高齢者の嘔吐をアセスメントする 

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#1979 2022/10/21UP
高齢者の嘔吐をアセスメントする 
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入院している患者さんや施設に入所している人の中には、高齢者がいます。その高齢者は、食事をするときやふとした時に嘔吐することが多くなります。なぜ嘔吐をすることが多くなるのでしょうか。ここでは、その原因とケアについてお話します。

・嘔吐原因の一番は便秘によるもの

高齢者が嘔吐する原因として、一番考えられるのはなんといっても便秘です。便秘をすることにより、嘔気や嘔吐を起こすことが多くなります。高齢者の場合は、代謝が悪くなっているので、まず便秘を起こしやすくなります。自宅で居る時にも、ほとんど動かないという人も多いです。また寝たままといいう人もいます。
そして便秘を引き起こす原因として、水分摂取が少ないこともあります。水分を取ることも意識していないと、なかなか必要量を取ることがむつかしいのです。喉の渇きを感じることが少なくなるので、脱水になっていても気づきにくくなります。
便秘になると、腸の動きも悪くなり嘔吐を起こすことになります。排便がしばらくない場合は、それに対する対処も必要となります。嘔吐をする前に、下剤や浣腸などで対処することがあります。

・嘔吐と関連のある疾患について
高齢者は嘔吐をしやすいと思うことがありますが、その嘔吐の中には危険な疾患が隠れている場合もあります。単なる嘔吐なら、安静にすることにより症状が改善しますが、入院している患者さんの場合は、入院理由とともに考えることが大切です。
最も怖いのは、やっぱり脳疾患です。脳梗塞、腫瘍などが隠れていることもあります。嘔吐をして、頭痛を訴える、痺れる、動かなくなる等の脳梗塞の症状がある場合は緊急に対処することが必要です。医師にすぐ報告をして、緊急手術や処置を行うことになります。
また、目の疾患でも起きることがあります。めまいがある場合は、メニエール病、目の疼痛がある場合は、緑内障などを疑うことになります。
そして嘔吐と腹痛がある場合は胃、膵臓、腎臓の疾患、虫垂炎などを疑います。いずれの場合も、採血、その他の検査やレントゲン撮影などにより鑑別します。

・感染による嘔吐

お年寄りの場合は、感染症にもかかりやすくその後に重篤化することもあります。嘔吐をしたと思ったときも、まず感染症ではないかとアセスメントすることも大切です。病院やその他の施設で感染症が広まると、本当に困ることになります。そこで、嘔吐をした場合は、感染の症状かも知れないと考えて感染が広がらないように対応するようにしましょう。
感染する場合は、外部から施設などに感染したことになります。それはとても怖いことです。
健康な人は、無症状であることもありその時に免疫力の下がっているお年寄りがかかりやすくなります。ノロウィルスによる感染症などはよくかかります。その場合は、ほかの入院患者さんと隔離をすることが必要となるので個室に隔離等の対処をします。
感染している場合は、その後に発熱をすることがあります。嘔吐と共にどんな随伴症状があるのか観察しましょう。

・薬の副作用

薬を投与している場合は、その薬の副作用と考えることもできます。治療として輸液や注射などをしている場合は、その副作用としてアセスメントして考えることができます。
また治療として、内服の場合も嘔吐が見られることがあります。初回の内服の場合は、特に注意をして観察をします。内服の副作用として、嘔吐をすることもよくあることです。
そのことを、お年寄りに説明をして嘔吐により不安を取り除いてあげるようにしましょう。嘔吐をすると、とても不安になるのです。気持ちが悪いと思うことと、どうしたのだろうと不安になることがあります。薬の副作用であることがわかると、安心できるので、そのようにしっかり説明をして不安を取り除いてあげましょう。

・心因性の嘔吐

嘔吐の中には、心因性の嘔吐もあります。不安が強くなり、嘔吐してしまうのです。環境が変わると嘔吐することがあります。特に入院という特殊な環境になると、そのように嘔吐をすることもよくあることですね。
しばらくすると、落ち着くのでそのような不安などにより嘔吐をすることもあると知っておきましょう。

・匂いによる嘔吐

ニオイが強い場合も、嘔吐をしてしまうことがあります。特にお年寄りの場合は、匂いに敏感ではないのですが、苦手な食材などがあると敏感に反応して嘔吐してしまうことがあるのです。
同じ食材で嘔吐する場合は、そのメニューを考え直す必要があります。

・嘔吐によりリスクが高くなる

お年寄りの場合は、若い入院患者さんと違い、嘔吐によりかなりの体力を消耗することになります。特に怖いのは、なんといっても脱水です。脱水になりやすいので、注意が必要です。
嘔吐を繰り返す場合は、早めに輸液等の対処が必要となります。石に報告をして、その指示をうけるようにします。

・食事は無理をしない

嘔吐をすると、その後は食欲がありません。それは若い人でも同じことです。口の中が気持ち悪くなるので、嘔吐の後にはうがいをするなど口の中をキレイにします。ぐったりしている場合は、早急に安静が必要となります。
食事については、嘔吐の後に無理をしないようにしましょう。本人が食べたいという場合は、食べてもらっていいのですがその後の観察が必要です。その後も嘔吐を繰り返す場合は、直ぐに食事を中止して安静にさせます。そして、次の食事まで嘔吐がないことを確認するようにします。その場合は、病院の場合は医師の指示を待ち対処するようにしましょう。

・安静にさせる

嘔吐があると、かなり体力を使うことになるのでその後は安静にさせることが大切です。そのほかの症状がある場合は、しっかり観察します。特に緊急性のある症状の場合は、最初の嘔吐の時の観察やアセスメントが重要です。
安静にさせた後は、バイタルサインの測定、随伴症状の観察など行うようにします。何かいつもと違うと思う場合は、それがサインであることもあります。何か違う場合は、ほかの看護師とそのことを共有しましょう。そして観察ポイントを教えてもらうようにしましょう。
ベッド上で安静にする場合は、上体を挙上して嘔吐があった場合の誤飲を防止します。または、側臥位にして安静が保てるようにします。床頭台にバーグルベースンを配置して使えるようにしましょう。患者さん自身が使えない場合もあるので、看護師をコールしてもらえるように伝えておきます。

・水分摂取をさせる

嘔吐をした後に少し体調が落ち着いたら、水分摂取をすすめます。水分は水などや薄いスポーツドリンクなどにします。それは、なんといっても胃が弱っていることと濃度の濃いものだと、再び嘔吐してしまうこともあるからです。
一気に飲ませるのではなく、少しづつ無理のない程度に飲んでもらうようにしましょう。
もしも感染症である場合は、それを再び嘔吐してしまうこともあります。その時には、感染対策をしながら処理をするようにします。

・治療が必要となる時

嘔吐をして、治療が必要となるのは多めに嘔吐する時です。その時には、脱水することも想定して、輸液などの治療を行うことがあります。医師に報告後に、医師から指示が出されます。その前に、採血を行い脱水の兆候を見ることになります。
嘔吐した内容物もしっかり観察しましょう。その時、血液が混入している場合はどこかからの出血を疑います。その後は、採血にプラス、いろいろな検査をすることになります。CTや内視鏡などの検査をすることもあるので、それらの準備も必要となります。

まとめ

いかがでしたか?お年寄りの場合は、嘔吐をすると若い患者さんよりも脱水が早く現れたり重篤化してしまうことがあります。脱水でも嘔吐をすることもあり、いろいろな原因があります。
看護師は、嘔吐に伴う症状を観察して素早い対応が望まれます。自分で判断できない場合は、先輩看護師とアセスメントをするようにしたいですね。

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