コロナ禍が続き、不安定な世の中では、看護師という資格の盤石さはとても魅力的です。
看護師になる方法は様々で、何歳からでも看護師を目指すことができます。今では看護師の4人に1人が社会人経験者だとか。
かくいう私も、社会人を経て看護師になりました。この記事では社会人を経て看護師になることのメリット、デメリット、看護学校に入るまでに準備しておいた方がいいことを、私の経験を交えて紹介していきます。
○はじめに
看護師になる方法はたくさんあります。代表的なものが
・4年制の看護大学
・3年制の看護専門学校
・看護科のある高校
・2年制の准看護専門学校
准看護師資格を保有した人が正看護師を目指す場合は、准看護師資格保持者を対象とする2年制あるいは3年制の看護専門学校に進学する方法や、7年の実務経験を経て通信制の学校で資格を取るなどの方法があります。
社会人から看護師を目指す場合は看護専門学校を選択されることが多いと思います。
「看護学校に入っても若い子ばかりの中で浮いてしまわないか不安」「勉強についていけるか不安」
私が看護学校入学前に感じた不安です。
この不安は杞憂に終わりました。
私が入学したのは看護専門学校でしたが、18?20代までの生徒は10人程度、半数以上が30代?40代、中には50歳の人もいました。これだけ様々な年代が集まれば、年齢によって浮いてしまうということはありませんでした。
また勉強面についても、若い子ほど覚えがよく年配者ほど覚えが悪いといったことはありませんでした。結局はその人の努力次第です。
○社会人から看護師を目指すメリット
・社会経験
看護学校では医療や看護の知識を学ぶだけではなく、看護師としての実践的な人材育成が行われます。そしてもちろん一般常識も必要です。
社会に出ている人と新卒の人を比べて如実に差が現れるのが病院実習です。
社会に出て仕事をしていた経験がある分、挨拶の仕方や学生としての立ち回りは上手く、実習指導者を始め受け入れ先の病院からの印象は良くなります。
また病院実習で必ず必要な事前の情報収集や実践後の報告。これらをスムーズに行う為の情報の取捨選択も社会人経験が生かせる場面です。
社会人を経ているということは、看護師を目指すまでに就いていた職業があります。
私の通っていた看護学校では、前職には介護士や医療事務、救急救命士などの看護師以外の医療職が多い傾向にありました。その他には美容師、学校の先生、キャビンアテンダント、専業主婦、OL、キャバクラの黒服など様々な前職がありました。
一見、看護とは全く関係なさそうな職業であっても、働いていた経験というのは大きな武器になります。元美容師は洗髪を始め保清関係の実技が得意、元学校の先生はグループワークの取り組み方が上手でした。元キャビンアテンダントの気配りやおもてなし力は見事で、看護にも生かせる所がたくさんありました。
それらの経験はその人だけではなく、周りの生徒にも良い影響を及ぼしてくれました。
・人生経験の豊富さ
医療や看護を必要とする人は、年齢も性別も家族関係も生きてきた過程も現在の状況も本当に様々です。
患者さんそれぞれに関わり方や援助の方法がありますが、それを考える上で必要な共感力は人生経験から養われる部分も大きいと思います。
また学習面においても、受動的に勉強させられていた頃とは違い、自分自身が必要だと感じて勉強している分、学ぶ事の楽しさを感じることもできます。
・追い詰められ感
看護学生のうちは全て自分のお金、自分の時間、自分の責任で学校に通います。
「絶対に辞められない」という追い詰められ感が、否応無しに努力へと繋がっていきます。
しかしあまりにも気負い過ぎると、空回りしたり途中で力尽きてしまうかもしれません。
看護学生生活は持久戦ですので、力を抜ける所では上手く抜いて最後まで完走できるようにしましょう。
○社会人から看護師を目指すデメリット
・金銭面
私の場合は学費は通っていた看護学校の母体となる病院からの奨学金、生活費はまた別の奨学金を借りていましたので、卒業時には○百万の借金がありました。
それでも足りないのでアルバイトもしていました。
同級生の中にはアルバイトばかりしていて勉強する時間が無く、授業中も居眠りばかりしていたので授業の内容が身にならず、試験では欠点ばかりという人もいました。
勉強をする為に学校に通っているのに学費を稼ぐ為のアルバイトで勉強に身が入らないとなれば本末転倒です。
実家から通っている人や親あるいは配偶者に学費を出して貰っている人もいましたが、いずれにせよ金銭面については入学前によく考えておいた方がいいでしょう。
・生活との両立
親の庇護の元学生生活を送っている人と違って、自分のことは自分でしなければなりません。
どんなに試験が立て込んでいても、病院実習が大変でも、代わりにご飯を用意してくれる人はいないのです。
同級生には子育てしながら通っている人もいました。
大量の課題や試験勉強を抱えながら、家事や育児との両立をしなければなりません。
生活状況は人それぞれですが、学業と両立できる生活基盤を整えておく必要があります。
・意外と厄介な「価値観や偏見」
これは看護学校の教員から聞いた話なのですが、「学生経験しか無い生徒は真っ白な紙のように無垢である一方、社会人を経験しているとある程度自分の価値観を持っているので看護の邪魔になりやすい」そうです。
例えば、病院実習の中で患者さんの為に一生懸命考えた看護計画。それをいざ実施しようとしたところ、患者さんに上手くはまらないといったことは多々あります。そういった時に、理想的な考え方は「この計画の何が患者さんに合っていないのだろう?」です。看護計画はあくまで患者さんの為の計画なので、患者さんが主体でなければなりません。しかし、価値観の凝り固まっている人は「なぜ患者さんは計画通りに動いてくれないのか?」と考えてしまうのです。
偏見については誰の心にもある程度存在するものだとは思いますが、あまり強すぎると患者さんの本当の姿が見えなくなってしまいます。
あまり凝り固まった価値観や偏見を持たず、柔軟な考え方をしていきたいですね。
○看護学校に入るまでに準備しておいた方がいいこと
これまでに書いた内容を踏まえて、看護学校に入るまでに準備しておいた方がいいことをまとめました。
・貯金
学生の内は勉強第一に過ごせるように余裕を持っておきましょう。
学費や生活費全て工面しようと思ったら数百万はかかります。なるべくアルバイト頼りの学生生活は送りたくないものです。
・奨学金などの制度の活用
貯金は無いけどなるべく早く看護学校に行きたい人は奨学金制度を使うのも一つの手です。
ただし返済義務があることや病院からの奨学金であれば卒業後に御礼奉公があることは念頭においておきましょう。
看護師の資格さえ取れれば、奨学金返済の為に生活が困窮するということはまず無いでしょうし、御礼奉公をすることで借入金額の全額が返済免除になる場合もあります。
入念な情報収集を行い、卒業後の人生設計をイメージしながら考えましょう。
・生活基盤を整える
看護師を目指すからには勉強できる環境を整えるのが大切です。
衣食住を安定させること、必要ならば誰かの手助けを求めること。
子育て中の同級生には、勉強が忙しくて子供に構う余裕が持てず、子供に泣かれたり子供が荒れたりしてしまう人もいました。子供にも「お母さんは学生になる」ということをしっかり説明し、家族の理解やサポートを得ることは必ずやっておきましょう。
・謙虚な気持ちを持つ
社会人経験があっても、看護師として最初から一人前になれるわけではありません。
社会人経験があると、中途半端に医療の知識があったりもしますが、それでわかったつもりになるのはとても危険です。
最初はわからなくて当たり前、出来なくて当たり前です。
常に学ぶ姿勢を持ち、何事も「させていただく」という謙虚な気持ちでいることを忘れないようにしましょう。
まとめ
社会人を経て看護学校に行くことについて述べてきました。
冒頭にも書いたように、社会人を経て看護学校に行く人は今や珍しくありません。
18歳から50歳までが同級生として一同に集い、同じ目標に向かって切磋琢磨していくという少し特殊な世界ですが、様々な年齢層がいるからこその楽しさや学びは大きいです。
私は社会人を経て看護学校に入学したことで、勉強することの
大切さをヒシヒシと感じました。また勉強を楽しむこともできました。
もし高校を卒業してそのまま看護学校に入学していたら、これほど勉強が楽しいと感じなかったでしょうし、看護師という資格を取る意義も感じていなかったかもしれません。
結果的に、社会人を経験してから看護学校に行く選択は、私にとっては正解だったと感じています。
覚悟のいる決断ではありますが、何歳からでも看護師を目指すことは遅くありません!
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