看護師としてのアセスメントのコツ

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#1769 2022/03/27UP
看護師としてのアセスメントのコツ
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看護師として働きたい、働いている人に対して、普段から意識するだけで身につくアセスメント能力について話をしたいと思います。治療は医師が行うものですが。医療はチームとして行うものです。患者さんを中心に考え、素早く先を読んだ行動を行うことために、全体像をとらえるアセスメント能力必須です。

看護師として働くなら、医療ドラマや映画などで描かれている高度救命救急センターや集中治療室(ICU)での勤務に憧れている人も多くいるのではないでしょうか。病院によってさまざまですが、東京都の大学病院などは経験がなくても高度救命救急センターやICUに配属になるケースもあったり、経験が3年以上ないと配属にならない病院も見られます。
実際に私は高度救命救急センターの看護師として働いていますが、実際に配属になった後に挫折しないように今から身に着けておくアセスメントのコツを今回は記事にしていきたいと思います。

その前に高度救命救急センターやICUのイメージと実際が8割くらい違うことを認識しておく必要があります。映画やドラマで描かれている華麗で、かっこいい職場では決してありません。
期待しておくと実際に配属になったときにイメージと違う、思ったよりきつい。給料が安いなどで退職する方がほとんどです。高度救命救急センターは1次2次救急、心肺停止状態で搬送される3次救急があります。
もちろん初期治療で自宅に帰れる患者は帰宅します。
意識不明や重症度が高く、一般の集中治療室に搬送するまでの状況に至っていない場合高度救命救急センター内のICUで1日ないし7日間くらい様子をみて、バイタルが安定したら一般のICUに搬送という形をとることが多いです。
勿論、重症度が高い患者さんが治療を行う場所であるため、意識がある患者はほとんどいません。患者が意識を取り戻すのは高度救命救急センター内ではなく、一般のICUです。そこで状態が落ち着いたら、一般病床に移動になります。
そこからリハビリや手術などを受けて、自宅に帰宅することになります。回復した患者は自分が、搬送された経由も覚えていませんし、あとから家族、医師、看護師に状況を聞いて記憶をすりこまれるような感じです。
ICUや病棟にスタッフにはお世話になった感謝を伝える方が多く、その言葉をやりがいとして看護師のコメント欄に書いたりする看護師も多いですが、高度救命救急センター内で意識を取り戻すことはあまりありませんし、1日ないし7日程度しか滞在しませんので感謝の気持ちを伝えられることも少ないです。まさに縁の下の力持ち的なイメージです。

医療ドラマや映画では高度救命救急センターで意識を取り戻したり、患者や医療者との関係性でドラマがうまれたり、ICUを出たあと退院時に高度救命救急センターにお礼を言いにきたりなどの場面がみられますが、ほとんどそんなことはありません。また重症度が高い患者を看護するので、輸液ポンプ5台以上、シリンジポンプ5台以上の人工呼吸器に繋がれ管理されている状態も多く、やることも多いですし、薬剤自体もバイタルに大きく変動するようなものを使用しています。
その為、時間指示ではなく分単位での指示が多いため、精神的なストレスも多く、夜眠れない、ご飯が食べれないなどの状況も多々あります。このことを自分自身の生活に照らし合わせても看護師として高度救命救急センター、ICU配属を望むなら配属先を希望してもいいと思います。

さて、アセスメントについてですが、コツは患者の全体像をとらえることです。簡単に思えるようですが、これが出来ない看護師が多く現場ではいます。今コロナウイルス感染症流行に伴い、一般の病院でも患者を管理する必要性に迫られている話をよく聞きます。

例えばの話ですが、医師の指示でSpO2:94%以下で酸素3Lから投与。と電子カルテに記載していると、看護師のアセスメントにSpO2の低下に注意して観察していく。などの記載が書いてます。この例は一部分しか着目しておらず、指示以外の観察が出来ていない可能性があります。このような指示が出た場合は、SpO2に着目するのではなく患者の呼吸状態の変動に注意して観察していくが正しいアセスメントになります。
その全体像をとらえる習慣を普段からつけておく練習をしていないと、医師の指示にだけ着目する看護師になり、患者の異常早期発見につながりにくくなります。日々訓練することで全体像をとらえる観察力が付くようになります。看護師を目指している方には難しいように思えますが、一次救急の講習会などに参加して勉強することをお勧めします。
一次救命処置(BLS)コースがアメリカ心臓協会主催で行われています。アメリカ心臓協会とは世界で使われている救急蘇生法のマニュアルを5年ごとに改訂し掲示している団体で、蘇生化学のエビデンスに基づいた内容になっています。
このBLSコースは一般の方から、看護学生、看護師資格をもつ医療従事者も受講することが出来ます。しかし二次救命処置(ACLS)は医療資格をもった人でなければ受講できない専門性が高いものになります。
まずはBLSコースを受講して、患者の全体像をとらえる訓練を行うことをお勧めします。
このコースでは傷病者を発見→周囲の安全確認→意識レベルの確認→応援要請→脈と呼吸の確認方法→胸骨圧迫の流れをエビデンスに基づき繰り返し訓練を行っていきます。私がアメリカ心臓協会のコースをお勧めするのは、手技を教えてくれることはもちろんなのですが、デブリーフィングをしっかり実施してくれることです。他のコースでも同様の内容はよくあるのですが、ほとんどがティーチングでインストラクターが指示的な関りを行います。
これでは、その場で出来るようになるのですが、なぜこうなるんだろう、どうやったら患者さんの救命率が高くなるんだろうと自分が行う行動に対し、アセスメントすることを意識しなくなります。これでは、全く同じ症例が来た場合は良いでしょうが、違う症例の患者さんが来た時には対応できなくなる恐れがあります。医療は一人で行うものではありません。必ずチームとして介入します。
患者さんの身体に今、どのような異常が起こっているのか、緊急性の高い状態からどう介入すれば緊急性を下げることが出来るのかを常に考えることが重要なのです。さばける看護師は状況を迅速に判断し、的確な医療資材や医師のサポートを行います。
経験があるからというのも、もちろんですが、彼ら彼女らは、経験だけでなく患者さんの状態をしっかりとアセスメントしながら先を読んだ行動を行っています。つまりアセスメント能力に長けているのです。
その為には搬送された患者が誰なのか?どのような状況で搬送にいたったのか、目撃者や周囲の情報を確認し、本人が訴えている主訴と他覚的観察が一致するのかなどもアナムネで聴取します。またアレルギーの既往や、内服している薬剤(バイタルに異常を来たすような薬剤を使用していないか、血小板を阻害する服薬がないか)や既往歴(患者、カルテ、家族)、最後にどのくらい飲食をとったのか、また何時間前が最終飲食なのか、搬送される数週間前や1月以上前に普段の生活において変わったことはなかったかなども聞いて、そこからチームとして患者のどの部分に異常な状態が存在しているのかをアセスメントします。
このトレーニングは普段から患者さんを診る時に、全体像を意識して観察することで自然と身に着けることが出来ます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。患者さんをアセスメントするコツが少し理解できたのではないでしょうか。実習や病院での看護においても全体像をとらえる訓練をすることで、状況の把握が出来、早期異常の発見や確定診断に繋がる有力な情報を収集することが出来ます。言われたことだけをするのではなく、医療者として一人の患者にたいしてチームの一員として加わる姿勢が大切です。

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