看護アセスメントのコツは十分な情報収集と評価をするための知識

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#1800 2022/04/27UP
看護アセスメントのコツは十分な情報収集と評価をするための知識
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看護アセスメントのコツは「情報収集を十分に行えるか」「収集した情報を正しく評価できるか」この2点が重要です。
アセスメントをする際は、主観的情報・客観的情報を十分に収集し、集めた情報を統合・分析・評価をする必要があります。情報収集・評価をするためには、知識だけではなく、観察力や考察力も必要となります。

看護師が現場で看護を行う際に「患者さんに何をするか」ということを考える必要があります。言われたことをする・指示を出されたから行うだけでは看護とは言えないのです。
では、「看護をする」とは具体的に何をすればよいかと言いますと、「看護過程」に沿って考え・行動する必要があります。
看護過程とは、「アセスメント・診断・計画・介入・評価」の5つの段階を経る必要があります。この5つの過程全てがそろうことで看護を実践することが出来るのです。この中の「アセスメント」をする際に重要なことが、事前の情報収集と今後の予測です。アセスメントは患者さんの現状を正しく判断し、行動のための計画を立てる準備をしていきます。
アセスメントをする際の情報収集に役立つものが「SOAP」と呼ばれる看護における分析方法です。現場では看護記録を書く際に頻繁に用いられています。

S:Subject(主観的情報)患者さんの主観的情報。主に患者さんの発言から得られる情報です。例えば、「痛い」という発言、「夜眠れなかった」という訴えなど。
O:Object(客観的情報)患者さんの客観的情報。主に看護師が目で見て得る情報。例えば、痛そうな苦痛の表情をしている、血圧120/70など。
A:Assessment(アセスメント)主観的情報・客観的情報で得られた情報について全てを総合させて、情報の分析・評価を行います。
P:Plan(計画)アセスメントで行った分析結果から何をしなくてはいけないか計画を立てていきます。

上記でお伝えした通り、アセスメントをするためにはS情報である「主観的な情報」とO情報である「客観的な情報」が必要になってきます。この2つの情報が無いとアセスメントをすることが出来ません。

アセスメントをするときのコツは「情報収集を十分に行えるか」「収集した情報を正しく評価できるか」この2点が重要となってきます。

「情報収集を正しく行えるか」

情報収集が不足していると、患者さんの一部しか見えておらず、正しく評価が出来なくなってしまいます。
例えば、「手術後の患者さんが痛がっている」というS(主観的情報)があります。その情報だけで鎮痛薬を使用してしまうと、実は異常な出血が中で起こっており、血圧が下がっていて緊急の処置が必要だったという異常を見過ごしてしまう危険があります。この時にO(客観的情報)をしっかり収集出来ていると、創部の状態を観察・バイタルサインの確認などから異常であることを見つけられる可能性が高くなります。

「収集した情報を正しく評価できるか」

主観的情報・客観的情報を漏れなく収集できても、その情報を統合させることが出来なければ評価することが出来ません。先程の事例では、痛みの訴えを聞いて、一緒にバイタルサインの測定を行っていてもバイタルサインの正常値を知らなければ血圧の低下に気が付くことが出来ません。また血圧が低下する原因や対処方法が分かっていないと、その後の計画を立てることが出来ません。
バイタルサインの正常値、血圧が下がる原因、血圧が下がったときの対処方法を全て理解してアセスメントを正しく行い、SOAPのP(計画)を立てることが出来ます。

情報収集をするうえで必要な知識となってくるものが、看護理論になります。ヘンダーソンの「14の基本的欲求」、ゴードンの「11の機能的健康パターン」などいくつかの看護理論があります。現場では、病院によって使用されている看護理論が異なるため、考え方が少しずつ違う場合もあります。しかし、本質的な点は一緒であり、患者の全体像を理解することが重要です。
患者さんの身体的な面だけでなく、精神的・社会的な側面からも注意深く観察をしていく必要があります。先程の手術後の疼痛の事例では、「患者さんが痛いと言っていない」という主観的情報だけで判断してはいけません。痛みに強く「このくらいの痛みなら大丈夫」と考えて、「痛くない」と発言している場合や、「看護師さんの手を煩わせてはいけないから」という遠慮の想いから「痛くない」と発言をしている場合もあります。
表情では「苦痛の表情」をしていないか客観的な情報でも疼痛の程度を確認する必要があります。他には、食事が摂取できているか・睡眠が十分にできているかなど別の方面から患者さんを観察することでも評価をする材料を集めることが出来ます。痛くて食べられない・痛くて眠れないなどの行動が表れていないかなども重要な情報になります。
アセスメントをするためには、事前の情報を多面的に行う必要があり、看護理論に沿って情報を収集することが重要です。

収集した情報をアセスメントする際は、「情報を正しく理解するための知識」が重要になります。アセスメントをする際に必要な知識は、集めた情報を読み解く力・情報をまとめる力・今後を予測する力など様々な思考力が必要となってきます。

集めた情報を読み解く力では、様々な情報一つずつを考察していきます。
先程の事例では、「痛みを訴えている」ということは正常な状態なのか異常な状態なのか、異常な状態であれば何が原因である可能性が考えられるかを検討していく必要があります。
次にバイタルサインを測定した場合は、その結果が正常値なのか異常値なのか、異常値であれば、何が原因であるかを考察します。現場では考察すると同時に「計画」を立てる必要があります。もしバイタルサインを測定した際に血圧が低い場合は何が原因であるか考え、他にどのような項目を追加で観察しなくてはいけないのか・看護ケアは何をしなくてはいけないのか考えてすぐに観察・ケアをするなどの行動に移す必要があります。

情報をまとめる力では、主観的な情報である「痛みを訴えている」、客観的な情報である「バイタルサインは正常値」、「創部の状態は問題ない」などを総合して、術後の正常範囲内の疼痛であり鎮痛剤を使用した疼痛コントロールが必要であるというアセスメントを導き出します。
集めた情報一つずつでは、「疼痛」について正しく判断することが出来ません。主観的情報と客観的情報の両側面から患者さんを見ることで、今起こっている状態について正しく判断することが出来ます。そのため、必要な情報を選び出し、不足なくまとめることが必要になってきます。

最後の「今後を予測する力」では、集めた情報から現在の状態を判断し、今後を推測していく必要があります。そのためには、情報を判断する知識・今後を予測する知識・予測した結果への対処方法に関する知識が必要となってきます。
全ての知識が備わっていないと十分なアセスメントは出来ません。
評価をするためには、今見えている症状だけではなく、患者さんの背景・既往歴や現病歴・治療について・これまでに行ってきた看護介入内容とその介入に対する反応・評価など様々な角度から理解しておく必要があります。
予測が出来た後は、必要な看護介入を考えていく必要があります。医師への報告が必要か、介入が必要かどうかなど現在の状態から考察していきます。
そして、アセスメントで考察した内容をもとに計画を立案していきます。
SOAPでは、SやOが不十分であるとAは出来ないですし、Aが不十分であるとPも立案できません。看護介入では、一部が抜けると不完全なものになってしまうため、順に不足なく行うことが重要です。
アセスメントをするためには知識・観察する力・考察する力全てを総動員して行う必要があり、看護のかなめになる部分です。

まとめ

看護を行う際に重要なことは「看護過程に沿って考察・行動」することです。その中で、アセスメントは患者さんを多角的な面から観察をして情報収集を十分に行い、収集した情報から現在の状態・今後について推測を立てながら分析・評価を行う必要があります。評価をするためには、集めた情報を読み解く力・情報をまとめる力・今後を予測する力など様々な思考力が必要です。

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