看護師になるためには専門学校や大学に行く必要がありますが、社会人を経験して入学される方も多くいらっしゃいます。社会人になってから看護師になるためにはどのようなことをしておけばいいのか、現役生との違いなどについてお知らせします。今回は看護専門学校の場合で紹介させていただきます。
・看護学校に入学するためには試験や面接を突破しなければならない
私は6年前に社会人から看護専門学校の試験を受けて、それに合格し入学しています。
試験の内容としては以下の通りでした。
・国語、数学、英語の記述問題(高1レベル)
・小論文(医療に絡めた内容のテーマが多い)
・看護学校職員との集団面接
最初の記述問題に関しては高校の勉強内容なので、多くの方は大半の内容を忘れてしまっているかと思います。私も当時は高校生の妹から数学の教科書を借りて、図書館で一通り自分の力で解くことができるようになるまで勉強していました。教科書に載っている練習問題が自力で解けるようになれば問題ないかと思います。範囲としては数学1Aだけだったので、まだ簡単な内容でした。国語と英語に関しては覚えている内容だったためそこまで対策はしていませんでしたが、
小論文に関しては原稿用紙2~3枚程度で、自分の考えを分かりやすく述べる必要があります。「小論文 書き方」などで検索すると詳しい対策が出てくるかと思いますので、そちらを参考にしながら練習してみるといいかと思います。
面接については看護師になりたいという自分の思いを正直に堂々と話していれば問題ないかと思います。社会人経験のある方であれば人前で話すことにもある程度慣れてる方も多いと思いますので、ここは割愛させていただきます。
また、試験とは別に学費のことも考えておく必要があります。学校や地域にもよりますが、奨学金を借りるのか(都道府県から借りるのか、もしくは就職を考えている病院から借りるのか)、それとも現在の貯金から工面するのか、などです。それぞれの学校や地域の奨学金に関する情報もあらかじめ収集しておく必要があるかと思います。
・看護学校に入学してから
社会人枠で入学した人の割合は大体学年の2割ほどであったと記憶しています。周りが高校を卒業したばかりの子なので、中が悪いわけでは決してないですが、結果的に社会人同士でのコミュニティが形成されやすいと思います。現役の子達と歳が離れているので、はじめは仲良くなれるか不安になると思います。授業の中でのグループワークで、そのグループの中で自分だけ年上になる、という状況にもなります。年が離れているとどうしてもお互いに気を使って初めのうちはなかなか打ち解けられないかもしれません。しかし、何度もグループワークをしているうちにだんだん打ち解けてくると思います。友人を作っておくと、学習での助け合いになりますし、演習の練習相手になってもらうときなどにお願いしやすいです。
・看護学校での学習内容
専門学校は大学と違い、3年ですべてのカリキュラムを終える必要があります。そのため、大学とは違い朝から夕方まで学校にいることがほとんどです。初めのうちは座学が中心で人体の解剖生理や一般教養、看護論などを学んでいきます。そこから徐々に看護技術の内容も始まり、患者のモデル人形を使用して演習を行ったり、学生同士で看護師役、患者役に分かれて演習をすることもあります。
そして、一通り講義が終わった科目から、定期的にテストが行われます。ここで赤点を取ってしまうと再試が発生し、万が一再試にも落ちてしまうと留年になりかねません。特に最初に学ぶ解剖生理学に関しては、その後に学ぶ病態生理などにも直結し、実際に私が看護師になってからも頻繁に必要とする知識であると感じています。ここは特に真剣に学習しておくべきです。
ある程度学習が進んでくると看護過程の授業が入ってくると思います。紙面でとある患者を想定し、「情報収集」→「アセスメント」→「看護診断」→「看護計画の立案」までの流れをシミュレーションします。それぞれのジャンルに分けて患者の情報をまとめ、どういうところに問題がありそうかをリストアップしていきます。その後「これらの問題は同じ原因から来ているのではないか」、「この患者さんにとって今特に問題になっているのはなんだろう」とさらに整理していきます。次に看護師としてこれらの問題を解決していくためにどのように関わっていくかを考えていきます。これが看護計画になります。学内では看護計画の立案の部分までで終わりだとは思いますが、実習ではその先の看護計画の実施とその評価、修正を繰り返し行っていくことになるかと思います。
これがのちのちの実習での記録物のもとになります。
・学外での実習
みなさんが一番不安なところが、「実習を乗り越えられるか心配」というところだと思います。3年生にもなると1年の半分ほどが実習期間になります。実習に行く前にはその病棟においてよくある疾患を学習して、その人達にどんなふうに援助を行っているのか、その病棟特有のケアにはどのようなものがあるか、などをあらかじめ学習したもの(事前学習)を持参します。
実際に病院にいくと、「もともと社会人を経験されてるから・・・」とかはあまり気にされず「一学生」として他のメンバーと同様に扱われます。指導者さんの口調は若干柔らかいものになるかもしれませんのでそこはメリットになります。
実際の患者さんを相手にするので、演習との緊張感とは段違いです。看護師の学習のために学生の受け持ちを了承されている方なので、いい方であることがほとんどです。「この人のために私には何ができるだろう」と考えて、情報収集やアセスメント、看護計画の立案、実施とその記録、評価を繰り返し行っていきます。
記録物が多く、実習中は睡眠時間が削られる事が多いです。お子さんがいらっしゃるような家庭ですと、なかなか記録物に集中できないこともあるかもしれません。実習期間中だけホテルに泊まって、子供は祖父や祖母のところに預けている方もいました。
実習期間に限らず、普段のテストや国家試験に向けて家事や育児と両立して看護師になるための学習の時間を確保する必要があります。学費もかかるので、最短で看護師になるためにはどの科目や実習の単位も落とすことはできません。
現役生の場合は高校からの延長のようなものなので、実家で両親と暮らしてご飯の用意などは親がしてくれる、という場合が多いと思いますが、社会人からの方々の場合は勉強の時間を確保できるような環境を整えられるような周りのサポートが有るか、というところも大事になってくるのかなと思います。時間の節約術として、友人のサポートがあるかも大切になってきます。
それぞれのグループが別々の病棟に行くので、以前行ったことのある友達から「こんな疾患の人が多いよ」とか、「あそこの指導者さんは優しいから大丈夫だよ」などの情報をもらったりできます。
私はこの方法をよく使っていました。実際にある程度予測ができていると、対策も立てやすくなり心の余裕も出てくると思います。
・国家試験の対策
実習を無事乗り越えられたしても、看護師国家試験に合格しなければ看護師になることはできません。3年になると実習の合間に国試の模試が入ってきます。実習の事前学習もしつつ、国家試験対策も行っていかなくてはなりません。アルバイトなどしている時間は全くありませんでした。ただ、国家試験対策と実習に向けての勉強が全く関連がないわけではなく、実習を通して得た知識が国家試験対策に繋がったりすることも多いです。なので、2つを並行して勉強していかなければならない、というように考えるよりは、とりあえず目の前の実習を乗り切ることを考えるほうがまだ心の余裕が出てくると思います。国家試験は9割の人が受かると言われているので、実習を乗り越えられるくらい学習してきた方ならば、さほど悲観的にならなくても合格するだけの実力は身についているかと思います。学習方法としては、模試を解いてわからなかったところの解説を読み込んだり、苦手だと感じている単元の教科書を読み返したりしていました。書くよりかは、何度も目を通し繰り返すほうがいいと思います。試験の範囲が広いので、一つのことに集中しすぎるのも良くないのかなと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。自分の体験を交えつつ、看護学校での生活や実習の実際、国家試験対策について述べさせていただきました。社会人から看護師になる方も、学校生活の中で学習することは現役生と大きくは変わりません。むしろ学外で普段の生活に加えて学習の時間を確保することが難しいのかなと思います。ここを何とかすることができれば、社会人から看護師になることも十分可能だと思います。看護師になろうという意欲は社会人の方のほうが高いと感じます。自分のペースで順位を勧めていってくださればと思います。
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