学生時代、「手術室看護師」について、どれくらい教えてもらいましたか?
きっとほとんどの人が、「ほぼゼロ」か、もしくはそれに近い回答をするのではないでしょうか。
今回はそんな、「手術室看護師」になるためには、どんな勉強が必要か、また手術室看護師のメリット・デメリットについて、実際に手術室看護師として働いていた経験をもとに、ご紹介します。
まず、「手術室看護師」には大きく2つの役割があります。
「器械出し看護師」と「外回り看護師」です。
「器械出し看護師」は、その名の通り手術器械を管理・整理して、直接的に手術を介助する看護師です。
「直接介助」と呼ばれることもあります。
「外回り看護師」は、主に患者さんの身体的ケアや、不足物品の準備、麻酔科医のアシスタントなど、
患者さんの合併症予防や術野の進行に応じて介助をする看護師です。
間接的に術野の介助を行うため、「間接介助」と呼ばれることもあります。
今回ご紹介する勉強方法は、この2つの役割を身に付けるために、わたしが実践していたものです。
是非、参考にしてみてください。
最初に、手術室看護師になる方法です。
どうすれば手術室看護師になれるのかというと、特にこれといった条件はありません。
極端なことを言えば、看護師免許の取得ができれば誰でもなれます。
ということは、「看護師」を目指せば、誰でも目指すことができるということです。
では、どんな勉強をすればいいのでしょう。
早速、紹介しちゃいます。
①教えてもらったことメモする
②思い出しながらレポート作成
③実践する
④実践を踏まえてレポートに追加・訂正
⑤分からないことはすぐに聞く
(以降、③・④・⑤の繰り返し)
これです。
手術室に配属されて、すぐに1人で業務を行うことは、まずありません。
どの業務をするにも、必ず先輩に教えてもらうことになります。
多数いるスタッフとの連携が重要な手術室では、右も左も分からない人を
一人で業務させることはとても危険なことだからです。
そこでまず、【①教えてもらったことをメモする】です。
先輩から教えてもらったことを必ずメモします。この段階ではきれいに書く必要はありません。自分が後から見返して分かる程度の走り書きでいいです。一番重要なのは「聞くこと」です。メモはあくまで忘れないための補助だと思って下さい。
その後、【②思い出しながら整理する】です。
メモをもとに教えてもらったことを思い出しながら整理します。ノートや紙にきれいに書き直すでもよいですが、わたしはWordでまとめていました理由は、後から追加や訂正が簡単にできるからです。とにかく、「思い出す」ことが重要です。この作業は、教えてもらった日に実行することをおススメします。
そして【③実践する】です。
①②を経て、いざ実践するときが必ず訪れます。このとき、余裕があれば作成したレポートを確認しながら実践してよいでしょう。しかし、わたしの経験上、手術室ではそんな暇はありませんでした。一人の手が止まれば、全体の動きに影響が出てしまうことがほとんどです。なので、レポートを頭に叩き込んで実勢に挑む形がベストになります。
実践を終えたのち、【④実践を踏まえてレポートに追加・訂正】です。
まず、初めての実践で完璧にできる人はほとんどいないと思います。また、先輩に見守られながら、アドバイスをもらいながら実践することになるはずです。そこでもらったアドバイスや自分が苦手だと思ったことを、レポートに追加したり、もし間違ったことを書いている場合は訂正をします。実践後に大事なことは、「何ができていなかったか」を理解することです。
そして最後に、【⑤分からないことはすぐに聞く】です。
実践後、やってみて分かる「分からない」があるはずです。いわゆる「根拠」というやつです。学生時代に散々言われたであろう「根拠」です。なぜこれを使うのか、なぜこのやり方なのか、なぜ?なぜ?…技術の一つ一つには必ずそうするべき理由があります。「分からない」ことは悪いことではありません。むしろ気付くことは良いことです。
しかし、「分からない」ことをそのままにすることは、よくありません。チームにとっても患者さんにとっても、危険です。
また、「分からない」は経験年数があがるごとに言い辛くなっていきます。きちんと確認したり、発言する習慣付けをすることもできます。
その後、③・④・⑤を繰り返していくことで、徐々に知識・技術が身についていきます。
ネットで「手術室看護師 勉強」調べると、解剖生理学や感染予防学などの項目が出てくるはずです。
実際、これらの知識ももちろん必要不可欠です。
しかしこれらは、症例を経験していくうちに手を付けるべきタイミングがありますし、
これらの勉強は学生時代のやり方とあまり変わりません。
手術器械についてはどうなの?と思う人もいるかもしれませんが、器械こそ反復です。血管を処理するときに使う器具、ハサミの使い分けなどは経験が必要です。実践して復習、また実践して復習…の繰り返し、場数が重要なのです。
しかし、場数だけが増えても、理解できなければ意味がありません。
その他の技術・業務も同じです。
ただの経験でなく、いかに自分の能力にしていけるか、そのために何をすればいいか。
そう考えたとき、ご紹介した①~⑤の必要性も分かっていただけるのではないかと思います。
ここからは、手術室看護師のメリット・デメリットを紹介したいと思います。
まずは、メリットを見ていきましょう。ここでは、3つのメリットをご紹介します。
・いろんな診療科の知識がつく
手術室看護師は、いろいろな診療科の手術を経験します。各症例ごとに、病態や症状、術式や合併症など、一通り勉強することになります。そのため、その病院が扱っている各外科の知識はある程度、網羅することができます。
この知識は、病棟へ異動になったときも患者さんのアセスメントには重要な知識になります。
・多職種と一緒に働ける
手術室では、看護師以外の職種が多数います。医師・臨床工学技士・放射線技師・ケアアシスタントなどです。
医師は、各外科医や麻酔科医が常にいますし、必要時には内科医がいることもあります。
心臓手術の場合は、人工心肺を扱う臨床工学技士がいます。
このように、近いところで多職種と一緒に働けるのは、手術室ならではだと思います。
・一人の患者さんに集中できる
これは、わたしが実際に手術室看護師として働いているときに、よく思っていたことです。
病棟では何人もの患者さんがいて、次々に対応をしていかなければなりません。
しかし手術室では、そんなことはありません。何人も受け持つことは物理的に不可能です。
そのため、1人の患者さんの手術に対して、全集中することができます。
次にデメリットです。デメリットは2つ、ご紹介します。
・患者さんと関わる時間が短い
これは仕方がないのですが、どうしても患者さんと関わる時間が短くなってしまいます。
患者さんは手術室にくると、すぐに麻酔で眠ってしまいますし、手術が終われば病棟へ帰ってしまいます。
術前や術後の病室を訪ねることもありますが、挨拶や確認で終わることがほとんどです。
しかし、患者さんの人生にとって大きなイベントとなる「手術」に携わることができます。
これは手術室看護師でなければ、難しいことです。時間は短いですが、密度は限りなく濃いのではないでしょうか。
・オンコールだと拘束時間がある
手術室看護師は、医師のように「オンコール(呼び出し)」があることがあります。これは病院の勤務体制によって異なります。このオンコールは、夜間や休日に緊急手術を行うときに、看護師を呼び出すものです。呼び出しがなければその日は休み扱いとなることがほとんどです。「呼ばれるかもしれない」と心休まらない状態で過ごすことで「拘束されている」と感じる看護師も多いようです。
まとめ
今回、手術室看護師について、おススメの勉強法やメリット・デメリットを紹介しました。
手術室は特殊な部署で、新人看護師にはもちろん、病棟から異動になる人にとっても、最初は新しいことの連続で、分からないことだらけだと思います。
「分からない」を「分かる」に、「できない」を「できる」にするためには、実践と振り返りが重要です。
これは新人のときだけでなく、どんなに経験を重ねても忘れてはいけません。
いかがでしたか。おススメの勉強法、ぜひ試してみて下さい。
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