「病棟ナースはしたことあるけど、在宅も増えているし訪問看護師も気になる!!」「一人で訪問が怖い。」「訪問看護師ってアセスメントすることってなにか変わるの?」と考え、訪問看護師へのを興味は湧くものの、なかなかチャレンジできない方が多いと思います。
現在病棟では在宅で最後を迎えたいと言う方が増えており、訪問看護師の需要が増えてきています。
本記事では事例をもとにアセスメントのコツを紹介していきます
(1)アセスメントってそもそもなに?
アセスメントとは簡単に言うと「患者の状態を導き出すための過程」のことです。
【5つの看護過程】
・アセスメント
情報の収集を行ってその事象の分析を行う
・問題の明確化
収集した情報と事実についての原因と結果の関連性を考え、今なにが問題になっているかを考える
・計画
明確になった問題に対し目標と期限(短期・長期目標)を設定する。またその実施計画を具体的に示していく
・実施
作成した計画に基づき看護ケアを実施する
・評価
実施した看護ケアからどのような結果を得られたか評価する。その結果によって再評価して計画を立て直す
この過程を看護師は迅速に判断して行動して実施しています。
【アセスメント時のポイント】
▲憶測や自分の考えを混ぜすぎない
「きっとこの人はこうだったし、こうなるだろうな」と今までの経験で断定してしまうのは非常に危険です。
ベテランの看護師になればなるほど知識や経験が積み上がって行くため、ある意味固定概念が強くなる傾向があります。新人のときの気持ちを忘れずこまめな報連相やアセスメント不足はないか、他の可能性はないかを考えて常に「患者に何が起きているかを推測して実施して評価すること」が大事になってきます。
最終的に「え?こんなことが原因だったの?!」と予想外のこともありえます。常に断定的な味方ではなく、可能性として探ることを意識して仕事をしていきましょう
(2)具体的なアセスメント
まずは情報収集、患者の症状と問題を明確化します。
そして、基本情報の確認に移ります。
「異常を見つけること」ばかりではなく、「その患者様にとっての正常な状態を把握した上で異常を見つける」ことが重要です。
日々の関わりや今までの情報を聞き取り、
患者様の正常な数値や状態や個人差を把握し、その患者様にとっての「正常」と「異常」はなにかを常に意識しましょう。
判断の材料は多いほど良いです。
そして、
診断名
入院までの経過
主訴
既往歴
の情報を確認しましょう。
アセスメントする上ではまずは基本情報を見るようにしましょう。そして主観と客観の情報を吟味していきましょう!
病棟ではカルテをみて情報収集ということが多いですが、訪問看護師ではその場で起きた事象から全身状態の観察、直接患者さんから情報収集することが基本、かつかなり重要になってきます。
①今の症状は何か(主訴)
はじめに、現在の症状は何か質問します
○質問例
「今、どのような症状がありますか?」
②いつ頃からあるのか(経過の確認)
○質問例
「いつ頃から頭が痛いと感じていましたか?」
③原因をどのように考えているのか(自覚の確認)
○質問例
「こうなるまでどのような生活をしていましたか?何をしていたら症状が起きましたか?」
④今までも同じことがあったのか、まあそのときはどのように対応したのか
○質問例
「普段よく起こる症状ですか?その際に何かしていたことはありますか?」
(3)着目ポイントに悩んだときは
ヘンダーソンの14の基本的欲求・SOAPに立ち返ろう
◎ヘンダーソンの特徴
人間には基本的欲求があり、必要な体力と意思力と知識があれば、自立して充足することができるという看護論に基づき、人間の14 の基本的欲求を示したもの
正常に呼吸する
適切に飲食する
あらゆる排泄経路から排泄する
身体の位置を動かし、またよい姿勢を保持する
睡眠と休息をとる
適切な衣類を選び、着脱する
衣類の調節と環境の調整により体温を保つ
身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする
自分の感情、欲求、恐怖あるいは”気分”を表現して他者とコミュニケーションをもつ
自分の信仰を実践する
達成感をもたらすような仕事をする
遊び、あるいはさまざまなレクリエーションに参加する
“正常”な発達および健康を導くような学習・発見をする。あるいは好奇心を満足させる
◎SOAP
S:主観的データ
患者様が話した言葉そのものを
O:客観的データ
・看護師が観察したことや実施したこと
・医師や家族からの情報
・検査結果 などから得られたS以外の情報
A:アセスメント
S・O情報の意味を解釈・判断を行って総合的な評価
P:プラン
治療の方針・内容、生活指導 など
アセスメントを書くコツ
1.現状を判断する
2.原因を特定する
3.今後について予測をする
(例)睡眠不足でふらふらの患者様がいます。
(現状)・夜に眠れていないと訴えている
・倦怠感があり、日中はベッドで臥床していた
・歩行する際にたまにふらつくことがある
・貧血になることがある
(原因)・睡眠不足に伴う筋力低下でふらつきがある ・貧血
(予測)・不眠が続いているため、転倒に注意が必要だと思われる
・貧血も考えられる いつ起こりやすいのか、検査データは?
これらの情報をSOAPにあてはめてみると次のようになります。
【S】「最近あまり眠れていない。疲れやすい。眠りが浅い」
【O】倦怠感があり、日中はベッドで臥床していることが多い。歩行する際、ふらつきがある様子
【A】睡眠不足による倦怠感があり、日中はベッドで臥床していることが多い。現在のところ歩行する際に筋力低下によるふらつきが見られる。不眠が続いているため、転倒に注意が必要だと思われる。また、貧血のデータもあるため内服が必要か?
【P】医師へ報告、指示を仰ぐ。歩行の際に介助を行う。手すりなど使用することや立ち上がりの指導を行う
アセスメントは「問題を解決する考え方(論理的思考)」が大切です
次に訪問看護師で実際にアセスメントが活きた事例を紹介します。
(4)事例紹介
Aさん(75歳 女性)は自営で飲食店の仕事をしていて働くことが生きがいでしごとに没頭されている方でした。
4月から下痢気味になり、尿が近くなり息子に最近歳のせいか下がゆるくなってしまってね。と話していることが増えていました。息子は歳のせいなら仕方ないよなぁ。母も歳だし仕事も程々にね。と注意する程度でした。しかしその後だるさや食欲不振もありましたが、すべて歳のせいで胃のムカつきがあるのだろうと思い内科へ受診。下痢止めを処方され、食生活の改善と経過観察と言われて様子を見ていました。しかし一向に良くならず、今まで体調が悪くてもあまり口には出さない母親が少し休憩することが増え訪問看護師を依頼。そこで私は腹部症状が改善していないため新たな可能性を考えて、フィジカルアセスメントを行い腹部症状観察、また関わっていく中でAさんの性格上息子に心配をかけたくない、自分で自力で今まで生きてきたという環境もあってすべての症状を息子、医師含め伝えていなかったことが明らかになりました。Aさんは今までの息子への思いと仕事への心配から伝えられなかったと打ち明けてくださり、情報収集を行い婦人科受診を勧めました。
その後卵巣嚢腫とわかり手術を受けて無事退院されました。
まとめ
症状だけを聞いてアセスメントを行うとその発言の背景までを汲み取れずに誤った判断に導いてしまいます。患者さんが置かれている環境や生活、性格なども把握することで情報を聞き出しアセスメントに役立てることができます。
病棟では常に医師・看護師がいて検査もすぐに可能です。しかし在宅ではすぐに受診ができなかったり、家庭の環境や生活リズムなど影響されることが増えてきます。そのため普段からの信頼関係の構築含め、患者さんとのやり取りからアセスメントをしていくことが大切になってきます。
思い込みはせずにアセスメントし報連相を意識していくことができれば早期発見につながり、命を助けることもできます。
新人さん、ベテランナースさん、これから再就職を考えてる看護師さんすべてがアセスメントの必要性と大切さ、深さを今一度振り返って学び直すことが大切になってきます。
ここまで記事を読んでくださりありがとうございます。
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