入院している患者さんがインシデントとして起こすことの中に、転倒があります。転倒をした時には、かなりのリスクがあります。その時、看護師はどんな風にアセスメントしたらいいのでしょうか。ここでは、そのアセスメントについてお話します。
・転倒事故はとても多い
患者さんが入院している中で、転倒をしてしまう確率はとても高いです。その理由としては、なんといっても入院という特殊な環境に慣れていないことから、転倒をしてしまうことが多くなります。
普段の生活の中で、転ぶことがない患者さんの場合でも転んでしまうことがよくあります。気持ちの中に不安があることも、転倒の一つの要因となっていることもあります。考え事をしていて転んでしまうこともあるからです。
患者さんとしては、まさか自分が転ぶということを想像していないでしょう。そのため、自分が転んでしまったことにとてもびっくりされることが多いのです。しかし看護師は、どの患者さんでも転倒する危険性があることを知っています。そのため、いろいろな手段でそのことを防止しようと必死で行っています。
・転倒を起こす心理的要因
転倒を起こしてしまう原因としてはたくさんあります。ひとつのことで、転倒をしてしまうこともあるし、いろいろな要素が絡み合い転倒することがあります。その原因の一つとして、患者さんの心理的要因も外すことができません。
心理的要因の中で、とても多いのは入院生活をしていて病気のこと、家族のこと、治療のこと等複雑な不安がありその結果、転倒してしまうことがあります。それは普段の生活の中でもあることなのです。ぼうっとしていて、若い人でも転んでしまう事がありますね。そのように、気持ちをしっかり持つことができない時に油断から転倒してしまうこともあります。
そしてそれは、年齢に関係なく起こす事があるのです。入院時に、不安が強い人の場合は転倒リスクが高いということを思っておくといいかもしれませんね。
・身体的要因
患者さんが転倒してしまう要因として、一番考えられるのは身体的要因です。入院をしている患者さんの場合は、入院をすることにより動くことを制限されてしまうのでより転倒しやすくなります。動くことを制限されると、足腰が弱くなるのです。入院で横になっている人の場合は、立ち上がる時に転んでしまうことがあります。それは患者さん自身が一番びっくりしてしまいます。
その心理的なショックを受け止めながら、看護師は介助をすることになります。転倒リスクは、入院をして来る患者さん全員にあると思っても間違いではありません。
また疾患によるリスクもあります。特に大きいのは、なんといっても足が弱っている事です。整形外科では、必然的にそのようなリスクが高くなるので転倒する患者さんが増えてしまいます。そのため、転倒リスクをアセスメントするようになっています。そのようにアセスメントするのは、とても重要な事ですね。
・お年寄りの場合
お年寄りの場合は、リスクがかなり高いです。それは、普段の生活の中でも転倒することが多いからです。そしてリスクが高くなるのは、やっぱり看護師に頼ることを嫌がる人が多いからです。
お年寄りは、遠慮をすることが多いのでナースコールを押さずに一人に行動してしまうことがあります。看護師を呼ばなくても、自分は大丈夫と思ってしまうのです。ところが現実は、そうではありません。かなり弱っているので、立ち上がった瞬間に足が地面に付いた途端に崩れてしまうこともあります。筋肉が弱っていることも関係しています。
・転倒による事故の内容
転倒すると、その時に看護師はとてもショックを受けます。その転倒の度合いにより、そのショックは大きくなってしまいます。
軽い場合は、座り込んでしまった時があります。立つことができずに、そのまま座り込んでしまうのです。その場合は、転倒したとしても患者さんの状態の変化はあまりありません。様子観察をすることが多くなります。
ところが、一番怖いのは転倒をして頭部をうってしまう事です。頭部から転倒をしてしまうと、その後に内出血を起こしたり硬膜下血腫を起こしてしまうことがあります。そのようになると、必ず検査が必要です。頭部のCTを取ることになります。
また、腰部から転倒してしまうと大腿骨骨折を起こしている危険性があります。そこを強く強打すると、骨折を起こしてしまうのです。特にお年寄りの場合は、この大腿骨骨折を起こすことが多くなります。
転倒後に検査を行い、必要事は手術をすることになります。
・アセスメントをする重要性
転倒を防止するためには、アセスメントをすることが最も重要となります。転倒をしてしまってからよりも、その前にどれだけのリスクがあるのかアセスメントすることが大切なのです。アセスメントは、入院をした時点で行うことがあります。
入院をした時点で行うのは、その人が転倒リスクはどれだけあるかということを看護師同士で共有します。できれば数値化出来るといいのでその数値化を目指すことをオススメします。
お年寄りであることで、既にかなりリスクが高くなります。そのことを知り、入院をした時点で対策を行うのです。対策を行うことにより、転倒するリスクはかなり少なくなります。ゼロにすることはできないのですが、少なくすることはできます。
・ベッド周りの改善策
患者さんが入院をして来た時点で、転倒リスクが既にあります。それはベッド環境で過ごすことになるからです。足腰が弱くなる事、通常の生活環境でないことから、私たち看護師でも入院をした際は転倒しないと言い切れないほど、危険性があるといっても過言ではありません。
そのことからも、ベッド周囲の環境を整える事はとても重要です。ベッド周囲は、常に患者さんが過ごしやすいように整えることをオススメします。もしもリスクを発見した場合は、速やかに排除することになります。
リスク対策としては、ものを下に置かない、水をこぼさない、コードを足元に置かない等があります。それを行うだけでもリスクは軽減します。
・データをまとめる
転倒を起こした患者さんの場合は、ある程度の傾向があります。それは、どこでも同じということはありません。その病院により、そのリスクが違うことがあります。普段のケアの中では、そのことにある程度気づいていながらもはっきりしたことが分からずにそのままにしていることもあります。
そこで、ある程度のデータが集まった時点でその集計を行うことをオススメします。年齢、転んだ場所等まとめるとわかりやすくなるし、病院の転倒リスクの特徴を数値化して対策として使うことができるようになります。
・患者さんへの指導
転倒を数回起こしてしまう患者さんの場合は、こちらが対策をしても防ぐことができないこともあります。その時には、看護師が指導を行うこともあります。指導を行う時には、リスク対策の重要性をしっかりと患者さんの視点で話すようにします。
・看護師のカンファレンス
看護師は、何かあるとカンファレンスを行い情報共有することになりますね。その時、転倒についてもカンファレンスを行うことをオススメします。
まとめ
いかがでしたか?転倒を起こしてしまう患者さんは、あまり意識をしてそのことについて防ぐことを考えていないこともあります。その時、看護師の場合は入院後に転倒により命の危険性もあることを重要視して、しっかり看護師のアセスメントをしたいですね。
そして、転倒リスクから患者さんを守るように日々考えていきましょう。
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