看護のアセスメントをする上で必要な考え方

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#1620 2021/11/02UP
看護のアセスメントをする上で必要な考え方
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看護師の仕事は、病気や怪我をした患者様に対して、医師の診断・指示に基づき必要な処置やケアを行います。
看護のアセスメントとは患者様に対して今どのような体や心の状態であるかを病気による影響などから考えて、必要な看護を導き出す思考過程だといえます。

例えば、AさんとBさんが同じ部屋に入院しています。Aさんは20歳代男性、交通事故で右足を骨折して入院しています。入院生活は、病院内なら松葉杖や車椅子を自分で使って移動できます。トイレにも介助なく自分でいけます。食事も配膳すれば自分で食べられます。怪我の為一人で入浴は困難ですが、シャワーなら患部が濡れないように保護すれば、自分で体や頭も洗うことができます。一人でできるように物品の準備や安全面に考慮するだけで、多くの看護(ケア)はいらないかもしれません。
一方Bさんは、80代男性で交通事故で右足を骨折しています。骨折が原因で寝たきりの生活になり、トイレも歩くことが出来ずオムツをつけています。ご飯を食べたり検査にいく場合は、看護師が全面的に介助して座る姿勢にうつります。また、寝たきりで足の筋肉がなくなり健康な足でも体を支えられず、介助しなければ転倒してしまいます。入院前は身の回りのことは自分で行えており、毎日畑仕事をしていましたが、怪我により体力や筋力がおちてしまい以前一人で行えていた入浴や体拭きはもちろん体を起こす動作など看護師がほとんど行っています。

このように、同じ骨折した患者様でも年齢が違うだけで回復過程も大きく異なり、入院中の生活での看護師の介入内容も違うことがわかりますね。Aさんは若いこともあり、自分でほとんどできる男性と考えられ回復過程も早く看護は、車椅子や松葉杖が側に置きすぐ使えるように配置する、シャワーの時は患部を濡れないように保護するなどといった介入(看護)が必要です。また移動時にバランスを崩したりして転倒しないように患者様自身を促し(指導)、周囲には転倒につながる障害物を置かないといった看護により入院中の生活に大きな支障はなく過ごせると考えられます。
しかし、Bさんの場合は80代とご高齢のこともあり、2日寝たきりになると体力が一気に落ちて怪我に加えて健康な足で支えることも困難となります。また、自分でベッドから起き上がることも難しいため、起き上がる時は看護師の介入が必要となります。寝たきりになると認知症になりやすくなることや、活動量が低下するとお腹も空かない上に腸の動きも弱くなり低栄養状態や便秘といった症状も出現してきます。低栄養状態になると皮膚のバリア機能低下や血行不良などにいたり、床擦れ(褥瘡)ができるなど合併症がおこってしまう可能性があります。こういったことから寝たきりを防ぐために、介助をして体を起こし車椅子に座ったり、早期にリハビリを開始して寝たきりを防ぐように活動の工夫をする必要がらあります。例えば、シャワーや身体を拭いて清潔を保つこと一つにおいても、ご自身で出来るところは拭いてもらうなど、機能を維持できるように看護の介入方法を考える過程こそがアセスメントといえるでしょう。
ただ出来ないから代わりにやるのではなく、患者様の病状はどうなのか(術後の傷の安静が必要時期なのか、患部以外はどんどん体は動かした方がいい時期なのか)を考えて、この患者様の場合は何をどこまで介入していけばいいかを具体的に計画していくことが看護のアセスメントといえます。
私はよく新人ナースや看護学生にアセスメントについてこのようなアドバイスをします。
自分の家族が病気や怪我をしたと思って考えてみましょう。自分の家族が患者となった場合、入院する前の生活に戻って欲しいと願うものです。一緒に暮らしていた家族が突然入院となり、家族なら病状を具体的に知りたいはずですよね。更に退院後の生活への支障の有無を知る事で、入院中から退院後の生活を見越した関わりを考えれば、その患者様に合わせた(個別性のある)看護計画を具体的に考えていけるのではないでしょうか。

看護師は沢山の方を受け持たせて頂き、あらゆる看護(ケア)に追われているのでとにかく時間が足りません。したがって、実際の病院勤務では必要最低限のケアしか出来ない場合も多々あります。例えば、一日置きの入浴や着替えさらに1週間に2回の洗髪などです。本来健康で自身で毎日行っていた人なら、当然毎日入りたいと思うはずです。業務上無理なので行えていないだけかもしれません。ならば、ますば患者様の希望や思いを聞いてから計画を立てていきましょう。毎日入りたいと思っていない人に毎日勧めるのは看護師の身勝手な思いとなってしまいます。したがって患者様の思いに耳を傾けられる看護師でありたいものですね。
アセスメント(情報を分析する過程)は少ない情報よりも、沢山ある情報から本当に必要な介入方法を考える事が大切です。
例えば、『骨折した80代の寝たきりの男性』としか情報がないと、なんとなく骨折しているので動かさない方がいいだろうと考えてしまいがちではないでしょうか。動くと痛みを訴えられるので、安静が必要や要全面介助とアセスメントしてしまうと、『着替えは汚れた時だけにしましょう。』『体は看護師が拭きましょう。』といった看護となります。すると前述したような様々な合併症が出現し、骨折以外にも障害が生じてしまい、退院が伸びたり退院しても家族の介護負担が増えたりといいことが一つもありません。アセスメントする前には必ずアセスメントするための情報を集める必要があるのです。情報収集は看護師のコミュニケーションスキルに繋がります。たわいもない日常生活を聞くのではなく、何のために必要でその情報を聞くのかを考えた上でコミュニケーションをとるスキルが必要なのです。

看護師が行うアセスメントとは、病気や怪我を患った患者様が、治癒・回復過程を考えた生活援助を見極める思考過程といえます。さらに異常や急変が生じたときも、なぜ異常や急変に至っているのかを医師に報告するために、医師が正しく異常や急変を捉えて早急な対応ができるように看護師は起きていることをアセスメントして報告していく必要があります。
例えば、術後5時間たっているのに尿がほとんど出ていない場合があるとします。術後の体の一時的反応から尿が作られていないだけなのか、腎臓機能に異常が生じているのかによって生命にも大きく影響します。尿が作られるには水分がしっかり体に入っているかを知らなければなりません。また、脱水や出血などにより体液が失われていないかを知る必要もあります。さらに腎臓機能に異常が生じていないのかなど血液データで確認も必要です。腎臓機能の働きやどんな検査項目を見ればそれがわかるのかなど医学的知識が必要となります。

異常かどうかを知るために、知識があってこそ様々な方面から状態を考え(アセスメント)、今はこのような状態なんだと判断する力を身につけておくことが看護師には必要になります。

患者様の看護とは、ただなんとなく介入するのではなく、今の状態がどういう状態なのかを捉え、そこからこの患者様にとって必要な看護がを導き出すことが看護のアセスメントであり、日々の経過の中で患者様も変化していくので、日々の変化に合わせてその都度、看護をアセスメントしていくことが重要だと言えます。

最後に、アセスメントにおいて、看護師よがりにならないように患者様とお話しをして患者様の思いを取り入れた看護のアセスメントをしていくことが最も大切と言えます。

まとめ

アセスメントは看護(ケア)を行う上で何故必要なのか、どんな方法で行うとよいのか、今後どのように計画していくのかなどを患者様視点で考え結論付ける過程です。アセスメントを行った看護でなければ、必要かどうかまで吟味せずにただ行ったに過ぎないといえます。
しだがって看護師は看護のアセスメントなく看護はできないと考えます。

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