看護師として働くと、「眠れない」といった悩みについて、よく相談されます。病気や障害があると、睡眠中にも痛みなどの影響で十分に熟眠感をえられにくくなります。看護師として、どういった視点をもちアセスメントするかについて詳しく解説します。
訴えに注目する
患者さんから、眠れないという訴えがあった時には、まずその辛さや訴えについて、丁寧に話を聞いていきましょう。話を聞くポイントとしては、まずは話をさえぎらずに、ありのまま話してもらいます。患者さんの話が、アセスメントに重要です。たとえば、眠れないということに対してかなりストレスに感じているのか、それともあまり気にしていないのかなどが分かります。患者さんによっては、眠れないということ自体がかえってストレスとなり、不眠を起こす場合があります。患者さんの話が終わり一区切りした段階で、観察ポイントについて確認していきます。
「眠れない」の症状についての観察方法
患者さんが「眠れない」と話す場合、以下の点について確認します。
入眠困難;布団に入ったり、眠ろうとしたりしてから、眠れるまでの間にかなりの時間がかかる場合を入眠困難といいます。
中途覚醒;一回眠ったのにすぐ目を覚ます状態をいいます。
早朝覚醒;眠ってから早朝や深夜近くに起きてしまうことをいいます。
熟眠感の程度;ぐっすり眠れたかどうかの感じ方をいいます。
これらの点について確認し、患者さんの「眠れない」という状況について細かくアセスメントしていきます。
直接的に患者さんの睡眠状況が確認できる場合は、直接確認した情報も観察項目として収集しましょう。たとえば、眠れない原因が何なのか様子を直接確認した人から話を聞くことも大切です。睡眠時無呼吸症候群は、観察している人が気付く場合が多いです。また、せん妄の起きやすい患者さんは、寝言や唸り声を多く発しているといった場合があります。
病気の症状としての不眠
呼吸器内科での勤務をしていた時、不眠の患者さんがとても多かったです。当時、呼吸器内科にはがんの抗がん剤治療のために入院している患者さんが多くいました。がんを罹患している方の眠れない原因の多くは、痛みでした。漠然とした不安から眠れない方も多くいました。痛みがあるケースでは、オピオイドを含めた鎮痛剤服用が効果的でした。痛みは、主観的なものであり、痛みがあること自体が不安を増強したり、眠りを阻害したりします。痛みを軽んずることなく、相談された看護師は早急に、先輩看護師や医師に相談するといった対応することが必要です。
以下に、睡眠を障害する可能性のある身体症状についてまとめます。
●痛み(疼痛部位、ペインスケール、痛みの日内変動)
●かゆみ(かゆみの部位、皮膚状況)
●呼吸困難感(呼吸の様子、回数、酸素飽和度)
●胸部違和感
●四肢の不随意運動
●頻尿
こういった症状がどのような状態から生じているかアセスメントを行い、適切に対応する必要があります。外科手術後に、睡眠中に呼吸の様子の変化から、心不全兆候が発見されたりすることがあります。夜間の入眠状況の観察に役立ててください。
具体的なケース
ある患者さんは夜間の頻尿で悩まれていました。ショートステイの時には、夜間20回近く排尿のために、トイレに行く姿が確認され介護士さんが対応しきれないとご相談がありました。その方の昼間の状況を確認すると、午前中ずっと自宅ベットで、お休みになっている様子がありました。そこでケアマネージャーさんに相談し、ご家族とも相談した上で、デイサービスのご利用を増やしました。デイサービスのために朝から活動することで、生活のリズムが整えられていきました。またこの方は、「おしっこが出すぎてしまうから」という理由で水分を控える傾向がありました。デイサービスで、昼間のうちに水分摂取をおすすめしていただきました。尿がしっかり出るためには、水分をしっかり取ることが重要である事も看護師から説明しました。対策をしてから一か月ほどで、夜間の頻尿が改善し、中途覚醒が減りました。この方は、体力や気力のある方だったので、介護士さんにお願いして、夜間の就寝時間を少し遅めの23時ごろにすることで朝までぐっすり休めることがわかりました。ちょっとした工夫をすることで、睡眠が安定し日中の活動も安定しました。介護士さんや家族にも、夜間の介護が楽になり感謝されました。
ケースからわかること
夜間の「眠れない」原因がなんであるかをアセスメントすることが大切です。上記のケースでは、日中の活動を整えることで、睡眠の質が向上しました。夜間の頻尿も生活が整うと、自律神経の乱れが少なくなり改善することがあります。病気だから、体力が弱ったからと家に引きこもってばかりでは、夜間入眠できないでしょう。心配事や気になることも眠れない原因になります。
早朝覚醒については、夜間の入眠開始時間を遅く調整することで、朝までぐっすり眠れる方は、この方以外にもたくさんのケースを見てきました。あえて、夜の時間を楽しむという方向でおすすめすることで、気分転換にもなることがあります。
「眠れない」不安はないか
上記に述べたように「また今夜も、眠れないかも」といったこと自体がストレスになることに注意が必要です。
この場合には、ケアする側が、あえて眠れないことに焦点を当てすぎずに、安心していただけるような声かけを意識することが有効です。重症な不眠症の方の場合は、睡眠導入剤などを内服されていることが多いです。しかし、薬だけではなかなか熟眠感をえられないのが現実です。ケアする側がゆったりとして安心を与える関わりをすることで眠れる場合があります。
眠れなかったとして、次の日の過ごし方
あまり眠れなかった次の日に、休息のつもりで休むことによって、生活のリズムが乱れる場合があります。前日にあまり眠れなかったとしても、翌日も普段どおりに過ごすのがおすすめです。もし、どうしても疲れたり眠気が強いようであれば、日中の15時くらいまでの間に、10分から20分の休息をおすすめします。ケアする側が、これくらいのゆとりを伝えることで、眠れないことに対するストレスを強くさせないことが大切です。そのうえで、日中に集中できる活動を、見つけられるよう支援しましょう。また、誰かと話すといった気分転換ができているかといった視点でも患者さんの生活を含めてアセスメントをしましょう。
就寝前のリラクゼーションのすすめ
眠れないことについて看護師さんに相談している患者さんは、眠れないことに、悩みをかかえていて相談しています。前述のように、ゆったり安心していただけるようにかかわること以外にも具体的な支援方法をお伝えします。
寝る直前まではできればベットで過ごさず、寝る時間になってから、ベットに入るように説明します。肩をまわしたり、股関節のストレッチをしたりゆっくり眠りの体制に入りましょう。また、就寝前に足浴や手浴といった、部分浴をすることがおすすめです。できれば、ラベンダーなどの、リラックス作用のあるアロマオイルを1から2滴、お湯にいれます。就寝時には、足元や腹部に温罨法をすると入眠をスムーズにできます。
まとめ
以上、今回は睡眠のアセスメントについて、また、関わり方の注意点について詳しく解説しました。病気や障害があると不眠を起こしやすい状況が必然的に伴います。こういった辛さを近くでまず看護師さんにお話しされるケースが多いかと思います。ご紹介したアセスメントの方法を利用していただき、日々の実践にいかしていただければと思います。
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