学生時代や新人時代は勉強する事が多く、こんな勉強意味あるのか、手の運動じゃないか、どうやって現場に生かせるのか分からずやっている人が多いのではないかと思います。是非事例を読んでいただき、現場でのアセスメントの大切さを知っていただきたいです。
患者さんを診る前に
患者へのアセスメントのコツとしては、疾患、既往歴、現在どのような治療をしているのか、今の現状を情報収集した段階で、どのようなリスクがあるのか、どのような症状がでそうなのかを書き出したりして考えます。実際に患者と接してケアをしていく中で、先程考えた症状は実際出ているのか、また、他の症状が出ていないかを観察していきます。
アセスメントの実際、事例
人の身体は全部繋がっていると認識し、勉強、観察していくことが大切です。例えば、整形外科の患者では、創部状態や末梢神経所見、循環動態のみ観察しがちですが、全身状態の観察は大切になります。
これは実際にあったことです。整形手術後1日目の患者を受け持っていました。夕方の段階では、痰が多く、痰つまりが無いように1時間置きに吸引や、体位ドレナージをしていました。その時は、レベルもクリアで、脈拍も80台、Spo2も95%以上と安定していました。夜間に入り、脈拍が120台と上がって来た為、何故脈拍だけが上がっているのかをアセスメントしました。
第一に、苦しいからかもしれない、痛いのかもしれない、心電図のリズムチェンジが起こり心疾患がでたかもしれない、暴れているのかもしらない、脈拍が上がってるということはこれから血圧が下がるかもしれない、Spo2が下がるかも知れないなどさまざまなアセスメントをして患者のところへ行きました。
私が1番恐れていたことが痰つまりだった為、患者のところへ行ってしたことは、レベルの確認です。
GCSで確認し、E4V1M6でした。声が出せていた患者が、声を出せなくなっていました。
次に、喀痰貯留している部位を見る為に、肺の聴診を行いました。喀痰が多く肺雑音が多かった夕方と比べると、ヒューヒューとした狭窄音に変わっていました。Spo2の低下はまだ見られていなかった物の、この後呼吸筋が疲労し、低下するリスクが高いとアセスメントし、当直医に報告しました。その後すぐに気道狭窄が認められ、その後すぐに挿管し、人工呼吸器管理となりました。
しかしその直後、低酸素時間が長かったとして、心筋梗塞も合併してしまいました。その時は、自分では早期で発見できたと思っていましたが、患者の疲労は大きく、心臓に大きな負担がかかっており、もっと早期発見できていればと後悔しました。しかし、どのような時に頻脈になるのか、レベルが低下している時のアイウエオチップスの活用など、人体の原理や、アセスメントツールを活用することの大切さを実感させていただいた事例でもありました。
私は現在、集中治療室で働いているのですが、本当にどの疾患も全身状態に影響があり、血圧や脈拍で異常値が出たときにはもう遅いと言うことを感じています。バイタル測定の際の値ももちろん大事ですが、患者さんと接する度に、さっきと違うところ、前回と違うところがないか、疑問に思うことがあればそのままにせず、先輩に相談したり、アセスメントし直すことが早期発見に繋がっていきます。
異常を見逃してしまった事例
私も疑問に思ったことを忙しいことを理由にそのままにしてしまい、急変してしまったという事例があります。
心臓の手術をされた患者で、手術は元気でADLも自立していました。私が担当した日は透析の日で、透析後、傾眠傾向にありました。私は、他の患者から透析は疲れると聞いていたので、長い透析で疲れたのだろう、休ませてあげようと判断してしまい、バイタル測定だけし、異常値はなかった為、その部屋を後にしました。その2時間後に訪室した際も傾眠が続いており、そこで流石におかしいなと気づいた時、対光反射を確認しようと目を開けると、偏視、眼球上転、MMT低下が起こっており、脳梗塞を発症していました。脳梗塞や脳出血は時間との勝負になり、早期発見が患者の今後の回復に影響を与えて来ます。私は、何故透析後にレベルを確認しなかったのかととても後悔しました。
アセスメントする為の材料収集
新人の時には特に、アセスメント等は難しいと思うので、おや?と疑問に思ったことをすぐに先輩に相談することが大切になります。勉強をした後、患者を見ると言うことはとても大事なことですが、患者を見た後に勉強を振り返る事もとても大切です。その症状が出ている患者を実際みて勉強することで、より頭に入り、何故そのような症状が出ているのか調べて行くことでそこがアセスメントの材料に繋がってきます。
例えば、何故この患者さんには褥瘡ができたのか勉強して振り返るとします。その時には、褥瘡になった原因は、全身に浮腫があり、皮膚が脆弱している。何故浮腫になっているのかは、栄養状態が低下しているから。何故栄養状態が低下しているのかは、食事摂取量が低下しているから等、今ある状態から振り返っていく勉強だと思います。しかし、この勉強した中で得られるアセスメント材料は、食事摂取量が低い患者を担当した時に、栄養状態が低下していないか採血情報を確認して低栄養予防をできたり、低栄養がある方は、浮腫ができていないかや、皮膚トラブルが起きていないか日々のケアの中で観察する等、どんどんその患者の褥瘡リスクを低下する予防ができるという事に繋がっていきます。
看護は、早期発見だけではなく、状態が悪化しないよう、余計な治療をしなくて良いように、リスクを予防して行くことも大切な仕事です。どうしても経験というのは大切になってくると思いますが、振り返りの勉強がとても大切だと実感しています。看護師というのは、勉強し続けてレベルアップしていかないと行けない職業だなと日々感じております。
私の病院では、毎月課題が提出されているため、どのような勉強をしないといけないのか明確になっているのですが、そのような課題がない病院も沢山あると思います。そのため、日々接した患者を振り返って振り返って勉強してみてください。同じ疾患でも、既往歴や年齢、内服薬などにより、本当に個別性があり、出てくる症状も全く違って来ます
。
私は、アセスメントする為の材料として、疾患、手術の合併症、内服薬の作用?副作用を特に勉強してきました。既往歴が沢山ある人もいますし、大量の内服薬を飲んでいる人もいて、新人は特にやる事が多く、勉強ばかりで辛いと思います。しかし、勉強してきた事が身につき、現場で生かせた時、更には早期発見ができて、患者の命を救う事ができた時、本当に今まで勉強してきて良かったと心の底から思う事ができ、患者さん、家族からも感謝の言葉をいただくことができます。看護師という仕事は本当に素敵な仕事です。私もまだまだ、至らな点が沢山あり、失敗の経験もおおくあります。
アセスメント上達の最大ポイントは、先輩がどのようにアセスメントをして患者さんのケアをしているのか真似ることです。新人の時は、先輩と一緒に動くと思うので、沢山学ぶところがあります。いかにそこで吸収出来るか大切になります。業務を覚えたり忙しいと思いますが、今のうちに学べることは吸収して頑張ってください。
まとめ
結論は、多くの患者と接し、看護展開すること、その後何故患者にこのような症状が出ているのか勉強し、何故?を解決して行くことが、アセスメントをしていく中で最大の武器になっていきます。結局は、アセスメントができるようになるためには、知識、学習したことを1つの線にして繋げて患者を診る事が大切になっていきます。
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