老人ホームなどに勤務する看護師は、利用者の入浴時に観察を行うことが大切です。その時、全身を見ることが出来るので、アセスメントする絶好のチャンスとなります。ここでは、高齢者の入浴時の観察のポイントとアセスメントについてお話します。
・入浴はとても大切
高齢者にとっては、入浴をさせることはとてもたいせつです。それはなんと言っても、体の代謝をよくすることができるからです。代謝がよくなると、動きもスムーズになります。動きがゆっくりの高齢者の場合は、少しでも動きやすいようにしてあげたいですね。その時、入浴をさせることで、スムーズに動くようになります。 また高齢者を入浴させることは、爽快感を与えることができます。特にお年寄りの場合は、入浴を楽しみにしていることもあります。入浴することにより、スッキリするのでそれを楽しみにしています。 そして入浴をする時に、全身を観察することもできます。そのことはとても大切です。様々な介護の場面でも、そのことは可能ですが最も観察しやすいのは入浴前の時です。入浴前に裸になった時に、皮膚の状態等をしっかり観察します。それにより、全身のアセスメントを行うことができます。
・入浴前の観察
入浴前には、観察を行えるとても大事な時間です。その時、看護師は必ず観察を行います。看護師がいない場合は、介護士が行う場合もありますが視点が違うこともあるので、できるだけ看護師が行うことをおすすめします。 入浴前に行うことと、入浴後に行うこともあります。代謝が良くなり、血流がよくなることでその観察も違う部位を行うことがあります。下肢の血流が悪い時には、入浴後に注目します。血栓ができている場合は、下肢の色の観察がとても重要です。その時、下肢の色が黒くなっている、白くなっている、明らかに両下肢の色が違う場合は医師に報告する必要があります。 そのように観察できる場所としても、入浴する時間をとても大切に考えることをおすすめします。
・バイタルサインのアセスメント
入浴をする前には、バイタルサインを測定することになります。それを測定して、その結果で入浴をすることになります。 バイタルサインを測定して、その結果で入浴できないこともあります。まずは、なんといっても発熱がある場合は入浴することができません。37.5度以上ある場合は、入浴を禁止します。汗をかいている時には、素早く清拭をします。 また、血圧が高い場合も入浴を見合わすことがあります。しかしお年寄りの場合は、血圧の変動を起こしやすいです。食事をしたあとなどには、血圧が変動することもあります。血圧については、低い、高い時に少し時間をおいて測定するようにしましょう。それにより、入浴できることもあります。 また血圧については内服薬を服用している利用者には、特に注意が必要です。その服用がされているのか、忘れていないかなどもアセスメントします。
・皮膚状態のアセスメント
入浴時は、しっかり皮膚状態を観察できる時間となります。裸になることで、全身の皮膚を観察することができます。特に注意をしたいのは、炎症を起こしていないかということです。 炎症と言うと、寝ることが多い高齢者の場合は、褥瘡ができることもあります。その褥瘡は、どんなに注意をしてもできることがあり心配ですね。圧迫しないように、たびたび体位変換を行ったりしても、肌が弱い高齢者の場合はできてしまうこともあります。 そしてそれを早期に発見することにより、早く改善させることができます。褥瘡の早期というのは、発赤が見られます。特に発赤が見られるのは、腰部です。背部の骨が突出している部位は、特に注意が必要です。その部位のホッ席ができていないか観察します。また褥瘡を起こしやすい場所としては、腰の側面、足の かかと等があります。痩せている高齢者の場合は、寝ることが多い場合は褥瘡のリスクがとても高いことを認識して、アセスメントを行います。
・浮腫の有無
お年寄りの場合は、浮腫がどの程度程度できているのか確認することも大事です。浮腫というのは、だいたい足に出ます。ひどい場合は、圧痕がつくこともあります。心臓や腎臓の疾患のある人の場合は、浮腫がひどくなることもあり要注意です。そのことを確認できるのも、お風呂の時です。
・掻きむしりはないか
お年寄りの場合は、お風呂の時に皮膚をかきむしっていないか確認するようにします。お年寄りは、肌が乾燥しやすいので痒くなるのです。その結果、肌を知らない間にかきむしっていることもあります。あまりひどくない場合は、そのまま様子を見ることもできますが、ひどい場合は処置を行います。 その部位に、乾燥しないようにワセリンを塗布したり出血している場合は、軟膏の処置を実施します。ひどい場合は、医師の診察が必要となることもあるのでその都度観察をするようにしましょう。観察することにより、保湿剤を塗布したりして肌の乾燥を予防することもできます。お風呂のあとは、たっぷりと保湿剤を塗布することをおすすめします。
・皮下出血の有無
お年寄りの場合は、知らない間に皮下出血を起こすことがあります。それは、ちょっとしたことで起こすこともあるので注意が必要です。手や肢などを握っただけでも起こすこともあります。 皮下出血の多くは、そのまま様子を見ることができますが中には皮膚が剥離することもあるので、その時には処置が必要です。
・お風呂の温度に注意
入浴する時には、入浴温度について注意することが大切です熱すぎてしまうと、やけどをしてしまいます。入浴槽やシャワーの温度を実際に確認してから使うようにしましょう。
・移動時に注意
入浴をする時には、歩いて入浴室に移動したり車椅子から入浴をする椅子に移動することになります。その時、移動しているところが濡れていることもあるので、一人であるかせずに一緒に手等をつないで歩くようにします。そうすることにより、転倒を防ぐことができます。
・入浴時の変化について
入浴をすることにより、代謝が良くなり爽快感を与えることができます。そしてそのメリットは、とても大きいです。 しかしその一方で、入浴をすることにより疲れるということもあります。入浴を一般人が行うとそんなに疲れることがありませんが、お年寄りの場合はそれだけでかなり疲れます。お風呂から出た時に、疲れてしまい歩くことができないこともあります。その場合は、しっかりフォローするようにしましょう。 また入浴をしている時には、血圧が上昇したり下がったりすることがあります。入浴室は、寒すぎず暑すぎない温度設定を行い、快適に入ることができるように配慮しましょう。血圧が高くなると、倒れてしまうこともあります。その際には、横にして血圧が安定するまで静かに安静を保たてるようにしましょう。
・ふらつきに注意
入浴をする時には、湿度が高いところに移動することになり急激な温度変化や高湿度の部屋により、フラツキが起きることがあります。フラツキが起きることは、いつも想定しておく必要があります。その時、入浴室で倒れてしまうと頭を強く強打することも考えられます。そんなことになると大変です。 フラツキが起きると思い、常に一人であるかせないようにそばに付き添いようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?高齢者が入浴をすると、たくさんのメリットを感じることが出来るので、できるだけ入浴をさせてあげたいですね。しかしその反面、入浴中やその後に血圧が変動することなどもあり危険も伴います。看護師は常に、そのリスクを思い待機して観察するようにしましょう。安心して、安全な入浴ができるように、アセスメントしたいですね。
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