准看護師の時から含めると看護師として7年間、准看護師取得前の看護補助時代から含めると9年間精神科病院で勤めています。
今までで私が学んできたことや経験を活かして精神科患者の観察やアセスメントのポイントを紹介したいと思います。
(精神科患者さんを理解するためのポイント)
私が精神科患者さんを看護してきて最も大切だと思うことはまず、精神科患者さんへの怖さや偏見をなくすことです。
私達が風邪をひいたり、身体的な不調があると行く総合病院などには精神科が入っていないことが多く、精神科患者さんに関わることがあまりありません。
精神科患者さんは幻覚や幻聴、妄想など様々な特徴的な症状があります。
学生時代実習に行ったときも周りのメンバーは患者さんが怖いくてうまく話せないなど言っている人もいました。
しかしそのような状態では患者さんを正しく観察することができません。
正しく観察することができなければアセスメントすることができず、その人にあった看護を提供することができません。
症状は特徴的で馴染みがない症状ではありますが、精神科患者も身体的な疾患がある患者と同じく病気を患い苦しんでいると言うことを理解してください。
(精神疾患の診断)
精神疾患の診断は、レントゲンやCT、採血などをおこないその結果を見れば分かるというものではありません。
そのため患者さんの発言や行動、生活歴や家族歴など総合的に情報を集め診断基準に当てはめて診断をしています。
診断や処方は医師が行うものですが、入院患者さんは看護師が毎日看護をしており、医師より患者さんと過ごす時間が長いです。
そのためそれぞれの患者さんの状態の変化には看護師の方が気づきやすいです。
その看護師からの報告を受けて医師が診察をして薬剤調整をすることもあります。
そのため日々の観察やアセスメントが大切になってきます。
(精神科患者さんの精神的な状態をアセスメントするポイント)
前置きが長くなりましたが、私が精神科病院で働いてき学びや経験を活かして精神科患者さんの観察やアセスメントするポイントを説明していきたいと思います。
診断での項目でも説明しましたが、精神疾患はレントゲンやCT採血などの結果を見れば分かるというものではありません。
そのため患者さんの発言や行動をしっかりと観察しなければなりません。
精神科患者さんによくある幻聴幻聴妄想などの症状がある人を例にとって考えてみると、そのような症状のある患者さんは私達には見えていないものや聞こえていないものが見えたり聞こえたりしています。
それなのでその私達には見えていないものや聞こえていないものと会話をしているので独語(独り言)という症状が表れます。
この独語と言うものに注意をしなければなりません。
まず独語があるからと言って幻聴や幻覚があると決めつけてはいけません。
例えば入院生活などに不満があり、ストレスを抱えていて、その不満を誰にも話せずイライラして独り言で不満を言ってストレス解消しているだけなのかもしれません。
私達も不満があるとき独り言で不満を吐き出し、ストレス解消しているのと同じことです。
そのため独語を言っていてもその内容に耳を傾け、その内容を聞いてから幻聴幻覚があり独語を言っていると判断しなければなりません。
そして独語の内容が幻覚や幻覚に左右されているものであればそれを医師に報告し薬剤調整をしてもらい幻覚や幻覚を抑えてもらうという形になっていきます。
その独語の内容がどんなものかを把握しておらず、医師に報告が遅れると幻覚や幻聴により生活が左右され精神状態の悪化に繋がります。
それを防ぐためにも患者さんの発言や独語などには注意して耳を傾けて行かなければなりません。
また患者さんと会話している中でも注意しなければならないことがあります。
妄想がある患者さんと話をしている時には、どのような妄想の内容を話しているか注目しなければなりません。
例えば躁うつ病の患者さんによくあるのが状態が落ち着いていて普通に会話をしていてもある日を境に誇大妄想が少しずつ始まったとします。
その誇大妄想が始まったことに気付かないとどんどんその誇大妄想がエスカレートしていき状態がどんどん悪化していってしまいます。
それを防ぐために会話中も話している内容に注意し、早めに妄想があることを発見し、医師に報告すれば薬剤調整で妄想をできるだけ早く抑えることができます。
これらのように精神疾患のある患者さんには、いつも独語や妄想発言があるという捉え方ではなくその独語や妄想の内容に注目し、患者さんを観察、アセスメントし、正しい内容を医師に伝えなければなりません。
(身体的なアセスメント)
精神疾患を患っている患者さんたちも、もちろん内科的疾患や外科的疾患を患うこともあります。
先程例に挙げた症状をもつ患者さんたちを例に取るとお腹の中に何か入ってきて暴れているという妄想や存在しない人物に叩かれてどこどこが痛いなどの妄想や幻覚などがあったとします。
精神疾患を患っていない総合病院に来る患者さんなどならお腹が痛い、どこどこが痛いなどと訴えると思います。
しかしこれは精神疾患をもつ患者さんなりの体調不良の訴え方として捉えなければなりません。(もちろん普通にお腹が痛いやどっが痛いと訴えてくる患者さんもいます。)
どこかに不調があるのですが、幻覚や幻覚、妄想に左右されてそれらのせいで体に不調が起きていると思っているためこのような表現になっていることもあるのです。
そのため訴えている時の発言や表情に注目し観察して何を訴えたいかを考えアセスメントしなければなりません。
また抗精神薬という薬を服用している患者さんには、抗精神薬は痛みなどの感覚を鈍くさせたり、意欲を減退させる副作用などがあります。
そのため痛みを感じにくくなっていたり、なにか不調があってもそれを伝えに行くという意欲がなくなりなにも言わず過ごしている方もいます。
実際に足を骨折していても歩いている人もいたり、転倒して目の上を切って流血していても訴えに来ず、普通にベッドに座っている人も見てきました。
それなので患者さんが何も訴えてこなくても、いつも行っていることを行っていなかったり、動きがいつもとは違うと感じたら自ら聞きに行き、状態を確認しなければなりません。
また抗精神薬の副作用には意欲の減退とともに便秘になりやすいということもあります。
そのため入浴をするときには身体に外傷がないかや腹部膨満感がないかなどということも観察しなければなりません。
これらのように精神疾患をもつ患者さんの身体的アセスメントは患者の発言内容や表情、動き、入浴中に身体を見ることなどに注目し、患者さんの発言や行動を理解し、アセスメントしなければなりません。
精神的な状態をアセスメントするポイントや身体的なアセスメントするポイントで共通して大切なところはコミュニケーションです。
普段から患者さん達とコミュニケーションをとり、どのような話をする人なのかということやその人の性格をある程度わかっていると今の発言はいつもの違うということや話し方、表情、仕草などの変化に気づきやすくなります。
この精神的な状態をアセスメントするポイント、身体的なアセスメントをするポイントを見ているともちろん科が違うので症状や観察ポイントは違いますが、総合病院の他の科の患者さんを看護する時と同じようなことをしています。
患者さんとコミュニケーションをとり情報を得て症状を観察し、それらの情報を総合的に繋ぎ合わせ、アセスメントしその人にあった看護を提供していくということはどの科でも同じということです。
長くなってしまいましたが、これらが私が精神科病院で働いて様々な経験や学びを得て自分なりのアセスメントするポイントではないかと思い説明させていただきました。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
まとめ
精神科患者をアセスメントするためには患者の訴えた内容や発言、行動などをなぜしているのかを考えその発言や行動の意味を理解しようとすることが大切です。
症状や観察ポイントは違いますが、他の科と同じで症状を観察し、患者さんとコミュニケーションをとりそれらの情報を総合的に見てアセスメントし看護を提供するということが精神科患者をアセスメントするために大切なポイントであると私は思います。
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