これから大学病院へ入職するという方もたくさんいると思います。大学病院は最先端の医療を経験できたり、研修が充実していたりとメリットもたくさんあります。しかし、離職していく新人看護師も毎年一定数いるのも事実です。新人看護師として大学病院で働くうえで、私が大切にしていた心構え5つについてお伝えするので、1年目を乗り越える方法の参考にしてください。
1.大学病院への就職のメリットとデメリット
新卒で大学病院に就職するという方は多いと思います。新卒で大学病院を選ぶ理由の一つに、「経験たくさん積める」、「バリバリ働く看護師になりたい」という理由を挙げる方が多くいると思います。これらの動機はもちろん素晴らしいですし、大学病院で働くことのメリットとして、以下の点が挙げられると思います。
・様々な症例の患者と出会える
・研修制度が充実しており学習機会が多い
・最新の機器を導入しているため、最先端の医療現場を経験できる
しかし、大学病院は以下のようなデメリットもあり、燃え尽き症候群や先輩看護師との関係性への悩み、スピード感についていくことが出来ないという理由で退職していく新人看護師が一定数いることも事実です。
・入退院の入れ替わりや急患が多く多忙
・検査や処置の種類が多く、学習が大変
・研修や勉強会のための課題や自己学習に追われる
・スタッフの人数が多いため人間関係に悩みやすい
2.新人看護師時代に大事にしていたこと
私は日々多忙だなと思いながらも、1年目を楽しく乗り切ることができたと思うので、大事にしていた心構え5か条をお伝えしたいと思います。
1)新人だからできないことやわからないことばかりでもしょうがないと割り切る
2)シフト制の勤務に感謝する
3)相談できる人を見つける
4)同期と比べない
5)万全の準備をする
一見すると当たり前のことばかりなのですが、この5つを意識するだけでかなり精神的に楽になるので、新人看護師で精神的につらいと思っている方やこれから入職する方が楽しく働くことが出来るようそれぞれを掘り下げていきたいと思います。
1)新人だからできないことやわからないことばかりでもしょうがないと割り切る
「こんなこと当たり前!」と思う方も多くいると思いますが、私はこれを一番大切にしていました。これは「できない」や「わからない」を新人であることを理由にしょうがないと諦めるという意味ではありません。私は、「新人だから」と割り切って、積極的に質問をしに行く動機付けにしていました。現場にいると、先輩たちもみんな忙しそうに働いているので、声をかけるタイミングがなかなか難しかったりします。実習でも、「いつ声かけよう、、、」と思った経験を皆さんしていると思いますが、入職すると毎日がその状況の連続です。遠慮しているとタイミングを逃し続け、「もっと早く声かけて」と言われてしまうこともあります。「自分は新人なんだからしょうがない。今聞けば、次から聞かなくてもできることが一つ増える。よし、行こう。」と、頭の中の自分と何回もこの会話をし、声をかけるのを怯む自分を鼓舞していました。はじめは自分から声をかけに行くのは勇気が必要だったり、ドキドキしたりすると思います。しかし、これを続けていると、徐々に「あの子はわからないことがあると必ず危機にくる」と認識してもらえるため、信頼関係も築きやすく、先輩が目を光らせて私のことを見ているということも減っていきます。
2)シフト制の勤務に感謝する
新人時代含め、私たちは人間なのでやはり相性の合う・合わないはあります。新人には言い方がきつい先輩やきちんと指導してくれない先輩、自分のことでキャパオーバーになる先輩など様々なタイプの人がいます。しかし、看護師はシフト勤務なので1か月毎日その人と勤務が被るということは稀だと思います。苦手な先輩がリーダーで報告をしないといけない日やフォローについてもらう日は、朝から憂鬱になりがちですが、「シフト制で良かったー。毎日だと無理だけど、今日だけだから頑張ろう。」と自分を励まして、憂鬱な気持ちを引きずらないようにしましょう。指導を受けたことも理不尽だなと思うことは、頭の片隅にとどめておく程度か、忘れてしまって構いません。嫌だったことを長く考えるより、次の勤務までに気持ちを切り替える努力をしましょう。
3)相談できる人を見つける
これは1年間乗り切るという意味でとても大切です。私が1年目の時、病棟師長から「同期は宝だからね。」と言われました。言われて時は「へー」くらいいしか思っていませんでしたが、本当に同期は宝です。同じ病棟だからこそ分かり合える人間関係の悩みや、仕事を効率よくこなす方法など相談できることがたくさんあります。そして、これは私の経験談ですが、自分が悩むことはたいてい同期も近しい時期に悩みます。一足先に悩みから脱出した同期にどう対処したのか聞くと思いがけない方法や案が返ってきたりするので、皆さんも同期とのつながりは大切にしてくださいね。
また、大学病院だとプリセプターとその上にアソシエイトが付くことが多いと思います。私は、勉強面や技術だけでなく、夜勤前の過ごし方や先輩への報告の仕方など仕事のことでわからないことは全てプリセプターに聞いていました。私自身プリセプターを2年連続でしているのですが、自分のプリセプティには不思議と情が湧くので、どんなに些細なことでも聞いて大丈夫です。特にプリセプターは経験年数や年齢が近いことが多いと思うので、経験談を交えながらアドバイスをくれることが多いです。同期とプリセプター、アソシエイトと信頼関係を築けていると、「今日は気軽に相談をできる人が一人もいない!」という孤独な勤務日が激減するので、精神的にかなり楽になります。
4)同期と比べない
大学病院は同じ病棟に4~5人程度で配属されることが多いと思います。3か月程度経つと、先輩から「え?これまだ自立してないの?もうみんな自立してるよ」なんて言われて焦ることが出てきます。しかし、ここで思い出してほしいのが看護師はシフト制ということです。自分の勤務日に処置や検査、手術が被っていないと経験を積むことは難しいです。対象がいなくて経験できていないのであれば、それはどうしようもないことなので、同期の自立項目と比べて自信を無くさないでほしいです。休まず出勤していると、必ず経験するタイミングは来ます。ただ、1年目だと病棟全体の検査内容を把握したりするのは難しいので、私はプリセプターにお願いして、経験させてほしいことリストを院内メールで先輩たちに送ってもらっていました。
5)万全の準備をする
私は、手先がかなり不器用なタイプの人です。そのため、採血や導尿など看護技術一つ一つの習得に時間がかかる傾向にありました。ないものねだりで何度も器用になりたいなと思いましたが、不器用なりにどうすれば早く習得できるのかを考えた結果、「誰よりも入念に準備する」に行きつきました。技術習得の準備だと、根拠等を事前学習する際に、物品の配置、患者への声掛けを一人でイメージトレーニングしてから、実践という過程を毎回行っていました。そうすると、うまくできないときの改善点を見つけやすくなるので、自分を不器用だと感じる方はイメージトレーニングをぜひ取り入れてみてほしいです。
そして、もう一つ行っていたのが「心の準備」です。あらかじめ未経験のことがあるとわかっている勤務日やフォローの先輩が苦手な人の日などは前の日の夜に「どう明日を乗り切るか」を考えていました。ついつい怒られているところやうまくできない場面をイメージしてしまう人も多いと思いますが、私はなるべく自分がハッピーな気分で仕事に迎えるようポジティブな想像をすることを心がけていました。ポジティブになるように想像すると、自分がどのように行動すればいいかが見えてくるので、それを試してみるということをやっていました。そして、うまくいかなかったら、次回別のアプローチをするなど一人でトライ&エラーを繰り返し、いわゆるお局と言われる人の攻略法を模索しました。
3.最後に
私が、新人看護師時代に大切にしていた心構え5か条についてお伝えしてきましたが、簡単にまとめると1年目は精神面の波を乗り越える工夫が重要です。技術やアセスメント力に不足を感じ、落ち込んだり自信喪失したりすることが多いかと思いますが、休まず出勤して先輩に言われたことをきちんとやっていると、必ず看護の力はついてきます。自分の心をうまく安定させながら、看護の魅力だけでなく、チームで働くことの楽しさも知ることができると、新人看護師時代を乗り越えることができると思います。これから、大学病院へ入職するみなさん、時にはラフに物事を捉え頑張ってくださいね。原因も半分あることを認識します。そしてその反省を大いに活かしたいですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。新人時代はつい技術面やアセスメント面に意識が行きがちですが、本当に大事なのは自分自身のマインドコントロールだったりします。楽しいと思って仕事に行くことが出来ると、辛いと思っているときよりも知識や技術の吸収が速くなるので、まずは楽しんで働ける方法を自分なりに模索してみましょう。入職を決めるときに抱いた「こんな看護師になりたい」という理想の看護師像を忘れずに、新人時代を乗り越えられるよう願っています。
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