医療クラークは医師や看護部長の秘書的な役割を果たす職種で、医療用語や知識は必要になるものの、基本的にはデスクワークやサポート業務が多いです。
看護師資格を生かしながら、自分に向いた職種で働くことができれば、良いですよね。そこで今日は、看護師が医療クラークへ転職するメリットと、そのポイントまでお伝えします。
看護師から医療クラークへ☆
転職のポイントとメリット
「医療クラーク」の仕事内容
家族までサポート
1.医療クラークとは?
医療機関の診療業務では、多くの文書作成や事務処理が必要となります。カルテの作成はもちろんのこと、検査結果の説明文書や診断書、病室の手配、他院への紹介状作成など、その事務業務は多岐にわたります。
このような文書作成やその他の事務業務を、医師の指示のもとで補助する専門職が「医療クラーク」です。毎日、膨大な人数の患者さんを相手にする医師のかたわらで、その診療業務が円滑に行えるようにサポートする、各医療機関になくてはならない職種です。
2.主な仕事内容は?
医師の事務業務のサポートと一言で言っても、具体的にはどのような仕事をするのでしょうか。ここでは大きく4つに分けてみました。詳しく見ていきましょう。
医療に関する文書作成の代行
・医師が診断した際の、診断書や処方箋などの代行作成
・患者さんの診療、入院、手術などの予約
・入院に必要な手続きや、患者さん及びご家族への説明
・各種保険の証明書などの作成代行
カルテなどの代行入力
・医師が診断した際の、カルテの記載代行
・電子カルテの入力代行
医療サービスの質を高めるためのサポート
・患者さんの治療や診療に関するデータの管理、整理
・院内における、がん登録などの統計作成や調査
・院内会議の資料の作成、議事録の作成
行政上の業務
・救急医療情報システムの入力業務
・感染症サーベイランス(感染症の予防に役立てるシステム)に関する入力業務など
上記4つの業務を、医師の指示のもとで行うことができるのが医療クラークです。
あくまでも医師の指示のもとで事務作業のサポートや代行を行うことによって、医師の負担を減らし、診察や治療に専念できる環境を作ることが医療クラークの業務となっています。
3.外来クラーク・病棟クラークとは
医療クラークの仕事内容は、「外来クラーク」と「病棟クラーク」に分けられます。
「外来クラーク」は、その名の通り外来診療に伴う事務業務を担います。ここでいう「外来」とは、クリニックや病院などの医療機関に、外から通院してきた患者さんのことを指します。そのような外来患者さんにおける、医療文書作成の補助やカルテの代行入力、次回の通院についての案内、急な検査の案内などの業務が外来クラークの業務です。
一方で、「病棟クラーク」は主に入院している患者さんに関する事務業務を専門的に行うスタッフを指します。入院患者さんの医療文書の作成や入退院の手続きや管理、転院時の紹介状送付などの業務を行います。また、会計処理や検査科やリハビリテーション科などの他科との情報伝達が仕事内容に含まれる場合もあります。
4.医療クラークと医療事務の違いは?
医療クラークとならんで、医療機関になくてはならない職業として「医療事務」があります。「医療事務」と「医療クラーク」。どちらも、事務業務で医療機関を陰から支える職業です。では、このふたつの職業の違いはどういった部分にあるのでしょうか。
医療クラークの仕事は、ナースステーションなどで患者さんの入院手続きをしたり、カルテの代行入力や整理をしたりすることです。主に医師の事務サポートが業務にあたります。一方で、医療事務の主な職場は受付窓口になります。来院した患者さんの受付や、診察費の受け取り、明細書(レセプト)の作成などがメイン業務となるでしょう。
医療事務と医療クラークの仕事内容は近しい部分がありますが、基本的には医療事務は受付窓口の業務を、医療クラークはナースステーションなどで医師のサポートを行います。
医療クラークは冒頭でお伝えしたように、医師や看護部長の「秘書」のような役割で、スケジュール調整や書類の管理、必要資料の作成や管理の他、来客対応や電話対応までさまざまながら、主に事務仕事です。
ただし「医療クラーク」と言っても、仕事内容はどこ(誰)のサポートを行うか…、職場(役職)によって違いがあります。
【 看護師から医療クラークへ転職☆役職の違い 】
・ 院長クラーク
・ 医局クラーク
・ 看護部長クラーク
… 職場によっては医療事務と同じような仕事内容ながら、医師や院長のサポートに就いた場合には、海外の文献を調べたり資料にする…、翻訳するなど、英語能力を求められる職場も多いです。
大学病院からの求人案件が多いため、優秀な医療クラークとして採用された場合には、学会などへの同行を求められるケースも多々あります。
医療クラークに求められる知識や技術
プロに相談
看護師のなかでも医療クラークは転職するのに人気の高い職種ですが、主に大学病院や、そうでなくても規模の大きな病院からの求人がほとんどなので、その分求人案件は少ない傾向にあります。
基本的には多忙な医師や院長、看護師部長などがスムーズに自分の仕事を進めるためのサポート、秘書業務ですが、病棟クラーク(病棟付きの役職)などは、医療事務と仕事内容が重なります。
【 看護師から医療クラークへ転職☆資格 】
★ 本来はその資格がなくとも働くことはできますが、入職する際には多くが「医師事務作業補助技能」の認定試験を受けます。
・ 「医師事務作業補助技能」試験の受験資格に、32時間以上の「基礎知識習得研修」を含めた六ヶ月以上の実務経験が必要です。
…ただし教育訓練などで認定校によるカリキュラムをこなした場合も、受験資格を得ます。
試験は毎年奇数月の6回行われ、その内容は医療クラークに必要な基礎知識を問う学科試験と、医療文書を作成する筆記系の実務試験です。
医療クラークへの転職がおすすめの人
看護師の転職成功☆後々後悔しない7つのポイント
看護師が医療クラークへ転職を検討しているなら、職場は同じでも仕事内容が大幅に違う点は理解しておくと、転職後に後悔せずに済みます。
看護師は主に患者様に対応する仕事内容ですが、医療クラークは事務職なので、デスクワークです。
なかには「患者様とのコミュニケーションが苦手」「急な対応に順応しきれない…」などの悩みを抱えた看護師が、医療クラークへ転職して成功しています。
【 看護師から医療クラークへ転職☆おすすめする人の例 】
① 臨床よりも事務作業がメインの仕事がしたい人
… 看護師にコミュニケーションは不可欠です。対人対応が苦手な看護師であれば、医療クラークは事務作業がメインなのでおすすめです。
反対に臨床でイキイキと仕事ができたタイプの看護師が医療クラークへの転職を検討する場合には、「長時間の事務作業ができるかどうか…」を、冷静に自己分析してから、転職活動を進めることをおすすめします。
② 自分のペースで仕事が進められる人
… 看護師が働く職場は多くの人々との「チームワーク」が重要ですが、医療クラークはそもそも人数が少ない傾向にあります。
どちらかと言えば、「自分のペースで仕事をこなしたい!」と言う看護師には医療クラークへの転職はおすすめですが、チームワークを得意としてきた看護師にとっては、その能力を発揮しきれないかもしれません。
看護師が医療クラークへ転職する「注意点」
採用者側は「看護師の履歴書」に何を見る?
前項で少し触れましたが、現場で働く看護師とデスクワークがメインの医療クラークでは、その仕事の性質も職場の雰囲気も全く異なります。
看護師による医療クラークへの転職理由(本音)で、しばしば見受けられるものに、「人間関係」は意外と多くありますが、ここでも注意をしてください。
【 看護師から医療クラークへ転職☆人間関係 】
★ 「医療クラークだと人数も少なく、仕事がしやすそう」と転職を決める看護師もいますが、「少ないからこそ」難しい側面もあります。
・ 医療クラークは「秘書」のような役割ですから、担当する医師などと相性が悪い場合には、大勢のチームで動く看護師時代よりも、さらに複雑です。
このような二人や三人など、少ない人数での人間関係のトラブル回避策として、ひとつは「一定の距離感を保つ」方法があります。
ただこのような対策を取ると、一方で前職よりもより、「孤独」を感じる看護師(医療クラーク)も少なくありません。
一方で、「マイペースに仕事をこなすことができる」メリットもありますし、「少ない人数の方が良い人間関係を築きやすい」と言う看護師もいますので、こちらも自分の個性を冷静に分析することがポイントです。
★ また、看護師が同じ医療クラークへ転職したとしても、前述したように「病棟クラーク」などであれば、看護師も交えた賑やかな職場で仕事ができるかもしれません。
看護師から医療クラークへ転職する方法
看護師の面接
看護師から医療クラークへの転職を希望する人は多い一方、大学病院や大きな病院からの求人が主な職種であることから、求人案件自体はあまり多くはありません。
そのためにたまに求人が出ても、取り合いになってしまう時期も多いです。最も求人案件の多い時期は、4月と9月ですので、この時期を狙った転職活動をしてみてはいかがでしょうか。
【 看護師から医療クラークへ☆転職方法 】
★ ナースステーションなどの方法もありますが、絶対的な情報量が少ないため、看護師転職サイトを利用して、いくつかの看護師専門の転職エージェントに登録する方法が便利です。
・ 複数のエージェントに登録した後、看護師転職サイトの「非公開求人」をチェックしてください。「非公開」なのでより競争率も低くなります。
看護師資格は知識や経験から、医療クラークへ転職するには役立つ資格ですが、事務的な能力を証明しきれません。
そのために転職活動中に資格を取り、アピールをする看護師も見受けられます。
【 看護師から医療クラークへ☆転職に役立つ資格 】
① MOS資格(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
※ WORDやEXELなどの事務系のソフトを使いこなせることを、証明する資格です。事務系の仕事には必須です。
② 医療事務
③ 秘書検定 準一級
…などなどがあります。特に一度退職した看護師に多く、この場合には職業訓練などを利用して無料で取得する方も多いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか、今日は近年看護師に人気が高い医療クラークへの転職(キャリアチェンジ)についてお伝えしました。
看護師にとって事務系の医療クラークは、転職をすることで、現職よりも夜勤や休日出勤が少なくなったり、残業も以前ほど多くなくなるなど…、ワークライフバランスが整う点が魅力です。
同じく人気が高い製薬会社への転職などに比べて、より敷居が低いイメージがある点も人気の理由かもしれません。
看護師のなかでも少ない人数の職場が好きなタイプや、長時間のデスクワークを苦としない方々に向いています。
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