実際に使えるアセスメントは二つあります。

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#1792 2022/04/19UP
実際に使えるアセスメントは二つあります。
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患者さんをアセスメントするときにみなさんは、全体像を捉えることができますか?何をやったらいいか?どうしたら上手く評価できるか?と悩むのではないでしょうか。こんな時にには一次評価と二次評価を覚えておくことでアセスメント能力は飛躍的にアップします。今回はその方法について記載したいと思います。

看護師の皆様、これから看護師になる皆様に対して是非覚えておいた方が良いアセスメント方法があります。患者さんの身体的不調を訴えたとき、容体が悪化したとき、最悪の場合ですが心停止に至ったとき、自分はどのように動けばいいのか、どんなアセスメントを行えば良いのかと不安に思うことがあると思います。そのような場面は医療現場で働いている以上、誰にでも起こる可能性があるのです。もしもの時にきちんとした学習を行っておくことは苦手意識を克服することにもつながりますし、大きな自信にもつながります。

私が紹介するのはAHA(アメリカ心臓協会)のBLS(一次救命処置)、ACLS(二次救命処置)のコースで行われている評価方法です。この方法は覚えるのも簡単ですし、緊急事態のときに落ち着いて一つ一つアセスメントができるツールにもなります。

まずは一次評価です。この評価はABCDEと覚えましょう。この時点で非常に簡単なことが想像できると思います。一つずつ順番に見ていきましょう。

①:A(Air Way)気道:

患者さんの呼吸状態を評価します。息は普通に吸えてますか?気道が閉塞したようなヒューヒューという音は聞こえませんか?咽頭は晴れてませんか?など気道にまつわることを確認します。

②:B(Breathing)呼吸:

呼吸の回数は正常ですか?早すぎませんか?遅すぎませんか?胸の上がり方は左右差がありますか?起座呼吸ではないですか?聴診してみて両肺の音は正常ですか?異音はないですか?など呼吸にまつわることを確認します。

③:C(Circulation)循環:

脈は正常ですか?60回/分以下の徐脈ではないですか?100回/分以上の頻脈ではないですか?血圧は正常ですか?低くないですか?高くないですか?皮膚の色はどうですか?蒼白、チアノーゼ、末梢の冷感などはないですか?など循環状態にまつわることを観察します。

④:D(Disability)神経学的評価:

瞳孔に左右さはないですか?消耗反射はありますか?AVPUの評価は大丈夫ですか?A(アラート)意識清明ですか?場所などを答えることはできますか?V(ボイス)発語はありますか?P(ペイン)痛み刺激に対して反応がありますか?U(アンレスポンシブ)反応はありますか?従命に従うことはできますか?など神経学的なものにまつわるものを観察していきます。

⑤:E(Exposure)全身観察:

全身状態をくまなく観察します。外傷はないですか?関節に変形はないですか?打撲跡や皮下出血などはありませんか?高齢者の場合はオムツ内などに出血などはみられませんか?など全身の状態にまつわることを観察していきます。
一次評価のABCDEはこのような手順でアセスメントしていきます。
症例:60歳男性山田さん。朝から調子が悪いと言って、家族と来院してきました。体温36.8脈拍40から50回/分血圧88/40
これを一次評価ABCDEを使用してアセスメントしていくと、
Ns:山田さんは朝から調子が悪いのか?何かあったのかな?ちょっと質問してみよう。「山田さん、今日はどうしたんですか?」
Pt:「ちょっと朝から目眩がして、動悸もするんです。」
Ns:声が出ているのでA:気道は大丈夫そうだ。酸素は足りてるかな?SpO2を測定してみよう。SpO2は96%。B:呼吸も苦しそうだし、呼吸回数が16回と多めだな。胸の音を聴いてみようかな?肺音に異常はなさそうだ。C:脈拍を測定してみよう。不整脈はなさそうだけど、徐脈だな。手のひらは少し汗をかいていて、指先に冷感もあるぞ。目眩もしているし動悸もあるみたいだ。血圧はどうかな?88/40と低めだな。D:神経学的所見を評価してみよう。Aは質問に対して明確に返答は得られているな。V発語も問題なさそうだ。P肺音を聴取するときに深呼吸を行えていたし刺激に対しての反応もあったな。Uはこちらの指示には従えているので神経学的評価に問題はなさそうだな。E:全身を観察してみよう。体温は正常だ、転倒した痕跡もなさそうだし、外傷は問題なさそうだ。ABCDEから考えて、目眩、冷汗、チアノーゼもあり動悸も持続している。脈拍は徐脈であることから症候性の徐脈による症状の悪化かな?循環器の先生にみてもらった方が良さそうだ。
っという感じでアセスメントすることができます。さらに患者さんの背景を詳しく知るためには2次アセスメントを行うともっと具体的になりますよ。
2次アセスメントはSAMPLE(サンプル)と覚えましょう。

①S(Signs And Symptoms)自他覚症状:

今の症状はどんな症状が持続していますか?家族や友人にもいつもはどんな状態の方ですか?こんな状態を見るのは初めてですか?いつから症状が出現していますか?など症状に対して具体的にいつからどのような症状なのかを尋ねると良いでしょう。

②A(Allergies)アレルギー:

食べ物やお薬に対してアレルギーがありますか?これを聞くことによって使用できる製剤を選択すことにもつながるのでしっかりと確認をしましょう。

③M(Medication)薬歴:

現在服用中の薬を確認します。かかりつけであれば電子カルテを有効に使用しましょう。初診の場合はお薬手帳や、実際に持っている内服薬を
確認することでその患者さんの疾患に対する情報を得ることにつながります。

④P(Past Medical History)病歴:

本人に病歴を聴取します。かなり古い疾患は選別し、現在かかっている疾患などを中心に尋ねていくと良いでしょう。電子カルテを有効活用し本人の意見をもとに聴取すると効果的です。また同席している家族や友人などに尋ねて情報収集することも大切です。

⑤L(Last Meal)最後の食事量:

最後に食事をしたのがいつなのか?またどのくらいの量を摂取したのかを尋ねておきましょう。急変した時の挿管や内視鏡による処置などの選択時に有効な情報になりますので忘れないようにしておきましょう。
⑥E(Events)イベント:ここ最近の状態を確認していきます。普段の生活において変わったことはなかったか?お薬などはきちんと服用できていたのか?など私生活において些細な変化の情報を収集していきましょう。
この二次評価SAMPLEを一次評価ABCDEと組み合わせることで患者さんの情報だけではなく、その背景にあるものが見えてきます。上記の例をあげてまとめていきましょう。
S:目眩があり動悸がする。朝からおさまらないから受診したとのこと。
A:アレルギーは本人に尋ねたところ特にないみたいだ。
M:抗血小板薬を内服している。
P:狭心症での手術歴がありステントを留置しているみたいだ。
L:気分が悪くて朝食は全く食べていない様子。
E:二週間前から症状はあったけど、いつものことだと思って様子を見ていたけど、今日は症状が改善されないから受診した。
既往歴から考えると心疾患による症状の増悪リスクが高いな。12誘導心電図や胸部レントゲンなどの検査も準備しておこう。っとなり診察する医師側からしても具体的に情報が得られているので診療をしっかりと補助できていることがわかりますね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?ABCDEとSAMPLEと簡単に覚えることができ、効果的な情報を正確に得ることができるツールであることがお分かりいただけたと思います。致命的な状態に至る8時間前より患者さんはバイタルに異常を示しているというエビデンスがあります。みなさんが適切な初期評価を行うことで助けられる命はたくさんあります。ぜひ活用してみてください。

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