看護アセスメントは書いて記録として残すのが大切です。初めてのときには看護アセスメントをどのように書いたら良いかがわからずに悩んでしまうでしょう。ここでは看護アセスメントを書くときの手順をわかりやすくコツを交えて紹介します。
看護アセスメントはシーンに応じて柔軟に対応することもできますが、フローを決めておくとスムーズに進めることができるのでおすすめです。特に記録を残すときには同じフローで書かれていると、他の人も読みやすくなります。ここでは看護アセスメントを書くという視点で基本的な手順を紹介します。書きながらアセスメントをすると精度も上がるので、看護アセスメントの基本フローとして活用していきましょう。
#看護アセスメントを書く手順
看護アセスメントのフローについてはさまざまな意見があります。看護理論やアセスメント理論がたくさんあるため、何を重視するかによって理想的な流れに違いが生まれるからです。ただ、実務上の使いやすさと、アセスメントによる効果のバランスを考えることは必要でしょう。忙しい業務をこなしながらアセスメントをするのは看護師にとって大きなハードルです。きちんとしたアセスメントをしつつ、時間も節約するにはどのようなやり方が良いのでしょうか。看護アセスメントを書くときには以下の5つのステップを踏んでいくのがおすすめです。
1.患者の容態や反応について主観的情報と客観的情報を集める
2.情報を解釈する
3.患者の容態や藩王の原因と誘因をまとめる
4.好ましい反応の維持や好ましくない反応の改善になる強みを探す
5.今後の経過について推察した結果を記述する
4ステップで看護アセスメントができる理論もありますが、実務との関連を考えると5ステップにした方がわかりやすくなります。それぞれのステップについて何をやるのか、効果を上げるコツやスムーズに進めるためのポイントは何なのか詳しく見ていきましょう。
#患者の容態や反応について主観的情報と客観的情報を集める
看護アセスメントをするにはまず情報を集めることが必要です。看護アセスメントは患者の容態や反応について主観的情報と客観的情報を集めることから始まります。
主観的情報は患者の言葉として聞いた情報です。「頭が痛くて死にそう」「お腹が苦しい」「痛みが治まってきた」「眠れていない気がする」などといった声をそのまま受け取ります。「頭が痛くて死にそう」と言っているのに「頭痛の症状がある」と言い換えてしまうと、患者の主観が失われてしまって主観的情報としての価値が失われるので注意が必要です。
客観的情報は患者の主観を除外した診察や検査によって得られた情報です。収縮期血圧が145mmHgある、GPTが60を示しているといった検査結果は重要な情報源になります。さらに看護師が患者から「顔色が青白い」「目がうつろになっている」「呼吸に雑音がある」「腹部にしこりがある」などといった視診や聴診などによって得た情報も客観的情報です。
主観的情報と客観的情報は整理してできるだけ広く集めるのが重要になります。看護師として手に入れる情報は限られているので、医師や臨床検査技師などの協力も得て情報を集めるのがコツです。特に主観的情報は看護師が手に入れやすいですが、客観的情報は他の医療スタッフの方が診察や検査によって取得しやすいこともあります。看護師は他のスタッフとの連携を取る立役者としても期待されているので、積極的に多くのスタッフから情報を集めるのが大切です。
#情報を解釈する
情報を集めたら看護師としての立場から解釈をします。情報は集めただけでは全く意味がありません。情報を解釈してアセスメントを進める方向性を決めるのがまず重要です。集まった情報を一通り見たときに、何が患者にとって問題なのかを解釈します。看護は患者の抱えている問題を解決するためにおこなう行為なので、問題を明らかにするのが重要なポイントです。患者の容態や反応を見たときに、適切なのかどうかをまず考えてみましょう。一般的に適切な範囲内に入っている項目はそのままで問題ないと解釈できます。しかし、通常の状態と比較して逸脱しているところがあったら、看護によって解決を試みる必要がある課題です。情報の解釈にはゴールデンルールがあるわけではありません。主観的情報と客観的情報を総合的に見て、患者の容態や反応の適切さを考えましょう。もし解釈に困る部分があったなら、医師や他の看護師に相談して議論してみるのもポイントです。
#患者の容態や反応の原因と誘因をまとめる
看護師としての解釈ができたら、患者の容態や反応について原因や誘因をまとめましょう。解釈したからには何が原因で問題が発生しているのかを推察できている場合が多いでしょう。主観的情報と客観的情報から抜粋して、原因となっている項目を列挙します。誘因になった事実もある場合には原因と分けて書き出していきましょう。
アセスメントを書くときには解釈を書いた上で原因と誘因を添えていきます。患者の容態や反応について解釈した内容を取り上げて、原因や誘因を書いていきましょう。客観的な視点で記載し、主観を交えないのが肝心です。
#好ましい反応の維持や好ましくない反応の改善になる強みを探す
看護アセスメントでは看護をする上で強みになるポイントを探し出すのが重要です。解釈の内容に関係なく、患者の容態や反応を改善できるような強みが見つかったら記載します。好ましい反応を維持できるポイントが見つかったときにも記録しましょう。例えば、家族のアドバイスによって服薬がうまくできるようになっているのであれば、家族の協力が強みになります。強みはない場合もありますが、たくさんある場合もあるので多角的な視点で考えるのが大切です。
#今後の経過について推察した結果を記述する
最後に、このまま看護を続けた場合に患者がどのような経過になるかを推論します。どのような経過をたどっていくかを端的に推察するのが重要です。解釈をした結果として今後の経過に何も問題はないというときには、その旨を端的に記載します。問題がないと判断した根拠を添えるのが重要なポイントです。
改善しなければならないと解釈した場合には、今後の経過をできる限り克明に書きます。そのように推察した根拠も明記するのが必須です。危険因子が何かを明確に示して、結果として何が起こり得るかを記載します。
結果を記述するところまでが看護アセスメントの記録です。この記録に基づいて看護計画を立てて患者の看護を進めていきます。
#書いたアセスメントは共有しよう
看護アセスメントを書いたら共有するのが大切です。看護アセスメントは自分が手に入れられた情報に基づいて自分の知識や経験から解釈した内容をまとめたものです。他の看護師が違う解釈をすることもあり得ます。医師や薬剤師の立場からアセスメントをすると解釈は大きく異なるでしょう。アセスメントを共有することで、事実としての情報に対してどのような解釈ができるのかを他の人も知ることができます。医療の質を向上させる上でアセスメントの共有は欠かせません。もし勤め先の施設でアセスメントの共有が進められていない状況なら、看護師長に相談して共有できる体制を整えましょう。他の看護師のアセスメントを見ると視野が広がり、さらに質の高い看護や医療の提供を目指せます。可能であれば看護師の間だけでなく、医師や他の医療スタッフとのアセスメント文書の共有をするのが大切です。仕組み作りは大変ですが、アセスメントの重要性はよく理解されるようになってきているので、もし体制が整っていないなら上司に働きかけていきましょう。
まとめ
看護アセスメントを書く手順がわかったでしょうか。アセスメントは情報に基づく解釈と分析をするのが重要です。アセスメントの結果を書き留めて共有することで医療の質が向上していきます。明確な手順に従ってアセスメントをすると、首尾一貫した記録になって自分以外も読みやすくなって喜ばれるので努力していきましょう。
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