場合は同様に骨折をしている可能性が高いです。
骨折をしている可能性がある場合は、医師に報告をして多くの場合は病院を受診します。その後に処置を行うことになります。
・記録に残す
入所者が転倒をした場合は、その内容の詳細について誰が見てもわかるように記録に残すようにします。その記録を見て、その時の状況が直ぐに理解できるような記録をします。
事実をしっかりと記載をして、アセスメントも記録に残します。
・家族への説明
入所者が転倒した時には、それが夜間であっても入所の家族に連絡をします。それは、救急搬送することもあるからです。その時に、家族に対しては病院にいってもらうことになります。
スタッフが救急搬送時に付き添い、医師からの説明を聞くこともありますが、多くは家族に説明を聞いてもらうことになります。医師の説明時は、家族と一緒に受けることが望ましいです。
家族としては、安心して預けている入所者のことについて少し不安が残ることになります。安心できないのかと思う家族もいるかもしれません。そのことから、丁寧なスタッフからの説明が必要です。わかりやすい言葉で、しっかり事実として伝えるようにします。転倒をしたことで、スタッフとしても気持ちのうえで余裕がありません。気持ちとしては、明らかに動揺します。しかしそれ以上に家族が動揺することを思い、一方的に伝えるのではなく、家族の気持ちを察して、家族の言葉を受け止めながら説明をするようにします。
・予防策を考える
利用者が転倒をした時に、必ずその原因があります。一番考えられるのは、介助が必要な利用者がひとりで歩いてしまうことです。その時、利用者の周囲にいて見守りが必要となるのですが、それができていなかったことになります。もしもひとりで歩くことが想定出来る場合は、いつも見守りが出来るところに利用者を座らせておくなどの対策が必要となります。利用者を一人にしないことですね。そのことは、なかなかむつかしいことですが、できる限りの予防策をたてることが望まれます。
また、ベッド周囲ではセンサーマットを使うことにします。利用者がそこに降りることにより、そのマットが反応して知ることができるので直ぐに駆けつけることができます。
転落防止では、ベッド柵を付けることは必須です。それを行うことにより、寝返り等を行った時でも、ベッドからの転落を防ぐことができます。
また、歩く感じが違ってきた時にはその足のリハビリなどが必要となることもあります。PTがいるところでは、そのことを依頼してケアをする事になります。
・インシデントレポートを記載する
転倒をして、利用者が怪我をした病院を受診した場合などはインシデントレポートを記載します。そのレポートを記載する事により、より詳細を知ることができるからです。パソコンでの記録を残す事と、インシデントレポートを残します。
レポートを記載するのは、今後の対策の参考とするためです。それを記載する時に、少し自分をせめてしまうこともありますね。記載すること自体が、とてもつらい事なのです。しかし対策を考えることにより、次に繋げることを思い記載するといいでしょう。
・事故対策委員会を作る
事故を起こした時には、事故対策委員会を設置します。元々委員会がある場合は、その委員会を開催する事にします。そこでは、事故報告書を見ながらそれぞれのアセスメントを元に、転倒を起こしてしまった原因とその対策を考えます。当事者の記載内容を参考にして見ていると様々な視点からの問題点があることがわかって来ます。そこで当事者が記載している解決策をもとにほかの考えられることについて、その委員会で意見交換を行います。そこでは、ハード面やソフト面に関しても原因として取り上げることもあり、解決させるようにしています。
まとめ
いかがでしたか?利用者が転倒すると、本当に辛いです。自分がそこにいたらこんなことにならなかったと思うこともあり、スタッフは自分を責めることもあります。しかしその事実をしっかり受け止めて、次は予防できるようにすることはさらに大切な事です。
歩いている時、ベッドで休まれている時等、転倒や転落するかもしれないと、どの利用者も危険であると思うことが大切です。転倒により、怪我をすることを思うとスタッフはできる限りのことを考えて行動したいですね。
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