看護アセスメントは難しいと考えていませんか?看護師として医療や介護の現場にいるなら、実はいつもアセスメントをしているかもしれません。バイタルサインのチェックを毎日当たり前のようにやっているでしょう。看護アセスメントはバイタルチェックから始まるので、この記事を通してアセスメントを当たり前のようにできるようになりましょう。
#そもそもバイタルサインとは?
看護師になるとバイタルサインのチェックをルーチン業務としておこないます。バイタルサインとはそもそも何なのでしょうか。バイタルサインとは生命の兆候と日本語に訳されることもあります。生死については医師が判断するので、バイタルサインは生きているか死んでいるかを判断するためのチェック項目ではありません。バイタルサインは人が生きている状態を確認するのに役に立つ指標です。測定結果が異常になっていたら、何か患者に問題が起こっていると判断できます。バイタルサインは生命の兆候と言われることからもわかるように、大きな異常が発生した場合には死に至る可能性があるのが特徴です。そのため、看護師は患者のバイタルサインをチェックすることが必要になっています。
#看護アセスメントで重要な4つのバイタルサイン
看護アセスメントをするときに特に重視されているバイタルサインは4つあります。測定するのが比較的簡単で、患者に与えるストレスもあまりないことからルーチンで測定するのが一般的です。まずは基本の4つのバイタルサインについて、内容とチェックポイントを簡単に確認しておきましょう。
・呼吸
呼吸は患者の呼吸回数や呼吸の様子をチェックする項目です。1分あたりの呼吸回数や、呼気に含まれる酸素濃度(SpO2)も重要になります。呼吸をするときに異音がしないかどうかも必要に応じて聴診器を使ってチェックします。左右の胸の動きに違いはないか、呼吸のリズムが乱れていないかといった点もバイタルサインのチェックをするときに意識した方が良いポイントです。
呼吸回数の正常値は12?18回/分です。入院患者の場合には食事や活動についてコントロールできているので問題はありませんが、外来患者の場合には注意が必要です。急いで病院に来たときには呼吸が荒くなって回数が増えます。また、コーヒーなどの呼吸が早くなる飲み物を飲んでいると呼吸回数が増えるので、異常が見られたときには患者に確認を取るのが大切です。
・体温
体温は人のホメオスタシスが保たれていれば大きく変化することはありません。平熱に近い値になっているかどうかをチェックします。高熱が出ているときには感染症や炎症などが起きていると考え、低体温になっている場合にはミネラルの異常や毒素による下痢などを考えるのが一般的です。体温は一日の間に変化を起こし、夕方に向かって上がる人が多いことも念頭に置いてチェックするのが大切です。
体温の正常値は36?37℃です。ただ、平熱が35℃近い人もたくさんいるので、一概にこの範囲内であれば良いとは言えません。入院患者の場合には平熱の記録がありますが、外来患者の場合には個人差を考慮してアセスメントをする必要があります。平熱がどのくらいかを聞いて、大きく体温が変わっているなら異常値と判断するのが適切な対応です。看護アセスメントをするときには平熱の情報も添えて記載すると良いでしょう。
・血圧
血圧は心血管機能の変化を知るのに役に立つ指標です。日内変動も大きく、むくみで変わることもあります。高血圧でも低血圧でも生命のリスクがあるので、平常値から大きく動いたときには速やかに対応することが必要です。血圧は患者の気分によって変化することも多いため、目の前にいる看護師によって血圧が変わることもあります。どのような状況で測定した血圧なのかを把握するのは重要なポイントです。
血圧の正常値は130mmHg未満(収縮期)/85mmHg未満(拡張期)です。血圧が著しく低かったときにはすぐに対応が必要ですが、少し高かった場合には冷静に判断する必要があります。自宅で測定している場合と医療機関で測定している場合では平均的には5mmHgくらいの差が生じ、医療機関での測定の方が高くなるからです。外来患者の場合には判断が難しいですが、自宅での血圧測定の結果があれば参考になるので問診で聞くのが大切です。
・脈拍
脈拍は自律神経によってコントロールされている心臓の活動が正常かどうかを確認するのに重要な役割を果たすバイタルサインです。1分間あたりの脈拍数の測定がバイタルチェックでは基本ですが、脈拍のリズムが一定で不整脈を起こしていないかどうかを確認するのも重要になります。1分間に100回以上の脈拍数になる頻脈、50回未満になる徐脈では何か異常があると判断するのが適切です。夏場には脱水症状に伴う脈動の異常が起こることがよくあります。
脈拍の正常値は65?85回/分です。個人差が大きいので、洞性徐脈の人の場合には60回前後のこともよくあります。脈拍が少なかったときには患者に質問をして、普段から心拍数が少ないかどうかを確認するのが大切です。また、通常のパルスオキシメーターでは脈拍のリズムを確認できない場合が多いため、看護師は手首の橈骨動脈で脈拍のリズムをチェックしましょう。異常が見られた場合には患者の自覚症状がなかったとしても心電図検査をして対応を考えるのが適切です。
#厳密な意味でのバイタルサインのチェック項目
看護師がアセスメントで使用するバイタルチェックの項目としては4つが基本です。ただ、厳密に言えばバイタルサインでは尿量と意識レベルもチェックします。入院患者のルーチンのバイタルサインのチェックや、一般的な外来患者のバイタルチェックでは必ずしも実施しません。しかし、患者によっては生死にかかわる重要なバイタルサインです。看護アセスメントをするときにも重要な項目なので詳細を確認しておきましょう。
・尿量
尿量は腎臓機能について知る上で重要な項目になります。腎臓は体内で生成された老廃物、摂取した不要物や毒素の排出に加え、健康を維持するためのミネラルバランスを保つ役割も果たしている臓器です。尿は腎臓で作られるため、尿量が大きく変わったときには腎臓機能に障害が起きているリスクがあります。急激な変化が起こったときには急性腎不全などの腎臓の疾患を疑う必要があるため、腎臓にリスクがある患者の場合には定期的に尿量を確認するのが大切です。
尿量の指標として1回排泄量では200mL~400mL、1日では1,000mL~2,000mLが正常値とされています。ただ、腎臓機能の低下は加齢とともに進行するため、高齢者では尿量が低下してこの指標が必ずしも合うわけではありません。腎臓にリスクがある患者については基準となる数値を早めに取得して経過観察をするのとアセスメントをしやすくなります。
・意識レベル
意識レベルは身体の状態ではなく、患者の意識が鮮明かどうかを確認するバイタルチェックです。意識レベルは救急患者の場合や、コードブルーなどのときに特に重要なバイタルサインです。意識があって患者とコミュニケーションを取れるか、意識が喪失していて何も応答を得られないかは大きな違いになります。声をかけたり、痛みを与えたりして意識を確認するのが一般的です。意識レベルの確認にはジャパン・コーマ・スケール(JCS)、グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)の二種類があります。
意識があって正常と判断する基準はJCSでは0、GCSでは15です。JCSでは数字が大きいほど意識が失われている状況にあると判断します。GCSでは数字が小さいほど意識がなく、8以下で重傷という判断をするのが基本です。救急対応をする看護師にはバイタルサインとして意識レベルを当たり前のようにチェックすることになるので、アセスメントの必要項目として頭に入れておきましょう。
まとめ
看護アセスメントは難しいと思う看護師が多いですが、基本的にはバイタルサインのチェックを通して普段からやっていることです。バイタルサインについて深く理解すると看護アセスメントがそれほど難しくないという印象を持ったのではないでしょうか。まずはバイタルサインが大切だと考えて、看護アセスメントに取り組んでいきましょう。
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