在宅医療で活躍する看護師は徐々に増加傾向にあります。しかし、実際に働いている訪問看護師を見てみると臨床経験ある看護師ばかりです。そんな中で新卒者はどのように採用され、就職した後どのように訪問看護師として成長をしていくのでしょうか。
著者である私の働く訪問看護ステーションには複数人の看護師がいます。しかし未だに新卒者を採用したことがありません。訪問看護ステーションが設立されて約20年経過するにも関わらずです。これまで採用された一番若手看護師でも30歳というのが現状です。
しかし、近隣の訪問看護ステーションの状況を見てみると、新人看護師の採用が全くないというわけではなさそうです。決して多くはありませんが、比較的大きな訪問看護ステーションでは、新卒者を採用し、新人訪問看護師を教育するということを行っています。では、実際にどのように新卒者が採用されているのでしょうか。
・訪問看護ステーションの窓口は開かれている
訪問看護ステーションの求人を見てみると、経験者優遇と書かれているところが多いけれど、新人看護師は決して採用しないと書かれているわけではありません。実際に、訪問看護系の雑誌には新人看護師のインタビュー記事があることも多いので、実際に新卒で入職し、在宅医療の現場で活躍をしている新人訪問看護師もいるのは確かです。
実際に著者の訪問看護ステーションでも新人看護師を採用しないという決まりはないので、どこでも新卒者に対して窓口は開かれているという印象があります。
・新人看護師が訪問看護ステーションへの就職を迷っている
新人看護師というのは、看護学校や看護大学を卒業後看護師になるわけですが、学生時代に訪問看護ステーションでの実習も行われているので、どんなことが地域で行われているのか、訪問看護ステーションの地域での役割などは多少勉強はしてきているはずです。そこでの実習期間が短いとしても。
そのため、卒業後の進路として訪問看護ステーションへの就職も選択肢の一つに上がることもあるのだろうと予測することが出来ます。しかし現状を見てみると、新人看護師が訪問看護ステーションに就職するケースはまだまだ少ないのです。
それはなぜでしょうか。その理由の一つは、訪問看護ステーションの窓口は開かれていても、新人看護師自体が訪問看護ステーションへの就職を迷っているのではないかと予測することが出来ます。
その理由を次に説明していきましょう。
・臨床経験がまず必要だと考えている看護師が多いのが現状
訪問看護ステーションの窓口は開かれているのに、実際に採用がされていないということ。そして新卒で訪問看護ステーションへ就職を希望する人が少ないということには、共通した理由があります。
その理由は、訪問看護に携わるにはまず臨床経験が必要だと考えている看護師が多いのではないかということがあげられます。
・必ずしも臨床経験は必要ではない
では、訪問看護ステーションで訪問看護師として働く場合、必ず臨床経験は必要なのでしょうか。
私は実際に訪問看護ステーションに新人看護師で入職した人の経験談を直接聞いたことはありません。ただ看護雑誌のインタビュー等や看護系のアンケートを参考にすると、臨床経験がなくても訪問看護師として採用され、実践を積んでいくことで訪問看護師として成長していくことができると感じています。
・大切なのはモチベーション
看護学校や看護大学を卒業してから多くの看護師が病院へ就職する中、訪問看護ステーションへ就職するということは、少し異色な存在になるかもしれません。
病院への就職目指す学生たちは同じ目標があるので、情報交換や悩みの相談をしあったりすることもあり、結束もかたいかもしれません。
しかし、新人看護師として訪問看護ステーションへの就職を目指すときには、一人だけということも多いです。つまり、励ましあう同期が少ないので、少し心細さを感じることも少なくありません。そんな中から、何らかのストレスが大きくかかると、もう続けていけない、もう辞めたいという気持ちになってしまうこともあるので注意も必要だと感じています。
心細くてもくじけそうになっても、訪問看護師という目標を叶えるためには、やはりモチベーションが大切だと考えます。
なぜ訪問看護師になりたいのか、どんな訪問看護師になりたいのかということを考えながら、くじけたときには初心に戻りながら訪問看護師を目指すモチベーションを維持することが重要です。
・どんな風に訪問看護ステーションの求人を探すか
訪問看護師になりたい、しかし新卒で訪問看護ステーションに就職するには不安もあるというときには、実際に新人を採用したことのあるステーションの求人を探してみるといいでしょう。
これまで実績のあるところでは、新人看護師には寛容です。また新人を採用すること、採用した後にどのように教育していくべきかということのノウハウを持っているので、新人教育も時間をかけて行うことが予測できます。そうすれば実際に採用された後も安心して勤務することが出来る可能性が高いですね。
もしも自分の近隣にそのような実績のある訪問看護ステーションがないというときにはどのようにすればいいでしょうか。その場合は、通常の求人に応募するように履歴書や職務経歴書を送り、そのあとに面接をするという段取りで進めていきます。
新卒者の採用実績がないところでは、書類審査だけで落とされてしまうのではないかと不安を感じることもあるでしょう。しかし、どこの訪問看護ステーションでも人材確保に関してはいつも課題を抱えていることも多く、書類審査だけでお断りするということは、よほど問題がない限りありません。
面接に進むことが出来たら、あとは自分の思いや希望を伝えるだけです。
臨床経験者の面接ではこれまでの臨床経験を質問されることも多いのですが、新卒の場合は、これまでの学生生活で学んだこと、取り組んでいたことなどを質問されることが多くなります。
またこれからどんな風に仕事に取り組んでいきたいか、どんな訪問看護師になりたいかということを質問されることが多いです。そのため、自分の中でしっかりと考えをまとめておくべきでしょう。
更に、臨床経験がないことについて不安がある場合は、どんな新人教育が行われるのか面接官から聞いておくと安心でしょう。あらかじめ聞いておくことにより面接から就職までどんなことを勉強しておくべきなのか、どんな風に仕事に取り組めばいいのかイメージすることが出来るからです。
・実際に採用されたらどんな心構えで仕事に挑むべきか
訪問看護師を志す人の中には、訪問看護師になりたいと思う強いきっかけがあり、これから地域で活躍していきたいという意欲に沸いている人も少なくありません。
しかし、始めは看護師としての経験も浅いので、自分が目指したいところとできることのギャップがあり、気持ちだけが空回りしてしまうことも多いです。
空回りしてしまうと気持ちが落ち込むこともあるでしょう。しかしそうならないためには、採用されたらこんな訪問看護師になりたいとどんどん夢を膨らませていくのではなく、目の前にある課題をどう乗り越えていくべきか、日々学んだことを次にしっかりいかせるようにするにはどうしたらいいのかということを日々考えていきましょう。
採用されて働き始めたら本当に目まぐるしい仕事の日々が始まります。しかし、新人教育を受けながら、日々学んだことをしっかり復習して、次はそれをしっかり実践してみるという繰り返しや積み重ねがその後の訪問看護師への成長のために重要になるのです。
新人の間の特権というのは、新人研修の中で基礎から学ぶことが出来ること。またわからないことは先輩看護師に教えを乞うことが出来ることです。
この期間にどのように先輩看護師から知識や技術を習得することが出来るかということがとても重要なのですね。この期間をしっかり乗り越えることで、新人訪問看護師であってもきっと成長し、現場で活躍できる人材になるはずです。
まとめ
訪問看護ステーションの新卒者採用や実際の現状をここでは紹介しました。新卒で訪問看護師になる人はまだまだ少ないですが、これから増加していくと思われます。ここで紹介したことをぜひ参考にして興味ある人は訪問看護の世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。
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