看護師の就職活動において、採用を勝ち取るためには何が必要なのでしょうか。就職活動においては、条件のよい病院や施設ほど、ライバルが多いもの、つまり、採用を勝ち取るためには、他の人と差をつけることが大事なのです。では、そのためにはどうすればよいのか、ここでは、いくつかのポイントをあげて説明したいと思います。
●履歴書について
①丁寧に書くこと。
まずは履歴書についてです。履歴書において、大勢の方が悩むポイント、それは「自身の字が汚い」という点です。確かに、汚い字よりは綺麗な字のほうが好感度が高いのは事実ですが、だからといって代筆を頼むなどをいう姑息な手段を使うのはご法度です。とにかく丁寧にこころをこめて、きちんと書くこと。ご存知だと思いますが、修正ペンを使用してはいけませんし、もちろん、二重線で消すなどということもしてはなりません。できれば下書きをして、書き終わった後、その下書きを丁寧に消しゴムで消す作業も忘れないようにしましょう。昨今はパソコンでもかまわないという病院や施設も増えてきましたが、地方ではまだまだ手書きが重視される傾向が強いようですので注意しましょう。
②細かい記入漏れや書き間違いに注意すること。
次に気を付けたいのが、細かい記入漏れや、書き間違いなどです。そんな細かい部分、わざわざ見ないだろうと考えがちですが、特に地方の個人病院などでの年配の院長先生は、こだわったりされる傾向があります。例えば、「男・女」につける丸印を大雑把に書いてはみ出したりしていないか、住所につけるふりがなをきちんと書いているか(例えば、数字の部分はふりがなも数字で記載するのが一般的です)、入職、入社の違いをきちんと書き分けているか、資格の記載欄において、合格、取得、修了などの言葉をきちんと使い分けているかなど、チェックするべき点はたくさんあります。参考までに申し上げますと、「入職」は主に医療機関などで職に就くことを表し、「入社」は一般的な会社で職に就くことを表します。「合格」「取得」「修了」などは、合格証などを確認して、適切な言葉を選ぶようにしなければなりません。
③志望動機はプロに添削してもらうこと。
最後に、履歴書において最もみなさんを悩ませるのは、ずばり「志望動機」でしょう。ネットを検索したり、専門書を読んだりすれば、例文がいくつも紹介されていますが、けっしてどの病院でも使えるありきたりな文章を選んではいけません。病院の特徴や院長がアピールしている点、病院や施設のホームページなどから、これだと思える内容を抜粋し、その仕事に自分が関わりたいという熱意を示します。なおかつ、どのように病院や施設において自分が役に立つことができるかなどを独りよがりにならないようアピールすることも、志望動機として記載することができるでしょう。
この志望動機を充実させたいなら、私自身の経験上、第三者に確認してもらう方法がもっとも効果的だと思います。そのためには、できれば、職業訓練に通ったり、看護師専門の復職研修を受けたりして、その道のプロにチェックしてもらうのが理想です。彼らはいくつもの履歴書をみてきていますし、それに対する企業や病院の反応に対応した経験もあります。少し大変だとは思いますが、失業中にこのような訓練や研修に通って、ご自身の記載した志望動機を添削してもらえば、アドバイスももらえますし、自信もつきますので、一石二鳥でしょう。ただ、職業訓練の先生は、転職のプロではありますが、看護職に特化したプロでは無いという欠点はありますので、その点は理解しておいてほしいと思います。
また、看護師の転職サイト企業で、このようなサービスを無料で行ってくれるケースもありますが、彼らは就職させることで相手の病院から利益を得ていますので、あまり実情のよくない病院や施設でも、強くおすすめされるケースもあります。こちらも、その点だけは気を付けて利用したいものです。
●面接について
次に面接について、ポイントをまとめたいと思います。これも、あたりまえのことですが、履歴書の内容がしっかりとかけていて、その内容が頭に入っており、書ききれなかった内容を言葉で補足できる状態なのであれば、面接の第一関門は突破です。それにプラスして、一般的な面接で尋ねられると予想される内容に対して、原稿を作成し、準備しておくとなお安心でしょう。履歴書の件と重複しますが、この面接の練習も職業訓練や看護師専門の復職研修で、予行演習を行ってもらえます。看護師という職業柄、冷静さや誠実さ、落ち着きなども加点の対象となりやすいですので、緊張しやすい人は、一度、練習しておくとよいかもしれません。補足になりますが、この面接の練習は職業安定所などでも行ってもらえます。ただ、残念ながら、職員の質に格差があるケースがあります。
また、面接の際には、いわゆる圧迫面接といわれる少しいじわるな質問をされることがあります。看護師の場合は、一般の会社員ほど、強烈な質問を受けることはないとされていますが、準備しておくにこしたことはないでしょう。ポイントは、短所や失敗談など、いわゆるネガティブな質問を受けた時でも、それをうまく長所に変換したり、反省しプラスの方向に活かしたりしていることなどをアピールすることです。黙り込んでしまってもいけませんし、逆に焦って余計なことを話してしまってもいけません。
まずは落ち着いて相手のペースに乗せられないよう、自分の意見を落ち着いて述べることです。そうすれば、面接官からも高評価が得られますし、看護師としての冷静沈着さもアピールできるので、ぐっと採用が近くなります。圧迫面接を受けたら、自分をアピールする最大のチャンスだと思って柔軟に対応しましょう。
●最後にお伝えしたいこと
最後に意外なポイントを一つお話ししましょう。看護師の就職活動において、大事なのはやはり履歴書そのものの内容です。そんなの当たり前だと思うかもしれません。ただ、そうおっしゃる方々に限って「履歴書に書くことが無い」「看護師以外の資格が無い」「趣味なんてない」などと、白紙に近い履歴書を提出してしまっているのではないでしょうか。就職活動までに時間が無いのならば仕方ありませんが、もし時間があるのであれば、自分なりに努力して、新しい資格を取得するのも一つの方法です。もちろん、就職したい病院が「この人が欲しい」と思える資格を得るのがポイントでしょう。例えば、その病院が力を入れている分野の認定看護師の資格を取得したり、産婦人科なら助産師の資格を取得したり、老人ホームならケアマネージャーの資格を取得したりといった具合にです。履歴書に書くことができる内容を増やす、充実させるという視点から、はじめてみるのも大切。この効果は絶大ですので、まさに急がば回れの本当に有効な対策です。実際に資格を取得したとなると「やる気」や「行動力」も評価されますし、面接の際にも、表面的な内容ではなく、心からの思いをぶつけることができますので、説得力があります。受け答えも、自信に満ちてきますので、面接官の心情に訴えかけることができるでしょう。
この考えは、資格だけでなく、趣味などにも役立ちます。普段から熱中できる趣味を持ち、長く続けていられることで、「根気がある」「好奇心がある」「(内容にもよりますが)コミュニケーション能力がある」などと評価してもらえることもあります。今一度、この機会にご自身の趣味について見直してみるのもいいかもしれません。趣味の話から院長と意気投合し、採用に至ったというケースもあるようです。「趣味なんて・・・」などと思われている方が多いようですが、意外と侮れませんよ。
まとめ
履歴書は丁寧に細かい部分もこだわって記載し、面接は圧迫面接も覚悟して策を練っておくことが重要です。また、履歴書そのものの記載内容を充実させるため、資格を取得したり、趣味を充実させることもかなり有効です。急がば回れの格言通り、可能な方は実行してみるとよいでしょう。
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