社会人から看護師へ転職される方は年々増えており、周りにそういった友人知人がいるよという方も多いと思います。けれど、みんなやってるし私もちょっと挑戦してみようかなーと軽い気持ちで始めると、なかなか大変な世界です。こちらの記事では実際に看護師になってみて、そのためには何が必要だと思ったかを紹介させていただきます。
私が看護師になりたいと考えたのは社会人6年目の時です。いわゆるOLとして、企業の総務部門で働いていましたが、仕事にも慣れてきて、仕事というより作業をこなすだけ毎日に退屈さを感じ、転職を考え始めました。他の職種への転職も考えましたが、看護師の資格を取れば一生職に困ることはないだろうと思い、看護学校へ入学し、看護師資格を取得しました。
現在は勤務して10年以上がたちますが、思い切って転職したことに後悔は全くなく、毎日大変ではありますが、企業で働いていた時より今は楽しく充実して仕事ができています。
そんな毎日を手に入れるために必要だったこと、それはとにかく体力と忍耐力です!
以下は、どんな経験を通してそう感じたのかをお伝えします。
看護学校時代
看護学校に通うと、勉強や実習などがあり、アルバイトもできないくらい忙しく大変だと、入学前から聞いてはいました。
確かにテストや実習に追われて忙しい毎日でしたが、社会人として働いていた経験からすると日々の忙しさに関しては特に苦痛に感じることはありませんでした。現に実習がほとんどない1、2年の間はしっかりアルバイトをして、学費やある程度の生活費を得ることはできていました。
ただ、入学直後から学校生活そのものに驚くことがいっぱいありました。
社会人経験者が増えてきているとは言え、クラスメイトは10歳以上年下の高校卒業したての子たちがほとんどでした。私は看護学校は「看護師の資格をとるための学校」なので自動車教習所のようなところと考えていたのですが、私が通っていたのはかなり小規模の看護専門学校だったせいもあり、まるで高校の延長のような場所でした。先生からは「トイレの使い方が悪い」や「休みの日にもちゃんと勉強しなさい」などと生活面にまで注意をされるような毎日。そして、若いクラスメイトたちはいつも大きな声で元気いっぱいにわちゃわちゃと騒いでいました。
教習所と考えていたのは全くの間違いで、昔に通っていた四年制大学ともギャップはかなり大きく、
最初はその環境に慣れるのに必死でした。日々イライラすることが多くあり、このように入学直後から忍耐力が必要な毎日が始まりました。
次に実習が始まってから必要だったのが、体力です。記録を書くためにほとんど徹夜の状態で翌日の実習に向かうこともしょっちゅうでした。OL時代、次の日の仕事を考えて毎日それなりに規則正しい生活をしていたので、久しぶりのかなりの不規則な生活に体はふらふらでした。また、実習病院へは学生の車の乗り入れが禁止されており、自転車でないと行けなかったので、体力がないと実習現場に辿り着くこともできませんでした。
他にも実習現場では、指導を受ける中で忍耐力が必要とされました。指導してくださる看護師さんの中には、自分より年も若く、また忙しい中での指導のため明らかにイライラされていることもあり、そのような中で理不尽に強く怒られることがよくありました。その時はなんとも言えない複雑な気持ちになったのを覚えています。社会人として、ある程度大人同士の人間関係を身につけてていた身としては、一方的にそして理不尽に怒られることに正論で抗議したくなりましたが、ここでもひたすら忍耐力で耐え忍びました。
もちろん正しく丁寧に指導してくださる看護師さんがほとんどですが、特に私が資格を目指していた頃はよくある話でした。
看護師生活
現在私は約500床ある総合病院の外科系病棟で勤務しています。看護師資格を取得後はずっと同じ病院で、病棟の看護師を続けています。こちらでは看護師になってからのことを書かせていただきます。
無事に看護師として働いてからももちろん、体力、忍耐力がモノをいいます。まず何より、勤務体系において、体力が必要です。私が働いている病院は、三交代制と二交代制が入り乱れてシフトが組まれていて、すごく不規則な生活を余儀なくされます。日勤が終わり、いったん帰宅して夜ご飯を食べ、少しだけ仮眠してから、0時半からの深夜勤に向かうという勤務は、最初聞いた時はとにかく驚きました。
平日は残業はあるものの、毎日同じ時間に出勤し夜に帰宅してまた次の日の朝を迎えるという典型的なOL生活をしていた私としては、え?いつ寝るの?どうやって疲れを取るの??と、人間技ではないように思えました。慣れてくるといつの間にか短い時間で、ある程度疲れを取ったり眠ったりする方法を身につけられるようにはなるのですが、それでもやはり基本的な体力がないと続けることはできない勤務体系だと思います。
勤務内容そのものも、また、体力を要します。勤務中は広い病棟内あるいは病院内を一日中歩き回るからです。
担当患者さんに検査などがあると隣の病棟の遠くの方にある検査室まで送って行き、他の仕事をしようと戻ってきた途端に、今度は検査が終わったのでお迎えに来てくださいともう電話がかかってくることもあるあるです。
重たい患者さんを抱えて入浴の介助をした際は、防水のためのエプロンを使っていると、介助後、いっしにお風呂に入ったの?というくらい汗をかいてびしょびしょになるなんてこともありました。社会人として働いていた人の中にはもちろん体を動かす仕事をしていた人も多いとは思うのですが、私のようにデスクに向かって事務仕事をしていた者としては、そのギャップはとても大きく、体の疲れも非常に大きいです。OL時代も家に帰ると疲れたーと思っていましたが、その比ではありません。看護師の仕事をしてからは、食べてもあまり太らなくなりました。やはりそれだけ動いて体力を消耗しているからだと思います。これは嬉しい誤算?でした。
働いている中での忍耐力の必要な場面としては、これはどこで働いても同じだとは思うのですが、職場内の人間関係においてです。OL時代ももちろん職場の人間関係に悩まされたことは多々ありました。
ただ、男性が多かったこともあり、女性同士のギスギス感はそれほど感じていなかったのですが、看護師はまだまだ女性社会です。ご想像通りのごちゃごちゃがたくさんあります。今となっては我関せずと切り抜けられる精神力を身につけることができましたが、最初の頃はいろいろな人のいろいろな意見に振り回されてストレスが尋常ではありませんでした。
また、病院という組織しか知らないという方がほとんどで、一般社会では通じない驚くような常識がまかり通っているのを目の当たりにすることもあります。
おかしいことはもちろんおかしいと声を上げますが、基本的には、ただただ聞き流すという方法でやり過ごしています。
看護師としての仕事の中で忍耐力が必要な時は、患者さんやそのご家族と関わる時です。これに関しては社会人の経験のあるなしは関係なく、看護師として働いている人は誰もが感じていると思います。
入院されている患者さんやご家族は、その健康を脅かされ多かれ少なかれ精神的なダメージを受けた状態でおられます。
一方的に怒りをぶつける方がおられたり、つらい気持ちを聞いて欲しくて話し続けられる方もおられ、看護師はそれらの負の感情を1番に受け止める仕事です。間違っていると思うようなこともたくさんありますが、できる限り患者さんの話を傾聴し、同調するようにしていますが、やはりそのためにはグッとこらえる場面がたくさんあります。
自分の考えをふせて、肯定するのはとてもたいへんですが、それも忍耐力で乗り越えています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
社会人を経験してから看護師になるために必要なものである、体力、忍耐力について述べさせていただきました。もちろんそれ以外にもコツコツ勉強することや看護学校に通学する期間のお金、そして、家族がいるならばその家族の協力など、現実的に必要なことは他にもたくさんありますが、体力と忍耐力があれば、なんとか乗り越えられると思います。大変な世界ではありますが、いったん覚悟を決めたら、諦めずに頑張って欲しいです。
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