看護師の転職で企業はアリ？おすすめ職種や志望理由を紹介

護師の定番の職場といえば病院です。とはいえ、勤務していて「夜勤が多く、身体的な負担がきつい」「激務で辛い」などと感じている人も多いのではないでしょうか。
看護師の職場は病院に限りません。企業でも看護師を求めているところはたくさんあります。
ここでは、看護師が活躍できる病院以外の職場と、そこで働くメリットなどについて説明します。
有利に企業に転職する方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

看護師の転職に企業がおすすめな理由6つ

看護師が企業に就職すると、基本的な扱いは社員と同じです。病院に勤務するケースと比べ、以下のメリットがあります。

日勤のみで夜勤がなく、規則正しい生活が送れる

土日祝日、年末年始、お盆などに休めるので、家族や友人と都合を合わせやすい
常に患者対応しているわけではないので体力的な負担が少なく、体を壊す心配がない
人の生死にかかわる緊迫した場面が少なく、精神的な負担が少ない
医務室など同じ職場内で働く人の数が少ないので、人間関係に気を使わずに済む
社員ひとりひとりと関わり健康管理の手伝いができるため、やりがいがある
企業で働けば、病院勤務の看護師が抱えがちな「夜勤や体力面の負担が辛い」「友人や家族と休みが合わない」などの悩みを持たずに済みます。

企業看護師の就職先①産業看護師｜業務内容は？

産業看護師とは、一般企業で会社員として採用され、医務室や健康管理室で働く看護師のことです。主な業務は以下の通りです。
健康診断の準備・実施健診の企画、準備、実施、健診結果の管理に関わる。健診時は採血や身長、体重の測定などのサポートをする。
社員の健康管理・保健指導健診結果をもとに産業医の指示に従って社員に指導を行う。
社員のメンタルヘルスケア社員の自殺やうつ病発症を防止するため、過労度やストレスチェックを行い、必要に応じて休養を助言するなど対策する。
体調不良者への対応社員の体調が悪くなったりケガをしたりした際、対応する
健康相談社員からの健康に関する相談に乗り、助言する。
業務のなかで大きな比重を占めるのが健康診断に関する一連の作業です。

健診の企画・実施だけでなく、まとめたデータをもとに社員に病院受診を促したり生活改善のアドバイスを行ったりします。
勤務先によって違いはありますが、企画書や報告書の作成などのデスクワークが多く、医療的処置を行うケースがあまりない職場も珍しくありません。

産業看護師の例：トヨタの企業看護師の業務や待遇
実際に産業看護師として働くケースを見ていきましょう。

企業名トヨタ生活協同組合
雇用形態日勤常勤
給与・賞与月給25万円 賞与年2回
勤務時間9:00～17:45
業務内容
トヨタ従業員の健康管理全般（体調管理、保健指導、健康チェック、メンタルヘルスケア、定期健診など）
事務業務が多め
備考残業ほぼなし、ブランク可、土日休み
日勤で残業もほぼなしの安定した職場です。プライベートと両立させながら働けます。

企業看護師の就職先②介護施設

介護施設には、特別養護老人ホームや介護老人保険施設、有料老人ホームなどさまざまな種類があります。
施設の種類によって業務内容に多少の違いはあるものの、看護師に求められる業務は入居者・サービス利用者の健康管理です。具体的には以下の業務を担います。

体温や脈拍、血圧の測定などのバイタルチェック
利用者が服用している薬の管理
感染予防対策の実施
口腔ケアや爪切りなど
看護記録の作成
医師の指示に基づく医療行為
入居者や利用者の介護は基本的に介護職員が行います。職場によっては食事や入浴の介助などのサポートをすることもあります。
介護職員やケアマネージャーなど充分に連携して業務にあたることが不可欠です。

企業看護師の就職先③保育施設

幼い子どもはケガも多く、急に熱を出すことも珍しくありません。そのようなとき、適切な対応と看護が必要です。
保育士も、子どもの傷病時の対応を学んではいますが、厚労省は保育施設に看護師を配置することを推奨しています。
設置基準でも「乳用児4人以上いる保育所では、1人に限り看護師を保育士として見なして算定できる」とされています。
このような流れを受け、看護師を採用する保育施設は増加傾向にあります。保育施設では次の業務を担当します。

ケガや体調不良への対応子どものケガや体調不良の対応をする。保護者への連絡や説明も行う。
アレルギーへの対応アレルギー児への対策、対応を行う。
感染予防インフルエンザやノロウイルスなどの感染症予防指導と、保護者への注意喚起などを行う。
健康診断の準備やサポート子どもの健康診断を準備、医師のサポート、記録や保護者への報告などを行う。
保育補助園児たちの保育の手助けをする。
保育施設では本格的な医療的処置をする機会はあまりありません。

企業看護師の就職先④イベントナース・ツアーナースなどのバイト

空いた時間に看護師資格を活かして働きたいのであれば、イベントナースやツアーナースも選択肢の1つです。

イベントナース
期間1日～数日 （日帰りが基本）
イベントの種類音楽フェス、コンサート、マラソン大会、スポーツイベントなど
業務内容イベント会場に設けられた救護室に待機し、ケガ人や体調不良者の発生に対応し、看護する。必要に応じ医療機関に連絡する。
ツアーナース
期間数日～数週間
ツアーの種類小中高等学校の宿泊行事、企業の宿泊研修、旅行会社企画のツアーなど
業務内容ケガ人や体調不良者の発生に対応し、看護する。医療機関にも連絡する。参加者の内服管理をすることもある。
医師がおらず、医療器具も充分にそろっていない環境で働くので、緊急時に対応できる冷静さと看護スキルが必要です。
イベントやツアーで必ずケガ人や体調不良者がでるわけではないので、何事もなく終わるケースもあります。

ほかにもある！看護師の珍しい仕事

看護師が活躍できる職場はまだまだあります。一部を紹介しましょう。

勤務先職種業務内容
医療機器メーカー、製薬会社、保険会社などコールセンター客からの医薬品や医療機器に関する問い合わせ、健康相談などに対応する
医療機器メーカーフィールドナース
クリニカルスペシャリスト

営業社員とともに医療施設などに出向き、医療器具や医療機器の紹介、使い方の説明など営業支援を行う
ホテル医務室スタッフ宿泊客のケガや急病に対応する
大型テーマパーク救護室スタッフ訪問客のケガや急病に対応する
おむつメーカーケアアドバイザー福祉施設、医療機関を訪問しスタッフに排泄ケア用品の紹介や使い方のアドバイスをする
このほか、献血ルームで採血を担当したり、看護専門学校で教員として働いたりする道もあります。

看護師で起業するならどんな事業？

看護師資格を活かし、起業して経営者になる道もあります。看護師の起業で多い事業は「訪問看護ステーション」です。

訪問看護ステーションは利用客のもとに出向いて看護ケアを行うため、広いスペースや各種設備を用意する必要がありません。
個人事業主では運営できないため、まずは会社を立ち上げ法人格を取得する必要があります。常勤換算で看護職員が最低2.5人必要です。
主な収入は介護報酬で、サービスを提供した翌月の10日までに請求すると、さらにその翌月下旬（自治体により日は異なる）に支払われます。
立ち上げから3カ月ほどは収入がないことを念頭に入れ、融資も利用するなどして充分に資金を用意しましょう。

ほかにも、医療施設を対象としたコンサルタント会社を興したり医療相談ができるコミュニティカフェを開設したりするケースもあります。

看護師が転職して企業へ！実際の志望理由まとめ

企業への転職を成功させるには、志望動機が重要なポイントです。
「病院の人間関係に疲れたから」「夜勤もあり激務に疲れたから、少しでも楽なところで働きたい」との理由から、転職を目指している人もいるでしょう。

それをそのまま素直に伝えてはいけません。企業側は社員として自社に貢献してくれる人材を求めているからです。
ネガティブな志望動機では「がんばって働いてくれそうにない」「楽したいだけなのか」と判断されかねません。その企業で働きたい理由をポジティブに伝える必要があります。
「自分が面接担当者なら採用したくなるだろうか」との視点から考えてみることが大切です。

以下に、職種別に志望理由をつくる際に注意したいポイントと例文とを紹介します。例文はそのまま使わず、自分の言葉でアレンジしましょう。

・産業看護師の志望理由
産業看護師を志望する理由をつくる際のポイントは次の2つです。

・病院ではなく企業で働きたい前向きな理由を伝える
同業他社ではなく、その企業でなければならない理由を明確にする
「ひとりひとりと丁寧に関わり健康をサポートしたいから」「病気の治療ではなく予防医療に携わりたい」など、病院ではなく企業を志望する前向きな理由を伝えることが大切です。
そのうえで、「メンタルヘルスケアを重視する御社なら理想の看護が実践できると思った」など、ほかではなく志望企業に入社したい具体的な理由も伝えると説得力が増します。

それでは、例文をみてみましょう。

内科に5年間勤めていますが、患者様の数が多く、ひとりひとりと丁寧に向き合う時間がないのが現状です。気になりながらも、退院後の様子を知ることもできません。
このような状況で働くうちにに、患者様ともっと関われる仕事がしたいと考えるようになりました。
御社は保健指導に力をいれていらっしゃると知り、社員ひとりひとりと向き合って健康管理がえきると考え、応募しました。
これまでの経験を活かし、社員の皆様が健康で働けるよう尽力したいと思います。

・介護施設で働く志望理由
介護施設を希望する場合の志望理由つくるポイントは以下のとおりです。

病院ではなく介護施設で働きたい前向きな理由を伝える
さまざまな介護施設の中から、その施設を選んだ具体的な理由も述べる
「以前から高齢者看護に興味があった」「ひとりひとりの個性を尊重した看護がしたいと考えたから」など、介護施設を志望する前向きな理由を伝えましょう。
さらに、看護師を募集している介護施設の中でも特にその施設を選んだ理由を述べることで、熱意と真剣さをアピールできます。

以下、例文をみていきましょう。

これまで整形外科に勤務し多くの高齢者の患者様の看護を担当してきましたが、入退院の繰り返しでじっくり関わることもできませんでした。
高齢者の方と信頼関係を築き、健康に過ごせるようサポートできればと思い、介護施設への転職を決めました。
貴施設では利用者の方が健康に過ごせることを重視し、真心をこめたサービスの提供を理念とされていることから、やりたい看護が実践できるのではと考えております。
これまでの病院勤務での経験を活かし、介護士の方とも連携をとって働きたいと考えています。

・保育施設で働く志望理由
保育施設への志望理由をつくるポイントは以下の2つです。

保育施設を希望する説得力のある理由を述べる
子どもの健康維持のために活かせるスキルや経験をアピールする
シンプルに「子どもが好きだから」が理由の人もいるでしょう。とはいえ、それだけではほかの応募者と差別化できません。
「以前より小児看護に興味があった」「小児科勤務の経験を活かせる仕事をしたい」など、前向きで意欲あふれる理由にすることが大切です。

こんな記事/動画も見られています

こちらの本が読まれています