看護師になるために学校を卒業したり看護師として数年働いても、ライフスタイルによっては離職や転職を余儀なくされ、看護技術を学ぶことを断念し、デイケア施設など臨床に比べて技術の少ないところに勤務しなければいけない看護師が一定数います。そのような看護師が、時間ができたから臨床の最先端の医療を学びたいと思った時、転職先を選ぶに当たってのポイントをご紹介します。
1.病棟臨床経験が少ない看護師は肩身が狭い!?
看護師という仕事は、専門職であり、技術を必要とする仕事です。
しかし、家庭の事情などライフスタイルによって、どうしても技術を身につける機会を学ぶところに就職できなかった看護師や、技術を学ぶ機会を失った看護師、そしてどうしても休職やデイケア施設など看護技術の少ない職場に勤務をしなければならなかった看護師は意外と多く、一定数いらっしゃいます。私もその1人でした。
看護師という仕事は、どうしても
病棟臨床にいる看護師>パートやデイケアなどの簡単な仕事をしていた看護師>休職中の看護師
と暗黙のところで悪く言えばカーストと類似したものがあります。
なぜなら、医療はずっと進化し続けているからです。
独身でずっとバリバリキャリアを積んできた看護師や、結婚・妊娠・出産をしてもすぐに職場復帰した看護師は、臨床で病気の実態やそれに対応する専門的な医療処置の先端のやり方・技術を知って習得しています。
一方で、臨床で技術を学ぶ機会を失っていた看護師は、リアルな医療の進化についていけず、いざ時間ができて技術を学びたくなってもなかなか技術を高めるための職場に転職しづらく、尻込みをしてしまいます。
特に、30代?40代の中堅と言われる看護師が病棟の臨床経験が少ないまま過ごし、ある時期から看護師としての技術を身に付けたくて臨床への転職や職場復帰した場合がそうです。
自分より若い看護師や同年代の看護師が技術を身につけて仕事をしている姿と自分を比べてしまい、かなり肩身が狭い思いをするはずです。
私も実際、総合病院で6年間勤めた後、祖母の介護と結婚や妊娠・出産のため退職し、実質6年間のブランクを経てデイケア施設に再就職し、そこから総合病院へと技術を学ぶために転職をした時は苦労をしました。
私の場合は、総合病院を1年ごとに2つほど変えて、3つ目でやっと思い切り勉強できる職場にたどり着けました。
そこで、病棟臨床経験が少ないながらも看護師としての技術を高めるため、転職を頑張ろうと思う看護師の皆さんへ、私のようにいくつも転職しないよううまくいって欲しいという願いを込めて、転職先の病院選びのために気をつけたポイントを書かせていただこうと思います。
2.臨床のある病院へ転職する際のポイントその1 ?なるべく総合病院を選ぶこと?
いきなり総合病院と聞くとハードルが高く感じると思います。しかし、臨床経験を重ねて技術を学ぶために転職をするならば、実は1番手強そうな総合病院が1番良いのです。
なぜかというと、総合病院は新人が入社してくることが1番多いところです。新人が入社してくるということは、技術や職場環境に慣れるための教育が充実しています。
そして何より、総合病院は人員が多いのです。
実際、私が転職した総合病院は、新卒以外に臨床経験にブランクのある看護師に、新卒さんほど濃密につきっきりとまではいきませんが、2週間程の間、他の看護師が一緒に仕事をまわってくれました。また、仕事を教えてくれながら職場として、30代?40代にありがちな家庭事情で休みたい場合の暗黙のルールや風習などをも一緒に教えてくれて助かりました。
あとは、普通に看護師として転職を探すのと同じで、希望する総合病院の年間の有休消化率や、2交代制か3交代制なのかという自分のライフスタイルに見合っている夜勤形態などの情報も収集しておきましょう。
総合病院の場合は、外来やエレベーター付近を観察しているだけで、その病院の総合的な雰囲気が察することが多いのもメリットです。総合病院は、個人病院と違い一般人の出入りが容易なので、下調べがしやすい利点があるのです。
総合病院は情報量が多いため、丁寧に下調べすることが可能なのです。
3.臨床のある病院へ転職する際のポイントその2 ?なぜ個人病院は避けるのか?
先ほど説明した通り、私は総合病院をおすすめしましたが、どうして個人病院は避けるのかと思っている方もいらっしゃると思います。
「入院病床がある個人病院でも技術が学べれば良いのでは?」という意見もあるでしょう。
しかし、個人病院というものは、例えば「〇〇内科医院」という風な看板をあげています。つまり、この場合は内科的な治療しかしていないということです。個人病院は、基本的にオペ室などがないため、できる治療は一通りで限られています。たいていが毎日同じような患者ばかり見ていなければいけないので、ルーティン化しており、新しい技術はなかなか学べません。
また、総合病院のように研修制度も整っておらず、学ぶ機会が少ないのです。
しかし、その分野専門の看護師になりたいと言った目標があるのであれば、個人病院も良いと思います。例えば、美容形成外科などの科は、総合病院ではあまりないので専門技術が学べると思います。
4.臨床のある病院へ転職する際のポイントその3 ?面接で何もかも正直にアピールする?
転職したい勤め先が決まったら、面接で自分が看護師としての技術を学びたいことを正直に言うようにしましょう。
特に総合病院の場合は、就職面接に理事長や院長と言った医師、事務の人事課の役員の他、各病棟師長や看護部長が必ずいるものです。この病棟師長や看護部長に強くアピールをするようにしましょう。なぜなら、同じ看護師免許を持っている者同士、分かってもらえることが多いからです。
ここでも転職先は総合病院をおすすめするメリットがあります。面接官は、あなたの技術に応じて学びやすい科に就職を回してくれる可能性がるからです。「こんな技術の学べていない自分でも雇ってくれるのか正直に言っても良いのか」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、総合病院は人員の入れ替わりが多いため、雇用してくれる確率は低くないのです。きちんと教育すれば働ける人、働きたい人を採用しない総合病院はほとんどありませんでした。
以下に、個人病院でも総合病院への転職希望でも、面接の際にアピールする大切な4点を記載しておきます。
①自分の経歴を詳しく説明する。
(例1:家庭の事情で施設のデイケアしか働いたことがありません。できる技術は吸引と採血くらいです。
例2:数年前までは病棟看護師として働いていました。当時整形外科に勤めており、そこで学んだ技術は骨折後の看護などです。内科的な治療や内視鏡の補助などの仕方は分かりません。等)
②学びたい技術があればアピールする。
(例:中心静脈のルートキープの介助を学びたいです。感染症の技術を学びたいです。等)
③家庭事情があれば正直に話しておく。
(例:母親を介護しています。子どもに持病があって、急に休まなければいけない場合があります。等)
④勤務形態の希望があるなら必ず伝える。
(例:夜勤は難しいですが、日中なら急な出勤も可能です。パートで雇用してもらえても、○時間以上は勤務することができます等)
この4点をきちんと説明できていれば、面接官が自分に見合った部署や勤務形態の都合を選んでくれやすくなります。できるアピールはせず謙虚に、そして遠慮はせずに正直に、希望や自分ができることを言うことが大切です。
5.臨床のある病院へ転職する際のポイントその4 ?転職する良い病院の見極め方とは?
看護師として技術を学びたいという方は、自分がどのような看護師になりたいのか、ということをしっかりイメージすることが大切です。自分の看護師として求めているものや技術がその病院にはがあるのか見極める必要があるのです。
よって、転職する良い病院を見極めるためには、必ず情報収集を怠ってはいけません。
前述したように、自分で足を運んで病院の雰囲気を見ておくことや、ネットで調べた病院の口コミやレビュー、看護師の転職サイトを利用して、エージェントさんから直接聞くことも大切です。情報が少ない場合は、複数の転職サイトを利用して、各エージェントさんから違った目線で情報を聞き比べることも必要な場合もあります。
また、看護師仲間の情報網があるのであれば、看護師仲間からのリアルな現場の状態の情報収集もできればベストです。
まとめ
病棟の臨床現場で看護師としての技術を学びたいと思ったとき、遅いということは絶対ありません。技術を学ぶ機会を失っていても、今から学ぼうと思ったのなら、ただ頑張れば良いのです。転職後どのような看護師になりたいのかイメージし、就職先の情報を丁寧に収集して、自分のライフスタイルと理想の看護師像に見合った病院を選ぶようにしましょう。
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