手術後合併症を起こさせないためのアセスメント

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#2013 2022/11/23UP
手術後合併症を起こさせないためのアセスメント
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入院をしている患者さんにとって、手術をすると言う事はとても大変な事です。一生のうちに一回あるかないかのことになり、とても戸惑います。その時、最も関わるスタッフとして看護師がいます。ここでは、安心して手術を終了させる事ができるように、手術後合併症を起こさせないためのアセスメントについてお話します。

・手術後は合併症を起こしやすい

手術を安全に終了させて患者さんを退院させたいと思っても、合併症が起きる確率はゼロではありません。かならず発症することはありませんが、手術はそれだけ手術後のリスクが高いことがわかります。
患者さんやその家族は、手術が終了するとホッとすることでしょう。しかし看護師や医療スタッフは、その数日を注意深く観察することが大切です。手術前には、手術における合併症について医師から説明されます。しかしそのことについて、しっかり理解できている患者さんは少ないのです。
そのことからも患者さんや家族の中には、合併症にかかってしまうとどうしてもこんなことになったのかと、落胆も大きくなります。順調に経過することが当たり前と思っている患者さんと家族と医療スタッフとの認識には若干のズレがあります。それは、合併症を知っている医療スタッフは、起こしやすいことを知っているからです。

・手術前の状態を知る

手術をうける患者さんについては、手術前に必ずたくさんの検査を実施します。それはなんと言っても、手術をうけることができる体であるのか調べるためです。手術に耐える事ができるような心臓や肺、全身状態を調べます。その時、既往歴や検査結果により気になることがある場合は、医師より関係部署に相談をします。その結果、手術をしてもいいと言うことになった患者さんの場合だけ手術をすることになります。
検査をすると、手術をした後に合併症を起こしやすい患者さんもわかるようになっています。肺の機能が劣っている場合は、肺炎などをおこしやすくなりますまた、腎臓の機能が低下している場合は、尿量が少なくなるなどがあります。出血しやすい検査データである場合は、手術後の出血が心配です。
そのように、手術膳の患者さんの全身状態をしっかり確認しておきましょう。

・記録より情報を得る

患者さんの状態については、記録により情報を得ることができます。情報を得て、それでも不明な点については、医師に確認をします。確認をすることにより、手術後にどんなことに気をつけて観察をすればいいのかよくわかります。ベテランの看護師でも、不明なことはあります。不明な点については、直ぐに医師に確認をして理解しておきます。
患者さんの手術後の観察は、急変をすることもあるのでとても大切です。少しの異変も見逃さないようにしっかり観察をします。採血結果、心電図、レントゲン結果などを理解して、その上で患者さんの個人としてリスクがないのか把握しておきます。

・医師とのカンファレンス

看護師は医師とのカンファレンスをよくすることがあります。特に手術と言うたいへん大きな内容の時には、カンファレンスをすることが多いです。その時、特に行うのはなんといっても合併症のことです。
医師より、患者さんの状態によりどんな合併症を起こしやすくなるのか説明がされて、その観察を看護師が行うことになります。看護師は、手術直後から患者さんの観察を行うことになるので、合併症については十分に把握しておくことが大切です。
担当の看護師は、ぜひそのカンファレンスには参加したいですね。参加できない場合は、記録に必ず目を通しておきましょう。

・感染症を起こす

手術後の合併症として、一番多いのはやっぱり感染症です。手術をするということは、まず患者さんの皮膚に創ができることになります。その創から感染してしまうことが多いです。
それを予防するために、術後数日間は抗生剤の輸液を行うことが多いです。そして感染を予防しています。感染してしまうと、創からの分泌液が多くなります。その分泌液は透明であるよりも、黄色や緑色となることもあります。感染している創部は、異臭がしたり分泌物が多くなるのでそのことに留意します。
そして患者さんの疾患により、感染を起こしやすくなることがあります。免疫力が下がっている患者さんや、糖尿病の患者さんは感染をおこしやすくなります。そのことからも、血糖値をコントロールすることもあります。

・せん妄

手術後によくある症状として、せん妄があります。せん妄は、手術後1日目から2日目に多く見られる症状です。患者さんは、精神状態が不安定になったりいつもの様子と全く違う状態になるため、看護師も戸惑うことが多いでしょう。手術後の患者さんの状態について、せん妄を起こしやすいと思う患者さんをアセスメントしておくとその戸惑いも少なくなります。輸液を抜いたり、無理に歩こうとしたりすることもあるので目が離せません。危険を伴う場合は、拘束を行うこともあります。そのため、せん妄の症状により危険性が予知できる患者さんに関しては拘束を行うこともあるかも知れないので、家族に説明を行い身体拘束の同意書を記載してもらうこともあります。

・静脈血栓症

手術を行うときに、下肢の血流が悪くなるような手術体位でいることがあると、静脈血栓症を発症してしまうことがあります。それを予防するためには、手術後に弾性ストッキングを使ったり、血流をよくする機器を使うようにします。そうすることにより、静脈血栓症を予防することができます。

・腸閉塞

手術をする時には、全身麻酔や腰椎麻酔、部分麻酔を行うことがあります。特にリスクが高いのは、なんと言っても全身麻酔です。全身麻酔を行うことにより、手術により痛みのショックなどを予防することができますが、それによるデメリットもあります。
そのひとつとしてよくあるのは、腸閉塞です。腸の動きが止まることによりその後に動きにくくなったりします。手術後は、大腸の動きをしっかり確認することが大切です。
早い場合は、手術後の翌日から食事が開始することもあるので腸の動きがない場合は必ず医師に報告をします。

・患者さんへの説明

手術に関しては、手術前に患者さんとその家族に対して説明を行います。そして手術後は、家族に最初に説明を行いその後に意識が回復したら患者さんへの説明を行います。
その時、合併症についてもその都度説明を行いその治療について納得してもらうようにします。合併症はとても辛いです。順調に行くと思っている患者さんにとっては、その後の経過はとても気になります。少しでも異常がある場合は、しっかり説明を行い患者さんの回復したい気持ちを支えるようにします。

・合併症を起こしたら?

合併症を起こした時には、早期に治療をすることによりその回復も早くなります。そのことからも、まず患者さんの観察を中心に行う看護師のアセスメントが大事です。患者さんの回復を順調に進める事が出来るのは、看護師のアセスメントにかかっていると言っても過言ではありません。

・手術同意書を確認しておく

手術を行う際には、必ず手術同意書を取ることになっています。その時、必ずどのような合併症があるのかそこに記載されています。それを見て、観察の要点を理解しておきましょう。

まとめ

いかがでしたか?手術をするということは、患者さんにとっては一大事です。そのことを思い、些細な異常も見逃さないように看護師の観察が重要です。そのアセスメントにより、患者さんの異常を早期に発見して命をまもることになります。看護師の役割はとても大きいことを再認識して、手術後の患者さんのケアを行うようにしたいですね。

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