看護師として病院やクリニックで働いていると、採血などは実際に経験することであると思います。経験することであるが相手に侵襲を加える技術であるため、ブランクがある場合や初めての場合には緊張することもあると思われます。そのため自己の経験から学んだコツをお伝えしていきます。
・採血について
昔は看護学生時代に学生同士で採血の練習を行っていたところも多かったと思いますが、現在は安全上より看護学生同士で行うところは少なくなってきています。学生のときに模擬血管を使用し採血の練習を行いますが、実際に人に針を刺すのとは大きく異なってきます。私も初めての採血はプリセプター看護師が見ている中、職業看護師の患者さんに採血を行いました。
採血は看護師の国家試験であれば正中静脈が第一選択となっていますが、病院によっては神経が周りに多いため、正中静脈を選択することを禁止している病院もあります。そうなると患者さん側に疼痛が少ないとなると橈側より採血を行うというアセスメントが必要となってきます。尺側は疼痛を訴える患者さんが多くなっています。また、血管がなかなか見つからない場合には手背を選択することもあると思われますが、手背も疼痛が強い位置となっています。
・痛くない採血を行うには
侵襲を加えるけれど必要な処置である採血、少しでも患者さんの負担を軽減できるにはどのように採血を行うことが必要はアセスメントを行うことや、実際に経験を積むことが必要となってきます。一番良いのは怒張している血管を選択することです。最初から血管が見えている患者さんは苦労はしませんが、そうでない場合もたくさんあります。私は要領も考えながらまず必要物品が用意できれば駆血帯を使用します。血管が怒張してくるまでの間に物品を使用できる状態にし、まず穿刺可能なところを消毒します。消毒することにより血管が見えることもあります。血管が見えてくると実際に触れてみて、深さや固さなどを確認します。穿刺する際には迷いながら刺すと患者さんは痛みを感じやすくなります。そのため迷わずに必要な分だけすばやく穿刺することが患者さんの苦痛を少しでも軽減することができます。
・血管が見つからないときには
高齢者であったり、脱水の患者さん、肥満傾向の患者さんなど血管が見えにくい人もたくさんいます。血管が見つからない場合には、まず両手とも確認してみることが必要となってきます。採血を初めてするという人は少ないため、普段どこから採血を行っているのかを聞くことで思わぬところに血管があったりすることもあります。
血管がない場合は長時間駆血帯を巻いていても血管が現れることはありません。また血管が細い場合には穿刺の針も細くしてみることで失敗せずに採血できることもあります。
末期の患者さんや浮腫により血管が見つからない場合には、何度も挑戦するよりかはあきらめて医師の動脈血採血を依頼することも大切です。
・上肢から採血ができない場合
シャント側であったり、マンマのオペでリンパ郭清を行っていたり、麻痺があったり、骨折していたりなど採血できないこともあります。左右とも上肢から採血ができない場合、下肢からの採血が必要となってきます。認知症や不穏で危険を伴うため、下肢からの採血を選択することもありますが。下肢から採血!?と思うかたもいると思いますが、意外と血管は見えやすいです。しかし上肢からの採血より疼痛が強いためできるだけ選択することは控えたほうがいいと思います。下肢の採血は足関節付近に血管があることが多いです。
・ルート確保について
採血ができるようになったのにルートが確保できない、血管は見つけられるのにうまく穿刺できない。などルート確保に苦手意識を持つ看護師は少なくないと思います。逆にルートなら・・・と自信がある人もいます。採血とは違い針が刺さるだけではいけなくて、血管内に針を残すことが必要となってきます。血管の走行を見ながらアセスメントを行うことが必要になります。
・ルート確保のコツ
ルート確保時には利き手であると不自由になるため、可能な限り非利き手を選択すると思います。採血と同じように橈側が痛みが少ないといわれています。ルート確保時に意外と血管が見えてこない患者さんもいます。しかし見えないと言っても血管はあります。
採血と同じように駆血帯を巻き、しばらくしてから消毒すると血管が浮いてくることがあります。しかし消毒により怒張する血管はなかなか持続せず、いざ穿刺しようと思うと触れないとわからなくなっていることもあります。そのような場合には痛くないように爪で少し穿刺位置にマーキングしておくことで、血管は見えにくいけれど穿刺の目安がわかりやすくなります。必要なG数よりまっすぐな血管が短い場合には可能であれば、血管より少し手前から穿刺することで実際の血管が少し短くてもルート確保可能となります。
うまく穿刺できたと思ったのに、内筒を進めると漏れてしまうこともあると思います。内筒を進める際に針も一緒に進めてしまったり、皮膚を手前に引っ張りすぎていると、片手で内筒を進めれられなければ血管がずれるため漏れてしまいます。その対策としては、穿刺する前に内筒を一度動かしておくと動かしやすくなり片手でも内筒を進めることができるようになります。また少し皮膚にあてながら押すことでストッパー替わりとなり、内筒だけを進めやすくなります。穿刺の際には皮膚を引っ張りすぎないことも大切ですが、穿刺の手前側と穿刺していく方向がわかるように第2.3指を使用し伸ばしておくことで血管は見やすくもなります。
・ルート自己抜針の可能性が高い場合
不穏患者や認知症患者など行動予測ができないひともたくさんいると思います。気づかないうちに自己抜針されており、どれだけ点滴が投与されたのか、点滴により布団・寝衣が汚染され更衣が必要となり二度手間になることもあります。
点滴自己抜針されないためにはどこを選択するべきなのか、その人のADLや可動域にもよりますが前腕ではなく上腕にルート確保し、点滴ラインを襟もとから遠しておき、袖口はめくられないように固定しておくことでも予防することができます。また抜針しにくい場所としては下肢も選択肢にあがってきます。足関節や足背であれば器用な人であれば足同士を使用し自己抜針する人もいます。血管があれば大腿部に穿刺すると自己抜針されにくくなっています。自己抜針されないというところはありませんが、その人の状態をアセスメントしながらより抜針されにくいところを選択することが必要となっています。
・最後に
そんないろんなコツがあっても採血もルート確保も難しい、と言われる人も多いと思います。実際私もそうでした、しかし看護師としてはそうは言ってられません。それを克服し今は採血もルート確保も好きなほうになっています。どのようにしたかと言うと、採血があれば率先して行いました、また夜勤のときに急がない採血でも自己の経験となるため、すべての人の採血をとるよにし経験を積みました。ルート確保では私が働いていた病院では医師がルート確保を行うこともあり、その介助につくこともありました。医師やルート確保がうまい人の技術をみてコツを学ぶようにしました。
まとめ
看護師として採血、ルート確保の技術は必要不可欠であります。実際にうまくなるには経験をつみ、コツをつかむことが必要となってきます。よく失敗するからと言って行わなくなるとうまくなれないため、コツをつかむために行うというつもりで少しでも多く数をこなすことが必要となります。上記のコツを参考にしていただければ幸いです。
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